酒気帯び運転で逮捕 事件はどのように進展する?

2021-10-26

 

今回は、酒気帯び運転で逮捕されてしまった場合の刑事手続につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~
Aさんは、●県の県道にて、酒気を帯びて自動車を運転している際、パトカーに呼び止められ呼気検査を受けました。
すると、Aさんの呼気から0.3ミリグラムのアルコールが検出されたため、Aさんは道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
翌日、Aさんの妻が身元引受人となり、釈放されましたが、警察官は「また取調べのために呼ぶことがあるから、出頭してほしい」とのことです。
Aさんはこれからどうなるのでしょうか。(フィクションです)

~酒気帯び運転について解説~

酒気を帯びて車両等を運転することは道路交通法により禁止されています。

※道路交通法
第六十五条 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。

身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態で車両等(軽車両を除く)を運転すると、「酒気帯び運転の罪」が成立します。
酒気帯び運転につき起訴され、裁判で有罪が確定すると、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます(道路交通法第117条の2の2第3号)。

※道路交通法
第百十七条の二の二 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
三 第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの

上記第3号の「政令で定める程度」とは「血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム」です(道路交通法施行令第44条の3)。

Aさんは呼気1リットルにつき0.3ミリグラムのアルコールが検出される状態で自動車を運転していたのですから、酒気帯び運転の罪が成立する可能性は極めて高いと思われます。

~これまでの刑事手続について~

Aさんは酒気帯び運転の疑いで現行犯逮捕されてしまいましたが、幸いにも勾留されず、翌日に釈放されました。
もっとも、釈放されることにより無罪放免となったわけではありません。
今後は在宅事件に切り替わり、捜査が行われることになります。

~今後はどうなる?~
釈放される際に警察官が告げた通り、今後も警察に出頭して取調べを受け、検察へ送致されることになるでしょう。
検察へ送致された後は、検察官が取調べを行います。
そして、捜査の最終段階において、検察官がAさんを起訴するか、あるいは不起訴とするかを判断します。
在宅事件の場合は、起訴・不起訴の別が決定されるまでに数か月かかる場合があります。

~起訴された場合~

Aさんが初犯であれば、略式手続により罰金刑を受けて事件が終了することになる可能性が高いでしょう。

略式手続とは、書面のみによって裁判を行い、略式命令で、百万円以下の罰金又は科料を科することができる手続です。
略式手続が行われる場合は、まず検察官からその打診を受け、Aさんにおいて異議がなければ、その旨を書面により明らかにします(刑事訴訟法第461条の2)。
法廷に立つ必要はありませんので、簡易に事件を解決できる手続とされています。

略式手続の実施に異議がある場合には、正式裁判を受けることも可能ですが、全面的に罪を認めている場合にはほとんどメリットはないでしょう。
反対に、略式手続が実施される場合は、Aさんの言い分を裁判官に考慮してもらうことができません。
もし被疑事実について争いがある場合や、検察官が用意している証拠の証拠能力を争うべき場合においては、略式手続を拒否することも検討しなければなりません。
略式手続に応じるか否かは、弁護人と十分に相談する必要があります。

また、略式命令に不服がある場合は、告知を受けた日から14日以内に正式裁判の請求をすることができます(刑事訴訟法第465条1項)。

酒気帯び運転の疑いで逮捕されてしまった場合には、弁護人のアドバイスを十分に受け、事件解決を目指していくことをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が酒気帯び運転の疑いで逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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