車の運転中にイノシシに当たったと思い確認せずに帰宅し、後日、ひき逃げの疑いで逮捕された事例②

2025-04-04

車の運転中にイノシシに当たったと思い確認せずに帰宅し、後日、ひき逃げの疑いで逮捕された事例②

ひき逃げ

ひき逃げ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

Aさんは職場から帰宅するために、千葉県市南房総市内の山道を車で走行していました。
途中で車に衝撃を感じたものの、イノシシにでも当たったのだろうと思い、車を停めて確認することもなく帰宅しました。
実は、Aさんの車に当たったのはイノシシではなく事故現場近くに住むVさんであり、Vさんは事故から1時間後に病院へ搬送され、死亡が確認されました。
翌日、千葉県館山警察署の警察官がAさん宅に訪れ、Aさんは道路交通法違反ひき逃げ)、過失運転致死罪の疑いで逮捕されました。
Aさんは「人ではなくイノシシだと思っていた。」として道路交通法違反の容疑を否認しています。
(事例はフィクションです。)

過失運転致死罪

過失運転致死罪は刑法ではなく、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下「自動車運転処罰法」)で規定されています。

自動車運転処罰法第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

過失運転致死罪は簡単に説明すると、運転するうえで必要な注意を怠った結果事故を起こし、人を死亡させてしまった場合に成立する犯罪です。

今回の事例では、Aさんが山道を車で走行中にVさんに当たり、Vさんが亡くなっているようです。
Aさんが周囲の確認を怠った結果、事故を起こしてVさんが亡くなったのであれば、Aさんに過失運転致死罪が成立する可能性が高いといえます。

では、Aさんはしっかりと周囲を確認して運転するなど、運転上必要な注意を怠っていなかった場合にはどうなるのでしょうか。

例えば、Aさんが走行していた道路が舗装されておらず、Vさんの姿が草木などで覆い隠されAさんからは視認できなかった場合には、Aさんは事故を避けようがないですから、Aさんに過失運転致死罪が成立しない可能性があります。
ですので、Aさんが運転上必要な注意を怠っていなかった場合、つまり事故を避けようがなかった場合には、Aさんに過失運転致死罪が成立しない可能性があるといえます。

過失運転致死罪の法定刑は7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金です。
ただし書きで情状により刑を免除すると規定されていますが、これは負傷者の怪我が軽い場合を対象としていますので、今回の事例では被害者であるVさんが亡くなっていますから、ただし書きには当たらないでしょう。
ですので、Aさんが過失運転致死罪で有罪になった場合には、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金を科されることになります。
今回の事例ではVさんは亡くなっていますから、Aさんが初犯であったとしても罰金刑では済まないかもしれません。
弁護士に相談をすることで、少しでも科される刑罰を軽くできる可能性がありますから、事故を起こした疑いで捜査をされている場合には弁護士に相談をすることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
過失運転致死罪でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

Copyright(c) 2016 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 All Rights Reserved.