バイクで飲酒運転

2019-05-26

バイクで飲酒運転

神奈川県茅ケ崎市に住むAさんは、高校時代の友人と飲み会をすることになり、バイクで居酒屋に向かいました。
久しぶりに会った友人との飲み会は大いに盛り上がり、Aさんはかなり酔っぱらってフラフラな状態でした。
その後、飲み会が終わり、解散することになりました。
フラフラな状態のAさんを見て友人は、「バイク置いてタクシーで帰れよ」と言いました。
それに対しAさんは、「近くだからバイク押して帰る」などと言いながら、バイクを押して帰っていきました。
Aさんは、途中でバイクを押すことに疲れ、バイクを運転してしまいました。
しかし、フラフラな状態のAさんは、案の定、バランスを崩して転倒。
歩道にバイクごと乗り上げ、歩行者とぶつかりケガをさせてしまいました。
Aさんもケガをしたことから、歩行者とともに救急車で病院に運ばれました。
翌日、Aさんの入院する病院に神奈川県茅ケ崎警察署の警察官が訪れ、もう少し回復したら取調べをする旨を言い残し、帰っていきました。
Aさんはどうなってしまうのでしょうか。
(フィクションです)

~バイクの飲酒運転もダメ、ゼッタイ~

飲酒運転で人を死傷させたニュースを見ると、自動車を運転して事故を起こしたケースが多いと思います。
しかし、当然ながらバイク・原付での飲酒運転も禁止されており、事故を起こした際には自動車の飲酒運転の場合と同じ法律が適用されます。
条文を見てみましょう。

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道路交通法
第65条1項
何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。

第117条の2
次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
第1号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの

第117条の2の2
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第3号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転処罰法)
第2条
次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。
第1号 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為

第3条
アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は12年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は15年以下の懲役に処する。

第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

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飲酒運転には、罪が軽い順に以下のような罪が成立する可能性があります。

①酒気帯び運転の罪(道路交通法第65条1項、第117条の2の2第3号)
②酒酔い運転の罪(道路交通法65条1項、第117条の2第1号)
③過失運転致傷罪(自動車運転処罰法5条)+①または②
④自動車運転処罰法3条の危険運転致死傷罪
⑤自動車運転処罰法2条1号の危険運転致死傷罪

①と②は事故を起こしていなくても飲酒運転をした時点で成立し、免許取消しや免許停止にもなるでしょう。
①はろれつが回らなかったり、千鳥足になっているなど、正常な運転が出来ない恐れがある場合で、そこまでではないが飲酒はしているという場合が②です。

さらに人をケガさせたり、死亡させた場合には、③④⑤が成立する可能性が出てきます。
③は、飲酒運転をしているが、事故の直接の原因が飲酒運転以外にある場合(たとえばわき見運転やスピード違反)に成立します。

④と⑤は事故の直接の原因が飲酒運転にある場合です。
⑤は最初から正常な運転が困難な状態で運転した場合を規定しています。
④は正常な運転に支障が生じるおそれがあるにとどまる状態で運転をはじめ、やがて正常な運転が困難な状態に陥って事故を起こした場合を規定しています。
⑤の方がより悪質なので、より重い刑罰が定められています。

~逮捕・懲役の可能性も~

今回のAさんのような場合にどの条文が適用されるかの判断は難しいところです。
実際には、より詳しい事情もふまえて判断されることになりますが、居酒屋を出た時やバイクを乗る時にフラフラだったことを考えれば、一番重い⑤の危険運転致傷罪が成立する可能性も否定できません。

そして警察はAさんの回復を待ってAさんを逮捕するかもしれません。
その後、刑事裁判を受けて、懲役刑を受ける可能性もあるでしょう。

自動車での飲酒運転はもちろん、バイク・原付の飲酒運転で交通事故を起こした場合も、一度弁護士に相談されるとよいでしょう。
弁護士であれば、それぞれの事案に応じた今後の見通しや、取調べの受け方についてアドバイスすることができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事弁護を専門とする弁護士による法律相談が初回無料となっております。
ぜひ0120-631-881までご連絡ください。
神奈川県茅ケ崎警察署までの初回接見費用:37,600円

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