三重県の居眠り運転事故事件 無罪判決の弁護士
三重県の居眠り運転事故事件 無罪判決の弁護士
三重県警松阪警察署は、津市在住のAさんを過失運転致傷罪の容疑で現行犯逮捕しました。
同署によると、車を運転していたAさんは、居眠り運転が原因で対向車線を逆送し、時速60キロのスピードで対向車と衝突したそうです。
この事故で、対向車に乗っていた男性2名が重傷を負い、Aさんの車に乗っていた女性が軽いけがをしました。
(フィクションです)
※今回は、平成17年2月9日の大阪地方裁判所判決を取り上げます。
事例は、同判決を基にしていますが、警察署名などを修正して作成しました。
~居眠り運転事故で無罪になった事例~
今回取り上げる判決は、居眠り運転が原因で交通事故を起こしてしまったという事例です。
大阪地裁は、以下のように論じ、被告人を無罪にしました。
「交通事故を起こしたことに過失(注意義務違反)があるというためには、前提となる注意義務がの存在が必要である。
そして、それは、現実的に実行可能な義務でなければならない。
しかしながら、被告人は、事故当時睡眠時無呼吸症候群を主な原因として、予兆なく急激に睡眠状態に陥っていたようである。
そのため、事故当時において前方注視義務を果たすことが出来ない状態だったという合理的な疑いを払しょくできない。
したがって、過失(注意義務違反)の前提となる現実的に実行可能な注意義務の存在を認めることが出来ないため、過失は認められない。」
(この文章は、判決内容を短く書き直したものです。そのため、表現などが異なる部分がありますが、ご了承ください。)
この他、
・居眠り運転を回避するための運転中止義務違反
・過労運転に基づく運転避止義務違反
・睡眠時無呼吸症候群に基づく運転避止義務違反
についても補足的に検討しています。
しかし、いずれも認めませんでした。
なお、今回判決内容をまとめた文章の中で「合理的な疑いを払しょくできない」という表現を用いましたが、この部分について補足しておきます。
刑事裁判では、検察官が被告人の犯行事実について証明しなければなりません。
被告人の犯行事実について「証明した」というためには、犯行事実の存在が合理的な疑いを差し挟めない程度に明らかと言えなければなりません。
つまり「合理的な疑いを払しょくできない」とは、検察官による犯罪の証明が不十分であるという意味なのです。
今回の場合、検察官は、「被告人は前方注視義務を果たすことができた」という事実の証明に失敗したと言えます。
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