ひき逃げ事件で自首

2020-11-14

ひき逃げ事件で自首が成立する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

東京都世田谷区をバイクで走行していたAさんは、交差点に進入した際、横断道路を横断しようとしていた女性と接触しました。
Aさんは、後ろを振り向いて女性が倒れていることを確認したのですが、気が動転しておりそのまま立ち去ってしまいました。
しかし、Aさんは自責の念に駆られ、警視庁北沢警察署自首をしようと考えています。
(フィクションです)

ひき逃げ事件を起こしたら

道路交通法は、交通事故があったときの運転者等のとるべき措置について定めています。
車やバイク、自転車などの運転し、事故を起こしてた場合、事故に係る車両等の運転手は、すぐに車両を停めて、負傷者がいれば救護し、道路における危険を防止する等必要な措置をとらなければなりません。

道路交通法第72条1項前段は、交通事故があったときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない旨を規定しています。
ここでいう「交通事故」というのは、「車両等の交通による人の死傷もしくは物の損壊」をいいます。
「車両等」は、原則的には、自動車、原動機付自転車、軽車両、トロリーバスや路面電車のすべてを含みます。
二輪車は、50cc以下が「原動機付自転車」、50~400ccが「普通自動二輪者」、400cc~が「大型自動二輪車」となり、50ccを超える二輪車は「自動車」に該当します。

「負傷者を救護し」とは、現場において応急の手当てをすることや、医師への急報、救急車の要請、病院へ負傷者を運ぶことなどの行為をいいます。
「道路における危険を防止する等必要な措置を講じ」とは、例えば、その交通事故を起こした車両等をそのまま道路上に放置することは危険ですので、これをすみやかに他の場所に移動させる行為や、負傷者が倒れているときには、これをすみやかに道路外の安全な場所に移動させるなどの行為があげられます。
この義務に反して、事故現場から立ち去る行為が、いわゆる「ひき逃げ」と呼ばれます。

また、交通事故によって人が負傷、最悪の場合には死亡しているのであれば、道路交通法違反に加えて、過失運転致死傷罪または危険運転致死傷罪に問われる可能性があります。

自首とは

人身事故を起こしたにもかかわらず、負傷者を救護せず、その場を立ち去ったAさんは、自首しようかと考えています。
そもそも、「自首」というのは、法律上、犯人が捜査機関に対し、自発的に自己の犯罪事実を申告して、訴追を求めることをいいます。
法律上の「自首」が成立するためには、次の要件を充たす必要があります。

①捜査機関への発覚前
自首が成立するためには、捜査機関、つまり、検察官または司法警察職員が、犯罪事実や犯人を認知・特定するまでの段階に行われなければなりません。

②自己の犯罪事実の申告
自分の犯罪事実についての申告でなければならず、申告した犯罪事実の一部に虚偽がある場合、例えば、単独犯であると虚偽申告をして共犯者を隠避した場合や、刑責を軽減するために、軽い罪の犯罪事実として虚偽の申告をした場合は、自首の成立が否定されます。

③自発性
犯罪事実の申告は、自発的でなければなりません。
捜査機関の取り調べに対する自白は、自発的とは言えず、自首にはあたりません。

④自己の訴追を含む処分を求める
自己の犯罪事実の申告には、自己の訴追を含む処分を求める趣旨が明示的・黙示的に含まれている必要があります。
申告内容が、犯罪事実の一部を隠すためのものである場合や、自己の責任を否定するようなものである場合には、自首は成立しません。

自首が成立した場合の効果は、刑の任意的減軽です。
犯行態様、社会的影響、前科の有無、犯行から自首までの経過年数、反省の有無などを考慮して、減軽するか否かが決められます。

また、自首することで、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがないと判断され、逮捕・勾留といった身体拘束を伴う強制処分を受けない可能性もあります。

自首前に刑事事件に強い弁護士に相談・依頼するメリット

自首をした場合、その後は、被疑者として捜査の対象となり、取り調べを受けることになります。
しかし、刑事事件の流れやどのように取り調べに対応すべきかといったことについての知識を十分に持っていらっしゃる方は、そう多くありませんので、自首する前に、刑事事件に強い弁護士に相談し、自首した場合どのような流れになるのか、取り調べではどのような受け答えをすべきか、どういった点に注意すべきかを事前に知っていると、安心して自首することができるのではないでしょうか。
また、一人で警察署に自首しに行くのは勇気がいることですし、そのまま逮捕されるという可能性もあります。
そのため、事前に弁護士に弁護を依頼し、出頭への同行や、逮捕された際には接見を依頼しておくのもひとつも手でしょう。
弁護士に、逮捕を回避するよう捜査機関宛に意見書を提出してもらい、逮捕回避の可能性を高めるなど、身体拘束の回避に向けて早い段階から動くこともあるでしょう。

自首を検討されている場合には、事前に弁護士に相談し、自首に関するアドバイスを受けるのがよいでしょう。

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