無免許で原付を運転中に人身事故を起こし逃亡
今回は、無免許で原付を運転している際に人身事故を起こし、逃亡してしまった場合に問われうる犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
Aさんは、無免許で原付を運転中、誤って歩行者Vと接触してしまい、怪我を負わせてしまいました。
しかし、無免許運転が発覚するとまずいと考えたAさんは、警察や救急車を呼ばずにその場から逃走してしまいました。
Aさんはいつ逮捕されるのかと、不安にかられています。
どうすればよいのでしょうか。(フィクションです)
~Aさんに成立しうる犯罪~
(無免許過失運転致傷罪)
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、10年以下の懲役に処せられます(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第6条4項・5条)。
「自動車」には、原付も含まれます(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第1条1項)。
Aさんは原付を運転中、誤ってVと接触し、怪我を負わせていますが、この時Aさんは無免許運転をしていました。
上記の事実関係によれば、無免許過失運転致傷罪が成立する可能性が高いと考えられます。
(救護義務違反、危険防止等措置義務違反)
一般に「ひき逃げ」と呼ばれる犯罪です。
道路交通法第72条1項前段は、
「交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない」
としています。
Vの怪我は明らかにAさんの運転に起因するものと考えられますが、無免許運転が発覚するとまずいと考えたAさんは、救急車を呼び、Vを救護することも、道路の危険を防止する措置を講じることもなく、事故現場から立ち去ってしまいました。
上記行為は、道路交通法違反の罪(救護義務違反・危険防止等措置義務違反)を構成する可能性が高いと思われます。
法定刑は、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金となっています。
~Aさんは今後どうなる?~
ひき逃げ事件の犯人が数日以内に検挙されることは珍しくありません。
ある日、警察がAさんの自宅に現れ、そのまま逮捕されてしまう可能性は十分あります。
すぐにでも刑事事件に詳しい弁護士と相談し、アドバイスを受ける必要があります。
~自首・出頭を検討~
とはいえ、弁護士を依頼することによって、逃走の支援を受けたり、証拠隠滅のアドバイスを受けることはできません。
ケースの場合は、自首・出頭することを検討することになると思われます。
(自首・出頭を行うメリット)
自首が成立すれば、有罪判決を受ける場合に刑の減軽がなされる場合があります。
また、自ら犯罪事実を申告したことが評価され、逮捕されずに済む場合もあります。
自首が成立するためには厳格な要件があり、これを満たさない場合には「出頭」扱いとなります。
出頭に留まった場合には、これによって刑が減軽されることはありませんが、いずれにしても自ら犯罪事実を申告したことが肯定的に評価される可能性は存在します。
また、Aさんはいつ逮捕されてしまうのか、と不安にかられています。
自首・出頭することにより、そのような状況に終止符を打つことができるでしょう。
(自首・出頭を行うデメリット)
ケースの場合、自首・出頭を行うことにより、ほとんど確実に無免許過失運転致傷・ひき逃げ事件の被疑者となってしまいます。
また、ケースの事件は比較的悪質な事件であり、自首・出頭後に逮捕されてしまう可能性も存在します。
「自分が事件の犯人である」と申告するのですから、被疑者とされるのは仕方がないという他にありませんが、逮捕・勾留されてしまうリスクも考えなければなりません。
自首・出頭により事件解決を目指す場合には、被疑者となってしまうことについて覚悟ができる場合に限られます。
~自首・出頭前に弁護士を依頼する~
上記のように、自首・出頭することによってデメリットを被る可能性は否定できません。
自首・出頭前にあらかじめ弁護士を依頼しておくことにより、被疑者となってしまった後、あるいは、逮捕されてしまった後において、早期に弁護活動を開始することができます。
まずは弁護士と相談し、今後の対策についてアドバイスを受けることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
無免許過失運転致傷事件・ひき逃げ事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。