赤信号無視で危険運転

2021-09-28

赤信号無視で危険運転について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

Aさんは、深夜午前1時頃、普通乗用自動車を運転して帰宅途中、前方約70メートルにある交差点の対面信号が赤色表示をしていたにも関わらず、「深夜だし交差点を通過する車はいないだろう」「早く家に帰ってゆっくりしたい」などと思って、時速約60キロメートルで交差点に進入したところ、右方から交差点に進入してきたVさん運転の軽自動車に自車を衝突させ、Vさん運転の軽自動車を電柱に衝突させてVさんに加療約1か月間を要する怪我を負わせました。Aさんは、警察官に過失運転致傷罪で現行犯逮捕され、その後、検察庁において、罪名を危険運転致傷罪に切り替えられて起訴されました。
(フィクションです)

~過失運転致傷罪、危険運転致傷罪~

過失運転致傷罪、危険運転致傷罪とも「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、法律)」に規定されています。
過失運転致傷罪は法律5条に、危険運転致傷罪は法律2条に定められています。
危険運転致死傷罪については法律2条1号から6号にその類型が定められており、本件は法律2条5号が適用されそうです(罰則15年以下の懲役)。
法律2条5号には赤色信号(略)を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為定められています。

「赤色信号を殊更に無視し」とは、故意に赤色信号に従わない行為のうち、およそ赤色信号に従う意思のないものをいいます。この意思があるかどうかは、運転者が、どの地点で対面信号が赤色表示していたのを認識していたかにもよります。

次に、「重大な交通の危険を生じさせる速度」とは、自車が相手方と衝突すれば大きな事故を生じさせると一般的に認められる速度、あるいは、相手方の動作に即応するなどしてそのような大きな事故を回避することが困難と認められる速度のことをいい、通常時速20~30キロメートルであればこれに当たると考えられています。

~両罪の違い~

まず、大きな違いは法定刑です。
過失運転致傷罪が「七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金」であるのに対し、危険運転致死傷罪は「人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役」です。
特に、危険運転致死罪の場合、1年以上の有期懲役ですから、起訴され、有罪となれば実刑判決を受ける可能性も十分にあります。

次に、前者は過失、すなわち不注意によって交通事故を起こした場合に適用されるのに対し、後者は故意、すなわち法律5条各号に規定されている状態・状況を運転者が認識しながらあえて自動車を運転して交通事故を起こした場合に適用される法律です。

たとえば、前述の5号の「赤色信号」を例にとりましょう。
運転者が前方の赤色信号を認識しつつ、あえてこれに従わず交差点に進入したと認められる場合(かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転した場合)は危険運転が適用される可能性が高いでしょう。他方、不注意によって赤色信号を示していた交差点に進入してしまい交通事故を起こした場合は過失運転が適用されるでしょう。

危険運転か過失運転かは、交通事故態様や事故時。事故後の状況などを総合して判断されます。
よって、捜査の結果、危険運転から過失運転になったり、あるいはその逆となることもあります。

危険運転で捜査を受けお困りの方は弁護士までご相談ください。

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