スピード違反で逮捕

2020-03-21

スピード違反で逮捕

今回は、スピード違反の疑いで逮捕されてしまうケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~
Aさんは、埼玉県内の時速80キロメートル制限の高速道路において、自動車を時速180キロメートルで走行させていたところ、自動速度取締装置が赤く発光したのを見ました。
後日、埼玉県警高速道路交通警察隊から出頭を要請されましたが、出頭するのが面倒だったので無視することにしました。
半年近く無視していたところ、Aさんの自宅に現れた警察官から逮捕状を見せられ、道路交通法違反の疑いで逮捕されてしまいました。
Aさんはどうしてスピード違反で逮捕されてしまうのか納得できず、憤っています。(フィクションです)。

~スピード違反について解説~

道路交通法第22条1項には、「車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない」と定められています。
Aさんが運転した高速道路の最高速度は「時速80キロメートル」と指定されているので、これを超えた速度で運転する行為は道路交通法に違反します。

さらに、道路交通法第118条1項1号は、「第二十二条(最高速度)の規定の違反となるような行為をした者」を、「六月以下の懲役又は十万円以下の罰金」に処するとしています。
スピード違反行為は、刑罰が予定されている、立派な犯罪行為なのです。

~交通反則通告制度について~

Aさんが自身の行為について重く考えなかったのは、交通反則通告制度(いわゆる『青切符』の制度です)の存在によるものかもしれません。

スピード違反などの道路交通法に違反する行為は犯罪ですので、本来は刑事裁判を受けて処罰され、前科が付くことになります。
しかし、比較的軽い違反の場合には、所定の反則金を納付することにより、そこで手続を終了させ、刑事裁判や処罰、前科を避けることができる制度になっているのです。

もっとも、反則金の納付を長期間怠るなどすれば、スピード違反行為が犯罪である以上、逮捕されてしまう可能性があります。

~今回は反則金制度の対象外~

しかしAさんのように、最高速度を時速100キロメートル超過して自動車を運転した場合には、軽い違反とは言えず、交通反則通告制度の適用はありません。

警察がAさんに出頭を求めた理由は、逮捕まではしないものの、あくまで刑事裁判にかけようとしたからです。
しかし出頭要請を正当な理由なく無視していれば、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるとみなされ、逮捕されてしまうことにもつながります。

Aさんとしては、弁護士に相談し、取調べでの受け答え方のアドバイスを聞いた上で、なるべく早く出頭すべきであったと考えられます。

~刑事手続の流れ~

今回の事件は、適切な身柄解放活動を尽くすことにより、比較的早期に外へ出られるかもしれません。

ですが今回は、スピード違反としてはかなり悪質な部類に属する事件です。
裁判では検察官が、被告人をどのくらいの刑罰にするべきかという意見を述べてきますが(求刑)、罰金ではなく懲役を求刑してくる可能性が十分あります。

罰金や執行猶予付き判決の獲得を目指して、弁護士と十分善後策を練る必要があるでしょう。

~公判に向けた準備~

車を処分し、二度と運転しないと誓うことを含めて、準備を行う必要があります。
また、責任をもってAさんを監督できる人物を探して、法廷で証言してもらう必要もあります。

また刑事事件においては、被害者と示談をする活動が重要視されていますが、スピード違反の場合は、傷害罪におけるような被害者が存在しません。
この場合は、弁護士会などの団体に寄付をして謝罪の意思を示す「贖罪寄付」が有効かもしれません。
弁護士と相談しながら、よりAさんにとって有利な事件解決を目指していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族がスピード違反などで逮捕された、取調べを受けるといった方は、ぜひご相談ください。

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