無免許運転の容認で逮捕
無免許運転の容認で逮捕される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
千葉県富津市で運送業を営むAさんは、免許取り消しになっていたにも関わらず、自社のトラックを運転していました。
また、Aさんは、無免許運転であると知りながら、仕事が忙しく人手が足りなかったため、従業員のBにもトラックを運転させていました。
Bが市内でトラックを運転していたときに、物損事故を起こしたことからBの無免許運転が発覚し、Bは千葉県富津警察署に逮捕されました。
後日、Aも無免許運転と、Bによる無免許運転の容認の疑いで逮捕されました。
(フィクションです。)
無免許運転
道路交通法第64条は、無免許運転等の禁止について定めています。
1.無免許運転の禁止(同条1項)
何人も、第84条第1項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(第90条第5項、第103条第1項若しくは第4項、第103条の2第1項、第104条の2の3第1項若しくは第3項又は同条第5項において準用する第103条第4項の規定により運転免許の効力が停止されている場合を含む。)、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。
公安委員会の運転免許を受けないで自動車又は原動機付自転車を運転することを禁止しています。
運転免許を受けないで、とは、運転免許証の交付自体を全く受けたことのない場合だけでなく、運転免許の取消し処分を受けた場合や免許の停止処分中も含みます。
無免許運転の禁止に違反して、自動車等を運転した場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
2.自動車等提供の禁止(同条2項)
何人も、前項の規定に違反して自動車又は原動機付自転車を運転することとなるおそれがある者に対し、自動車又は原動機付自転車を提供してはならない。
公安委員会の運転免許を受けないで自動車等を運転することとなるおそれがある者に、自動車等を提供することを禁止しています。
「運転することとなるおそれがある」とは、自動車等の提供を受ける者が無免許であるにもかかわらず、自動車等の提供を受けてから短時間の間に、その自動車等を運転する意思のあることが明らかで、提供を受ける者が、自動車等の提供を受ければ、無免許運転をすることとなる蓋然性が高いことをいいます。
そのため、自動車等提供の禁止違反が成立するには、自動車等を提供する者において、提供を受ける者が未必的であれ無免許運転の禁止に違反して自動車等を運転することとなるおそれがあると認識していることが必要です。
未必の故意、つまり、「この人に自動車を提供したら、無免許運転をすることになるかもしれない。でも、まあいいか。」と思って提供した場合も、自動車等提供の禁止違反となります。
自動車等提供の禁止に違反した者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
3.自動車等同乗の禁止(同条3項)
何人も、自動車(道路運送法第2条第3項に規定する旅客自動車運送事業(以下単に「旅客自動車運送事業」という。)の用に供する自動車で当該業務に従事中のものその他の政令で定める自動車を除く。以下この項において同じ。)又は原動機付自転車の運転者が第84条第1項の規定による公安委員会の運転免許を受けていないこと(第90条第5項、第103条第1項若しくは第4項、第103条の2第1項、第104条の2の3第1項若しくは第3項又は同条第5項において準用する第103条第4項の規定により運転免許の効力が停止されていることを含む。)を知りながら、当該運転者に対し、当該自動車又は原動機付自転車を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第1項の規定に違反して運転する自動車又は原動機付自転車に同乗してはならない。
自動車等の運転者が無免許であることを知りながら、運転者に対して、自動車等を運転して自己を運送することを要求したり依頼したりして、その運転者が運転する自動車等に同乗することを禁止しています。
自動車等同乗の禁止に違反した者は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
4.無免許運転の容認(第75条1項)
自動車(重被牽けん引車を含む。以下この条、次条第1項及び第75条の2の2第2項において同じ。)の使用者(安全運転管理者等その他自動車の運行を直接管理する地位にある者を含む。次項において「使用者等」という。)は、その者の業務に関し、自動車の運転者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることを命じ、又は自動車の運転者がこれらの行為をすることを容認してはならない。
一 第84条第1項の規定による公安委員会の運転免許を受けている者(第107条の2の規定により国際運転免許証又は外国運転免許証で自動車を運転することができることとされている者を含む。以下この項において同じ。)でなければ運転することができないこととされている自動車を当該運転免許を受けている者以外の者(第90条第5項、第103条第1項若しくは第4項、第103条の2第1項、第104条の2の3第1項若しくは第3項又は同条第5項において準用する第103条第4項の規定により当該運転免許の効力が停止されている者を含む。)が運転すること。
自動車の使用者、安全運転管理者等その他自動車の運行を直接管理する地位にある者は、その者の業務に関し、自動車の運転者に対し、無免許運転等をすることを下命し、容認してはならないことを規定しています。
道路交通法第75条1項1号に違反した者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
このように、無免許運転は、悲惨な事故を招きかねないため、厳しい処罰の対象となっています。
無免許運転で逮捕されてお困りであれば、すぐに弁護士に相談し、できる限り処分が軽くなるよう動くのがよいでしょう。
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