【事例紹介】停車中の車に追突してけがを負わせ、逃走した事例
【事例紹介】停車中の車に追突してけがを負わせ、逃走した事例
車を運転中に停車していた軽自動車に追突し、けがをさせて逃走したとして、過失運転致傷罪などの疑いで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
過失運転致傷などの疑いで、長岡市に住む会社員の男(50)が9日、逮捕されました。
警察の調べによりますと、(中略)乗用車を運転中、前に停まっていた軽自動車に追突する事故を起こし軽自動車に乗っていた40代女性と50代男性に頸椎捻挫などのケガをさせたのに逃走した疑いです。
(後略)
(1月11日 TeNY NEWS NNN 「大みそかの未明 追突事故おこし2人にケガさせ、車を残して逃走 会社員の50歳男を逮捕《新潟》」より引用)
過失運転致傷罪
過失運転致傷罪は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下「自動運転処罰法」といいます。)第5条で規定されています。
自動車運転処罰法第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
簡単に説明すると、自動車を運転するのに必要な注意をせずに人にけがを負わせた場合に、過失運転致傷罪が成立します。
今回の事例では、容疑者は車を運転中に前に停車していた軽自動車に追突して事故現場から逃走したとされています。
また、報道によると、追突された軽自動車に乗っていた女性と男性は頸椎捻挫などのけがを負っているようです。
車を運転するうえで前方に注意を払うのが当然ですし、通常は前方をしっかりと確認していれば追突する前に停車している車に気づくと思います。
ですので、実際に容疑者が停車中の車に追突する事故を起こしており、前をしっかりと見ていれば避けられるような事故だった場合には、運転上必要な注意を怠ったとして、過失運転致傷罪が成立する可能性があります。
ひき逃げ
ひき逃げは道路交通法第72条1項に規定されています。
道路交通法第72条1項(一部省略しています。)
交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。
事故を起こした場合には、負傷者の救護と警察署への報告の2点を行う必要があります。
負傷者の救護や警察署への報告を行わない場合には、ひき逃げとして扱われることになります。
今回の事例では、容疑者は追突事故を起こして逃走したとされています。
実際に容疑者が事故を起こして、被害者の救護や事故の報告を行わずに逃走したのであれば、道路交通法違反が成立するおそれがあります。
自己の運転が原因で事故を起こしてけがをさせ、救護をしなかった場合に道路交通法違反で有罪になれば、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第117条2項)
また、事故を起こして警察に報告せずに道路交通法違反で有罪になった場合には、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第119条1項17号)
逮捕されたら
刑事事件や交通事件では、逮捕されると72時間以内に勾留の判断がなされます。
勾留が決定した場合には、最長で20日間、勾留前の期間も合わせると23日間にわたって身体拘束を受けることになります。
この期間は自由が制限されますので、会社へ通勤することはできませんし、家族との面会も制限されます。
普段の日常とはかけ離れた生活を送ることになりますので、1か月に満たない期間であってもかなりのストレスがかかることが予想されます。
精神的に不安な状態で取調べを受けることで、意に反する内容の供述調書が作成されてしまう危険性もあります。
法律に詳しい弁護士が接見を行うことで、少しでも今後の不安が和らぐ可能性がありますし、取調べのアドバイス等も受けられますので、ご家族が逮捕された際には、弁護士に相談をすることをお勧めします。
また、弁護士は勾留前や勾留決定後に釈放を求める働きかけを行うことができます。
弁護士が釈放に向けた身柄開放活動を行うことで、早期釈放を実現できる可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービスを行っています。
弁護士に相談をすることで、少しでもご家族の不安を和らげることができるかもしれません。
また、早期釈放を実現できる可能性がありますので、ご家族が逮捕された方は、お気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。