パトカーから逃走中に人身事故を起こし逮捕
今回は、パトカーから逃走中に人身事故を起こし、逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
Aさんは、●県の県道を自動車にて走行中、後続のパトカーから職務質問のため停止するように求められましたが、車内に覚醒剤を所持していることを思い出したため、自動車を急加速させて逃走を図りました。
逃走中、時速百数十キロメートルで赤信号の交差点に進入するなどを繰り返していたところ、自動車同士で事故を起こし、Aさんの自動車は停止しました。
これによりAさんと事故の被害者は大怪我を負ったため、両者は病院に搬送され、現在、治療を受けています。
警察はAさんの回復を待ってから、危険運転致傷及び覚醒剤所持の疑いでAさんを逮捕する方針です。(フィクションです)
~Aさんは今後どうなる?~
自動車を運転中に職務質問を受けた際、何らかの犯罪(違法薬物の所持や飲酒運転など)が発覚することを恐れ、無謀な逃走を行い、自動車事故を起こしてしまうケースがあります。
Aさんはまだ逮捕されていませんが、回復を待ってから「危険運転致傷罪」及び「覚醒剤所持罪」の疑いで逮捕されることになるでしょう。
これらの犯罪について解説いたします。
(危険運転致傷罪)
危険運転致傷罪の類型は複数存在しますが、ケースの場合は「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」第2条2号または7号の危険運転致傷罪が成立する可能性があります。
※自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
(危険運転致死傷)
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
一 省略
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
三~六 省略
七 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
八 省略
上記の危険運転致傷罪について有罪判決が確定すると、「十五年以下の懲役」に処せられます。
(覚醒剤所持罪)
パトカーから停止を求められた際にAさんが逃亡を図った理由ですが、当然ながら覚醒剤の所持行為についても罪に問われる可能性が高いでしょう。
※覚醒剤取締法
第四十一条の二 覚醒剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第四十二条第五号に該当する者を除く。)は、十年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、一年以上の有期懲役に処し、又は情状により一年以上の有期懲役及び五百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
~今後の弁護活動~
(逮捕後の身柄解放活動)
Aさんに対しては、かなり重い犯罪である危険運転致傷罪に加え、身体拘束が長引きがちな覚醒剤所持行為の嫌疑もかけられています。
さらに、覚醒剤の使用行為についても疑いをもたれることになるでしょう。
これによれば、捜査段階での身柄解放の実現はかなりハードルが高いと思われます。
(起訴される可能性)
危険運転致傷罪も、覚醒剤所持(又は使用)罪も、起訴される可能性が非常に高いです。
ケースの事件につき起訴された場合は、実刑判決を受ける可能性も見込まれます。
執行猶予付き判決の獲得、または、実刑判決であっても、より有利な量刑による判決の獲得を目指さなければなりません。
そのためには、被害者に対して誠心誠意の謝罪を行い、生じさせた損害を賠償して示談を成立させる必要があるでしょう。
また、自動車を処分し、二度と自動車を運転しないことを法廷で誓うことも必要となるかもしれません。
危険運転致傷事件、覚醒剤所持事件を起こし、逮捕されてしまった場合には、すぐに弁護士の接見を受け、事件解決に向けたアドバイスを受けましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が危険運転致傷事件、覚醒剤所持事件を起こして逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。