偽装免許証の行使で逮捕

2020-08-08

偽造免許証行使逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

大阪府河内長野市を車で走行中、一旦停止を怠ったとして、Aさんは、大阪府河内長野警察署の警察官に運転免許証の提示を求められました。
Aさんは、警察官に所持していた運転免許証を提示しましたが、提示された免許証が偽造されたものであったことが発覚し、Aさんは道路交通法違反及び偽造有印公文書行使の疑いで逮捕されました。
(フィクションです)

偽造免許証の行使は何罪?

Aさんは、偽の運転免許証を警察官に提示しましたが、この行為は、「偽造公文書行使」という罪に当たる可能性があります。

偽造公文書行使罪

偽造公文書行使罪は、刑法第158条に規定されています。

第158条 第154条から前条までの文書若しくは図画を行使し、又は前条第1項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。

◇客体◇

偽造公文書行使の客体は、刑法第154条から157条に規定された行為によって作成された文書、図画、および電磁的記録です。
刑法第154条は詔書偽造等、155条は公文書偽造等、156条は虚偽公文書作成等、そして、157条は公正証書原本不実記載等の罪について規定しています。

155条は、有印公文書偽造罪、有印公文書変造罪、無印公文書偽造・変造罪を規定しています。
本条の対象となる「公文書・公図画」とは、公務所または公務員が、その名義で、その職務権限に基づいて作成すべき文書・図画のことをいいます。
運転免許証は、都道府県公安委員会によって発行される運転許可を証明する公文書ですので、155条の客体に当たります。
運転免許証は、身分証明書として広く利用されているため、偽造の対象となり易いのです。
最近では、偽造した運転免許証を販売する海外の業者とネットを介して簡単に連絡がとれるため、安易に偽造免許証を入手し行使するケースが多くなっています。

◇行為◇

偽造公文書行使の実行行為は、客体となる偽造文書を「行使」することです。
「行使」とは、偽造文書を真正文書として、または、内容虚偽の文書を内容真実の文書として使用することです。
ここでいう「使用」というのは、文書の内容を相手方に認識させ、または、認識可能な状態に置くことです。
Aさんのように、偽造免許証を警察官に提示する行為は、警察官に提示した免許証を本物の免許証として使用していますので、行使したと言えるでしょう。
本罪の成立には、行為者本人が偽造文書を作成したことまで必要とされません。
Aさんが偽造免許証を作成したか否かにかかわらず、実際に偽造した運転免許証を行使したことで偽造公文書行使罪は成立します。

加えて、Aさんが公安委員会の免許を受けずに車両を運転していたのであれば、無免許運転となり、道路交通法違反も成立することになります。

偽造免許証の行使で逮捕された場合

逮捕後、勾留請求される可能性は高いでしょう。
しかし、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがないことを証明し、身体拘束を伴う必要がないこが認められれば、裁判官が勾留請求を却下する、又は裁判所が勾留の決定を取消す可能性はあります。
勾留となれば、逮捕から13日もの間身体拘束を受けることになりますので、その間会社や学校に行くことができず、解雇や退学といった可能性も生じてきますので、逮捕となれば、できる限り早期に弁護士に相談し、解放に向けて動くのがよいでしょう。

偽造公文書行使罪は重い罪ですので、公判請求される可能性が高いでしょう。
容疑を否認する場合は、無罪に向けた活動を、容疑を認めている場合には、執行猶予獲得を目指した活動を行うことになります。

このような活動は、刑事事件に精通した弁護士に任せるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が偽造免許証行使逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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