愛知の酒気帯び運転事故事件で逮捕 釈放の弁護士
愛知の酒気帯び運転事故事件で逮捕 釈放の弁護士
Aさんは、自転車を酒気帯び運転していたところ、横断歩道を渡っていた歩行者に気付かず衝突事故を起こしてしまいました。
歩行者は、路上に転倒した際、全治3週間のケガをしました。
愛知県警中村警察署は、Aさんを重過失致傷の容疑で取り調べ、近く書類送検する方針です。
(フィクションです)
~自転車事故で重過失致傷罪が問題となった事例~
今回は、最近よく話題にされる自転車による加害事故の事例をご紹介したいと思います。
自転車による加害事故の場合、刑事裁判では「重過失致死傷罪」の成否がよく問題になります。
そこで、以下では「重過失」の認定に注目して、事案を紹介していきたいと思います。
■福岡高等裁判所判決昭和55年6月12日(重過失を認めた事例)
本件は、自転車を酒気帯び運転していた被告人が駅前の信号交差点において、歩行者と衝突した人身傷害事故事件です。
被告人は、対面信号が黄色であることを認識しながら、あえて交差点に進入し、青色信号に従って進行を始めた歩行者と衝突したということです。
福岡高裁は、被告人の行為について、
「現場は、駅前の信号交差点で見通しも良く、朝夕は通勤者や車両の交通量も多い。
そのため、自転車運転者は信号に従うのはもちろん、歩行者の動静を十分注視し、安全を確認しつつ進行し未然に事故を防止すべき注意義務があった。
交差点に進入後間もなく、横断歩道左側に歩行者を認めていたことから、青色信号に従って歩行者が進行を始めることも気づくことはできた。
そして、被告人は自転車であることから歩行者との衝突の危険を容易に避けられた。
にもかかわらず、漫然同一速度で進行した結果、被害者と衝突し傷害を負わせているのであるから、重過失があったことは明らか」
と判断しました。
■大阪高等裁判所判決昭和42月1月18日(重過失を認めなかった事例)
本件は、氷70キロを後部荷台に乗せた自転車を時速約15キロで運転していた際、交差点を渡ろうとした歩行者と衝突した人身傷害事故事件です。
被告人は、青信号に従って交差点を渡ろうとしていました。
一方、横断歩道を渡ろうとしていた被害者の対面信号は、赤信号でした。
そのため、被告人は「被害者が左右を確認することで被告人の自転車に気付き避けてくれる」などと考え走行しました。
この件について、大阪高裁は、
「被告人が警音器の操作により、被害者の注意を喚起しその避譲を促す処置をしなかった点には、過失が認められる。
しかし、このような状況下におけるこの程度の過失は注意義務の程度が著しい場合(重過失)に該当するとは解し難い」
として、軽過失の責任しか認めませんでした。
なお、この事件では、被告人の重過失は認定されなかったため、「重過失致傷罪」は成立しません。
もっとも、軽過失があることは認められているため、「過失傷害罪」が成立することになります。
愛知名古屋弁護士ノリタケ法律事務所は、酒気帯び運転・自転車事故の法律相談も随時受け付けています。
お困りの方はすぐにご相談下さい。
なお、愛知県警中村警察署に逮捕されたという場合には、初回接見サービスを利用することで弁護士を警察署に派遣することも可能です(初回接見費用:3万3100円)。