神戸市長田区のスピード違反

2019-05-01

神戸市長田区のスピード違反

~ケース~
神戸市長田区在住のAさんはある日,出産間近の妻が陣痛を訴えたため,急いで妻を病院に連れて行くために一般道路を時速110km程度の速度で走行した。
その際,法定上限速度は時速60kmであったため,道路に設置してあったオービスが作動した。
後日,オービスによって撮影された写真からAさんはスピード違反をした道路交通法違反の疑いで兵庫県長田警察署によって呼び出しを受けた。
(フィクションです)

~オービス~

オービスとは正式には自動速度違反取締装置といい,公道上の特定の場所に設置されています。
オービスが作動すると当該車両の速度を記録し,ナンバープレートおよび運転手の撮影が行われます。
基本的には一発免停となる非反則行為の違反のみを取締対象としており,一般道路では時速30km,高速道路では時速40km以上のスピード違反(速度超過)の際に作動します。
オービスによって撮影されると,数日から遅くとも30日以内に警察から当該車両の所有者に出頭通知が送付されます。

このオービスによる撮影は,車両の運転者を無断で撮影しているのでプライバシーの侵害に当たるのではないかと指摘されています。
また,助手席に同乗している違反者ではない者も同時に撮影されるため,同様にプライバシーの侵害に当たると指摘されています。
加えて,オービスが作動した現場には通常警察官はおらず,違反者は後日,呼出しを受けた際に初めて弁明の機会が与えられるので,警察官による取り締まりに比べて,被疑者の防御権が著しく制限されていると指摘されています。

プライバシーの侵害について,昭和44年12月24日の最高裁判所大法廷判決を踏まえ,「犯罪が現に行われ」「証拠を確保する必要性および緊急性があり」「方法が合理的である」場合には本人の同意がなくとも警察官による容貌の撮影が許容されるとしています。
オービスによる取り締まりは,最高速度超過という「犯罪が現に行われ」ており,その場で撮影しなければ走り去ってしまうため「証拠を確保する必要性および緊急性があり」,「合理的な方法」による撮影であるから,プライバシー権の侵害とはならないとされています。

~赤切符の場合~

一発免停となるスピード違反(速度超過)の場合,反則金のみで事件終了とはならず,刑罰の対象となります。
スピード違反(速度超過)で起訴された場合,6ヵ月以下の懲役または10万円以下の罰金となります(道路交通法118条)。
しかし,今回のケースでは,Aさんは陣痛を訴えた妻を病院に連れていくためにやむを得ず高速で道路を走行したのですから,正当防衛または緊急避難が成立しないでしょうか。
それぞれ条文を確認してみましょう

刑法36条(正当防衛)
1.急迫不正の侵害に対して,自己又は他人の権利を防衛するため,やむを得ずにした行為は,罰しない。

刑法37条(緊急避難)
1.自己又は他人の生命,身体,自由又は財産に対する現在の危難を避けるため,やむを得ずにした行為は,これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り,罰しない。
ただし,その程度を超えた行為は,情状により,その刑を減軽し,又は免除することができる。

正当防衛は,急迫不正の侵害に対して防衛行為を行った場合には罰しないという規定になります。
不正とは違法であることをいいますので,今回のケースでは違法な侵害行為があったとはいえませんので正当防衛を主張することは難しいでしょう。

しかし,緊急避難であれば現在の危難に不正であることは求められていません。
Aさんの妻が陣痛を訴えたことは,身体に対する現在の危難であるといえるでしょう。
そして,その現在の危難を避けるため,やむを得ずスピード違反(速度超過)をしたことになりますので緊急避難が成立するように思われます。
しかし,緊急避難の成立は正当防衛の成立よりも要件が厳格であり,緊急避難を主張しても簡単には認めてもらえません。
そこで,刑事事件の弁護経験が豊富な弁護士に相談し,緊急避難の成立を正しく主張してもらうことで,認めてもらえる確率を上げていくことをおすすめいたします。
また,緊急避難が認められない場合でも,弁護士に主張してもらうことで,過剰避難として刑の免除や減軽を求めていくこともできるでしょう。
まずは刑事事件の弁護経験の豊富な弁護士に相談されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件専門の法律事務所です。
やむを得ずしてしまった行為で罪に問われそうになってしまいお困り・お悩みの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
初回接見サービス・無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。
兵庫県長田警察署での初回接見費用:35,200円

Copyright(c) 2016 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 All Rights Reserved.