名古屋市で逆転有罪判決事件 人身事故事件で控訴の弁護士

2015-01-29

名古屋市で逆転有罪判決事件 人身事故事件で控訴の弁護士

名古屋高等裁判所は、被控訴人Aさんに対して懲役1年6か月執行猶予4年の有罪判決を言い渡しました。
Aさんは過失運転致傷事件の一審で無罪となりましたが、控訴されていました。
控訴審での争点は、加害車両を運転していたのは、Aさんだったか同乗者のBさんだったかという点です。

今回は平成15年1月15日大阪高等裁判所判決を参考に作成しています。

~控訴審で逆転有罪判決となった裁判~

今回ご紹介する大阪高裁判決は、飲酒運転中に事故を起こし、同乗者を含む2名に重軽傷を負わせたという人身事故事件に関する判決です。
この裁判では、車を運転していたのは被告人だったのか、被害を受けた同乗者だったのかが争点になりました。
大阪高裁は、「一審判決は…事実を誤認したものといわざるをえない」として逆転有罪判決を言い渡しました。
以下では、判決の概要を簡単に紹介します。

被告人は、捜査段階では自分が車を運転していたことを認めていたものの、裁判になると否認に転じ無罪を主張するようになりました。
被告人によると、捜査段階の自白は、実際に運転していた者を庇うために行った「虚偽の自白」であったそうです。
第一審の裁判所は、こうした事情から「捜査段階における被告人の自白(罪となる事実を認める供述)は信用できない」として無罪判決を言い渡していました。

一方で控訴審を担当した大阪高等裁判所は、被告人の捜査段階における供述の信用性を認めました。
つまり、捜査段階で行っていた被告人の自白は、虚偽ではなく真実を述べていたものだと判断したのです。
むしろ、裁判で述べられた被告人の供述の方が信用性に欠けるとしました。
その理由としては、
・捜査段階を通じ、一貫して自分が車を運転していたことを認めており、その供述に不合理な点や矛盾点がない
・捜査段階において、同乗者を庇うため、虚偽の自白をしなければならない事情がない(被告人が主張する事情は信用するに足らない)
・捜査段階での被告人の自白は、全く身柄拘束されていない状態でされたものである
・被告人は事故当時スキンヘッドであったのに、一審で事故当時それとは異なる髪型だったと述べており、審理を混乱させる意図が見える
・客観的な証拠に照らすと、助手席に座っていたという控訴審における同乗者の供述には信用性がある
といったことを挙げています。
最終的に大阪高裁は、被告人に対して懲役1年6か月執行猶予4年の有罪判決を言い渡しました。

一審で無罪となっても控訴審で有罪判決を受ける可能性があります。
逆に一審で有罪となっても控訴審無罪判決を受ける可能性があります。
気を抜かず、諦めず最後まで戦いましょう。
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