(事例紹介)ボンネットに人を乗せて急加速して殺人未遂罪

2022-06-02

(事例紹介)ボンネットに人を乗せて急加速して殺人未遂罪

~ケース~

5月24日午前8時35分頃、栃木市の被害者女性方敷地内に侵入し、女性に発見されたため逃走する際、車両の前方に立ちふさがった女性をボンネットに乗せたまま急加速するなどして振り落としけがを負わせた疑いで、栃木警察署は24日、50代男性を殺人未遂と住居侵入の被疑事実により逮捕しました。
(5月24日 下野新聞SOON 「車で逃走、制止した女性振り落とす 栃木署が殺人未遂容疑で男逮捕」より引用)

~自動車の運転で殺人未遂罪~

自動車を運転中、不注意から人身事故を起こしてしまったとしても、通常、過失運転致死傷罪(自動車運転処罰法第5条)に留まり、殺人罪殺人未遂罪に問われることはありません。
しかし、故意に自動車を人に衝突させたり、何らかの理由で走行中の自動車にしがみついている人を振り落とすなどすると、殺人未遂罪の疑いで逮捕される場合があります。

殺人未遂罪が成立するためには、殺人罪の実行に着手したものと評価される必要があります。
殺人罪の実行の着手は「行為者が殺意をもって他人の生命に対する現実的危険性のある行為を開始したとき」に認められます。
今回の事例では人をボンネットに乗せたまま自動車を急加速させていることがこの殺人罪の実行の着手にあたると判断されたと考えられますが、他にも、自動車を人に衝突させたり、人を振り落としたりした場合は、被害者が死亡する可能性や、生命にかかわる深刻な傷害を与える可能性が容易に想定されますから、殺人罪の実行の着手があったと判断される可能性があるといえるでしょう。

最近でも、那覇市内で男性を目がけて軽自動車を走らせて衝突させ、男性に腰部打撲など加療約7日のけがを負わせたとして殺人未遂の罪に問われ、懲役2年6月、保護観察付き執行猶予4年の判決を言い渡されたケースがあります。(3月25日 琉球新報 「車ぶつけて殺人未遂…男に執行猶予付き有罪 那覇地裁判決」

結果として被害者のケガが軽く済んだ場合であっても、殺人未遂罪で起訴されれば裁判員裁判となり、大きな負担を伴うことになります。
殺人未遂罪の疑いで逮捕された場合には、すぐに弁護士の接見を受け、今後のアドバイスを受けることを強くおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を中心に取り扱っている法律事務所です。
ご家族が自動車の運転に関連した殺人未遂罪の疑いで逮捕され、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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