ながら運転の罰則、反則金が重くなります①

2019-10-08

ながら運転の罰則、反則金が重くなります①

ながら運転の罰則について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ 事例 ~

大阪市中央区にある会社に勤務するAさんは、スマートフォンで電話をしながら営業車を運転していたところ、警邏中の大阪府南警察署の警察官に呼び止められ、道路交通法違反で青切符を切られてしまいました。
(フィクションです)

~ はじめに ~

今回の事例は、スマートフォンを操作しながら車を運転する、いわゆるながら運転(ながらスマフォ)の典型ですよね。
実は、今年の12月1日から、ながら運転に関する改正道路交通法が施行され、罰則、反則金などが大幅に強化されます。
どうに強化されるのでしょうか?

~ 「ながら運転」とは(ながら運転の規定) ~

自動車及び原動機付自転車に関するながら運転については道路交通法71条5の5に規定されています。

道路交通法71条
車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。

5号の5
自動車又は原動機付自転車(自動車等)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(略)を通話(略)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置(略)に表示された画像を注視しないこと。

つまり、スマートフォン等の

・通話のための使用(ただし、傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ない場合は除かれます)
・画像の注視(画像装置用装置にはスマートフォンや携帯電話のディスプレイ表示部分も含まれます)

行為が規制されているのです。

~ ながら運転の罰則はどう変わる?①(道路における交通の危険を生じさせた場合) ~

そして、道路交通法119条1項9の3では、これらの行為(通話のための使用、画像の注視)によって道路における交通の危険を生じさせた場合3月以下の懲役又は5万円以下の罰金(現行)とするとされていますが、改正後は1年以下の懲役又は30万円以下の罰金(改正後)と大幅に引き上げられます。
なお、道路における交通の危険を生じさせたとはどういう場合をいうのかは解釈の余地がありそうです。
おそらくは何らかの具体的危険(今回のように車に衝突して怪我をさせた)まで必要とはされず、単なる抽象的危険で足りる、最終的には、ながら運転をしていた際の道路の状況、交通状況等により判断されるものと思われます。

~ ながら運転の罰則はどう変わる?② ~

なお、①については「道路における交通の危険を生じさせた場合」という要件が必要でしたが、その要件がかける場合も処罰されるおそれがあります。
それが、道路交通法120条1項11号の規定です。

道路交通法120条1項11号
第71条(運転者の遵守事項)第5号の5の規定に違反して無線通話装置を通話のために使用し、又は自動車若しくは原動機付自転車に持ち込まれた画像表示用装置を手で保持してこれに表示された画像を注視した者(第119条第1項第9号の3に該当する者を除く。)

上記の者への罰則は5万円以下の罰金(現行)とされていますが、改正後は6月以下の懲役又は10万円以下の罰金(改正後)と懲役刑が設けられることとなりました。

~ まとめ ~

以上をまとめると、

自動車及び原動機付自転車を走行中に、スマートフォン等を

・通話のために使用し、又はその画像を注視し、よって道路における交通の危険を生じさせた場合は、「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金」→「1年以下の懲役又は30万円以下の罰金」

・単に通話のために使用し、又はその画像を注視した場合は、「5万円以下の罰金」→「6月以下の懲役又は10万円以下の罰金」

となるということになります。

次回は反則金についてご説明いたします。

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