ひき逃げで自首して逮捕
ひき逃げで自首をして逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例】
ある日の深夜、自動車で神奈川県伊勢原市内を走行していたAさん。
しかし道端を歩いていた歩行者をはねてしまいました。
怖くなったAさんは、そのまま逃走してしまいました。
翌日、冷静になったAさんは神奈川県伊勢原警察署に出頭し、昨夜のひき逃げは自分がしたものだと告げ、そのまま逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~人を死傷させて成立する犯罪~
自動車で人身事故を起こし、さらにひき逃げまでした場合には、多くの犯罪が成立してしまい、厳しい判決を受けることが予想されます。
一通り、成立する可能性のある犯罪を見ていきましょう。
まず、自動車で人をひいて負傷させた場合は過失運転致傷罪が、死亡させた場合は過失運転致死罪が成立する可能性があります。
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
第5条(過失運転致死傷)
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
さらに、ひいてしまった原因が飲酒運転やスピード違反などにあり、中でも悪質なケースでは、より重い刑罰が定められた危険運転致死傷罪が成立する可能性もあります。
同法第2条(危険運転致死傷)
次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
第1号 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
第2号 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
(以下略)
このように、事故原因によっては非常に重い刑罰を受ける可能性があります。
なお、最初に条文を上げた過失運転致傷罪の場合、運転者にあまり落ち度がなければ罰金や不起訴処分で終わったり、刑罰が免除される可能性も残されています。
ところが逃げてしまった場合にはそうはいかなくなってしまいます。
~逃げたことで成立する犯罪~
人身事故を起こした後、被害者を助けず逃げてしまった場合には、道路交通法に定められた①被害者を救護する義務と、②警察官への報告義務に違反したことになります。
それぞれ以下のような刑罰が定められています。
①救護義務違反(道路交通法72条1項前段・117条2項)
→10年以下の懲役または100万円以下の罰金
②報告義務違反(道路交通法72条1項後段・119条1項10号)
→3か月以下の懲役または5万円以下の罰金
さらに、単純に怖くなって逃げたのではなく、飲酒運転の発覚をおそれて逃げてしまった場合には、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪という犯罪が成立する可能性があります。
一度逃げて、アルコールが抜けてから自首すれば、アルコールの影響による事故かどうかがわからなくなり、前述の危険運転致死傷罪には問えなくなるという事態は不合理なので、このような犯罪を設けて重く罰することができるようにしているのです。
罰則は12年以下の懲役です。
このように、ひき逃げをすると様々な犯罪が成立し、重い処罰を受ける可能性が出てきてしまいます。
~自首したことで罪が軽くなる?~
Aさんのように自首したことで、刑罰が軽くなる可能性もゼロではありません。
刑法42条1項
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
ただし、ひいた犯人がまだわかっていない段階で出頭しないと、この条文は適用されないことになっています。
遅かれ早かれ見つかって逮捕されますから、怖くなってつい逃げてしまった場合でも、出来るだけ早く自首することを考えた方がいいでしょう。
~お早めに弁護士にご相談を~
あなたやご家族が、交通事件を含む何らかの犯罪をしてしまった場合、早く釈放してほしい、出来るだけ軽い処罰にしてほしい、被害者の方にはしっかり謝罪・賠償したいといった状況だと思います。
しかし具体的にどう動いていったらよいのか、わからないと思います。
弁護士はより良い事件解決に向けて弁護活動をしてまいりますので、ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件を含む刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。