名古屋の死亡事故事件 刑事裁判の弁護士

2014-12-24

名古屋の死亡事故事件 刑事裁判の弁護士

Aさんは、酒気帯びの状態で車を運転していたところ、スピードの出しすぎでカーブを曲がり切れず自損事故を起こしてしまいました。
この事故で同乗していた男女2名が、死亡しました。
愛知県警中村警察署は、危険運転致死の疑いでAさんを取り調べています。

今回の事件は、平成20年1月17日松山地方裁判所刑事部の判決を参考にしています。

~危険運転致死罪か業務上過失致死罪か~

今回は、自損事故により同乗者2名を死亡させた被告人に対して危険運転致死罪が成立するか、業務上過失致死罪が成立するかが争われた事案を取り上げます。
まず始めに、危険運転致死罪業務上過失致死罪の違いについて説明します。
危険運転致死罪とは、法律で定められた一定の危険な運転により人を死亡させる犯罪のことです。
この罪は、現在、自動車運転処罰法に規定され、危険運転の態様によって20年以下または15年以下の懲役刑に処せられます。
一方で業務上過失致死罪とは、業務上必要な注意を怠ったことにより人を死亡させる犯罪のことです。
法定刑は、5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金です。

平成19年以前は、自動車による人身死亡事故の場合、危険運転致死罪が成立するときを除いて業務上過失致死罪が成立すると考えられていました。
しかし、現在は、自動車運転処罰法に規定されている過失運転致死罪として処罰されることになります。
今回の事件は、平成18年に発生しているため、業務上過失致死罪の方が問題となっています。
ご注意ください。

さて今回の事案で問題となる危険運転致死罪と業務上過失致死罪では、大きく法定刑が異なります。
そのため、被告人に対してどちらの罪を認めるのかが、裁判の中で激しく争われました。
検察官は、制御不能なほどの高速度で車を運転したこと(危険運転の一つ)が事故の原因であるとして、危険運転致死罪の適用を主張しました。
一方で弁護人は、事故当時は時速100キロも出ておらず、制御不能ではなかったとして業務上過失致死罪の適用を求めました。

裁判所が認定した事実によると、被告人は制限速度が時速50キロの道路を時速約80キロで運転していました。
もっとも、現場は緩やかなカーブで、時速約80キロで走行しても制御不能な状態に陥るとは認めがたい状況でした。
また、被告人が時速約80キロで走行した時間は、非常に短いということです。
以上から、裁判所は
「本件車両は、事故当時、いまだ進行を制御することが困難な状態に陥っていたとは認めがたい」
として、危険運転致死罪の適用を否定しました。
結果、被告人には、業務上過失致死罪が成立するとされ、懲役4年の実刑判決が言い渡されました。

人身事故の事実に争いがない場合でも、成立する犯罪を争うことで刑を軽くすることができる場合があります。
人身事故でお困りの方は、弁護士に相談してみることをお勧めします。

愛知名古屋弁護士ノリタケ法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の弁護士事務所です。
刑事裁判の弁護人もお任せ下さい。

Copyright(c) 2016 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 All Rights Reserved.