無車検車運行・無保険車運行
【無車検車運行・無保険車運行の法定刑】
1 無車検車運行の法定刑は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金です(道路運送車両法第58条1項、108条)。
2 無保険車運行の法定刑は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金です(自動車損害賠償保障法第5条、86条の3)。
【無車検車運行・無保険車運行の解説】
1 無車検車運行とは
無車検車運行とは、車検を受けていない自動車(自動二輪車も含む)を運行に供することで、道路運送車両法違反の犯罪として刑事処罰の対象となります。
車検を受けたことがない場合はもちろん、車検証の有効期間が切れたいわゆる「車検切れ」で自動車を運転した場合なども無車検車運行に該当します。
2 無保険車運行とは
無保険車運行とは、自動車損害賠償責任保険(いわゆる自賠責保険)または自動車損害賠償責任共済(いわゆる自賠責共済)に加入せずに自動車(自動二輪車を含む)を運行に供することで、自動車損害賠償保障法違反の犯罪として刑事処罰の対象となります。
なお、自賠責保険に加入はしているものの証明書を携帯していなかった場合には、自賠責保険証明書不携帯として、30万円以下の罰金が科せられます。
3 道路運送車両法違反+自動車損害賠償保険法違反
車検切れで無車検車運行による道路運送車両法違反になった場合には、自賠責保険も切れていることが多く、同時に無保険車運行による自動車損害賠償保障法違反にも問われることが多くなります。
4 刑事処罰について
無車検車運行・無保険車運行によって刑事処罰を受ける場合、初犯であれば略式裁判による罰金処分で済むことが多いですが、無車検車運行・無保険車運行の回数や期間の長さによっては正式裁判になることがあります。
また、無車検車運行・無保険車運行の前科がありながら無車検車運行・無保険車運行を繰り返している人や執行猶予期間中に無車検車運行・無保険車運行をした人は、実刑判決によって刑務所に収容される可能性が出てきます。
【無車検車運行・無保険車運行事件の刑事弁護活動】
1 不起訴・無罪判決(前科回避)
身に覚えがないにも関わらず、無車検車運行・無保険車運行による道路運送車両法違反・自動車損害賠償保険法違反の容疑を掛けられてしまった場合、弁護士を通じて、警察や検察などの捜査機関及び裁判所に対して、不起訴処分又は無罪判決になるよう主張する必要があります。
アリバイや真犯人の存在を示す証拠を指摘・提出するなどして、無車検車運行・無保険車運行を立証する十分な証拠がないことを主張していきます。
実際に無車検車運行・無保険車運行を行ってしまった場合でも、車検切れや自賠責保険切れに気付いていなかったのであれば、道路運送車両法違反・自動車損害賠償保険法違反にはなりません。
短時間運転を代行しただけ、一時的に自動車を借りただけなど客観的な運転の経緯、運転状況、車両の状況等から、無車検・無保険を認識するのが困難であったことを主張・立証することで、不起訴処分又は無罪判決を目指す弁護活動を行います。
2 前科回避・正式裁判回避
無車検車運行・無保険車運行による道路運送車両法違反・自動車損害賠償保障法違反に争いがない場合でも、起訴猶予による不起訴処分又は略式裁判による罰金処分になるように(正式裁判にならないように)弁護活動を行います。
具体的には、違反行為の態様、経緯や動機、回数や頻度、交通違反歴などを慎重に検討して、酌むべき事情があれば警察や検察などの捜査機関に対して主張していきます。
3 刑務所回避・減刑
無車検車運行・無保険車運行による道路運送車両法違反・自動車損害賠償保障法違反で正式裁判になった場合でも、裁判所に対して、上記のような事情に加えて、無車検車運行・無保険車運行の再発防止のための具体的な取り組みや環境作りが出来ていることを客観的な証拠に基づいて主張・立証することで、減刑又は執行猶予付き判決を目指した弁護活動を行います。
4 身体拘束からの解放
無車検車運行・無保険車運行による道路運送車両法違反・自動車損害賠償保障法違反で逮捕・勾留されてしまった場合には、事案に応じて、証拠隠滅や逃亡のおそれがないことを主張し、釈放や保釈による身柄拘束を解くための弁護活動を行います。