執行猶予中の交通事故 愛知県の弁護士

2014-12-18

執行猶予中の交通事故 愛知県の弁護士

Aさんは、友人と酒を飲んだ後、代行運転を頼むお金が残っていなかったため、やむを得ず車を運転して帰宅していました。
その途中、同乗していた友人の運転妨害により、ハンドル操作を誤ったため交通事故を起こしましたが、被害者を救護することなく逃走しました。
愛知県警東海警察署は、Aさんを酒気帯び運転及びひき逃げの容疑で逮捕しました。

※今回は、平成19年12月11日の松山地方裁判所判決を参考にしました。

~執行猶予中の交通事故・交通違反事件~

平成19年の松山地方裁判所判決は、執行猶予中飲酒運転及びひき逃げ事件でした。
(交通事故については、被告人の過失が認められず、無罪となりました)

被告人が飲酒運転をした動機は、「代行運転を頼むお金がなかった」、「早朝4時という時間帯ゆえ警察の取締りもないだろうと思った」ことでした。
ひき逃げに関しては、「飲酒運転が明らかになって警察に逮捕されること」「執行猶予が取り消されること」を恐れての犯行でした。
裁判官は、こうした被告人の犯行動機に対して「身勝手かつ短絡的」などとして酌量の余地を認めませんでした。
また2つの前科歴があり、執行猶予中の犯行でもあったため、被告人の規範意識が著しく鈍っていると指摘しました。
今回の事件では、

・被告人には養うべき子供がいる
・被害者の負傷程度が軽微
・反省の言葉を述べ、更生を誓っている
・母親が監督する旨述べている

などといった事情があることから、初犯であれば執行猶予判決や不起訴処分の可能性もあったでしょう。
しかしながら、前述の事情から懲役8か月の実刑判決となったのでした。

~執行猶予中に罪を犯したらどうなるのか?~

執行猶予中交通事故・交通違反事件を起こしてしまったらどうなるのでしょうか?
例えば前述の松山地裁判決の場合、被告人には執行猶予中の罪について懲役刑が言い渡されています。
この場合、それ以前に被告人に対して言い渡されていた執行猶予は、取り消されることになります。
つまり、被告人は、松山地裁によって科せられた懲役刑とそれ以前に執行を猶予されていた刑罰の両方を執行されることになるのです。

もっとも、執行猶予中に罪を犯した場合、すべてのケースで執行猶予が取り消されるわけではありません。
例えば、執行猶予中に罪を犯したものの、罰金刑で済んだ場合には、執行猶予が取り消されない可能性があります。

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