名古屋の酒酔い運転事故事件で逮捕 実刑判決に強い弁護士
名古屋の酒酔い運転事故事件で逮捕 実刑判決に強い弁護士
Aさんは、友人と名古屋市熱田区の居酒屋で飲酒した後、車を運転して自宅に戻っていました。
その途中、Aさんが車線変更時の注意を怠っため、後方から来たバイクと接触し、バイクに乗っていたVさんに重傷を負わせてしまいました。
通報を受けて駆け付けた愛知県警熱田警察署の警察官は、Aさんを現行犯逮捕し、取調べを行っています。
(フィクションです)
昭和36年10月24日仙台高等裁判所
~酒酔い運転と業務上過失傷害罪との関係性~
今回は、以前もご紹介した昭和36年10月24日仙台高等裁判所判決を再び取り上げたいと思います。
当該事件の内容について簡単に確認すると、被告人は、
「酒に酔って車を運転し人身事故を起こしたが、被害者を救護することなく現場から立ち去った」
として、
・「酒酔い運転罪」
・「業務上過失傷害罪(現・過失運転傷害罪)」
・「報告義務違反罪・救護義務違反罪(ひき逃げ)」
に問われたものです。
前回は、この中でも報告義務違反と救護義務違反の関係性について書きました。
今回は、「酒酔い運転罪」と「業務上過失傷害罪(現・過失運転傷害罪)」との関係性についてです。
具体的には、どのような話かというと、これらの罪が「併合罪」として処理されるか「観念的競合」として処理されるのかと問題です。
「併合罪」と「観念的競合」については、以前のブログでもご説明しましたので、そちらをご覧ください(2015年3月3日のブログ)。
第一審判決は、「酒酔い運転罪」と「業務上過失傷害罪」が成立し、両者は併合罪になるとしました。
これに対して、仙台高裁は、
「業務上過失傷害罪の過失の内容は、酔いをさまして正常な運転が出来るようになるまで運転を見合わせ、事故発生を防止する義務を怠って自動三輪車を運転したこと。
すなわち、酒酔い運転自体が業務上過失傷害罪の過失の内容である。
したがって、酒酔い運転と業務上過失傷害は、1個の行為で数個の罪名に触れる『観念的競合』として処断すべき」
と判断しました。
ちなみに、この判決が出た後の昭和49年5月に最高裁は、以下のように述べ、「酒酔い運転と自動車運転過失致死罪は併合罪である」と判断しています。
「(酒酔い運転において問題となる)自動車を運転する行為は、時間的継続と場所的移動を伴うものである
それに対し、その過程において人身事故を発生させる行為は、運転継続中における一時点1場所における事象である。
したがって、社会見解上別個のものと評価すべきである」
というわけで、現在は酒酔い運転中に人身事故を起こしてしまった場合、両者は「併合罪」の関係になると考えられます。
愛知名古屋弁護士ノリタケ法律事務所は、刑事事件専門の弁護士事務所です。
交通事故・交通違反事件の刑事裁判で実刑判決を回避したいという方にも、ぜひご相談いただきたいと思います。
なお、愛知県警熱田警察署に逮捕されているという場合、初回接見費用は3万5900円です