交通事故・交通違反と執行猶予

【交通事件における執行猶予の解説】

執行猶予とは、裁判所が言い渡す有罪判決に付される猶予期間のことです。

交通事故・交通違反事件の刑事裁判で執行猶予付きの判決を受けると、刑の執行が一定期間猶予されて、ただちに交通刑務所に入らなくてもよいことになります。
同じ有罪判決でも、交通刑務所で服役しなければならない実刑判決とは大きく異なります。

つまり、交通事故・交通違反事件の刑事裁判で執行猶予付きの判決を受けた者は、自宅に戻って通常通りの生活を送ることができます。
執行猶予期間を無事経過した場合は、裁判所の刑の言い渡しは効力を失い、交通刑務所に行く必要はなくなるのです。

但し、執行猶予期間内に犯罪を犯した場合には、執行猶予が取り消されることがあります。
交通事故・交通違反事件の刑事裁判で執行猶予付き判決を受けた後に新たに犯罪を犯して執行猶予が取り消された場合には、猶予されていた前刑と新たに犯した犯罪の刑を合わせて刑務所で服役しなければならなくなります。
 
交通事故・交通違反事件で公判請求されて刑事裁判を受ける場合、交通事故・交通違反事件の前科が複数ある方や執行猶予期間中の方を除き、交通事故・交通違反態様の悪質性・危険性が大きくなければ適切な弁護活動によって執行猶予付き判決を獲得できる可能性は十分にあります。
 

~交通事故・交通違反事件における執行猶予のメリット~

①交通刑務所に入らなくてすむ(自宅で日常生活が送れる)
②会社や学校に行くことができて社会復帰できる 

 

【交通事件で執行猶予を獲得する方法】

あいち刑事事件総合法律事務所では、交通事故・交通違反事件の刑事裁判において、執行猶予を獲得するために、以下のような被告人に有利な事情を主張・立証する弁護活動を行っています。
 

1 交通事故・交通違反事件自体に固有の事情

  • 交通事故・交通違反態様の悪質性・危険性が小さい
  • 道路・交通環境の欠陥・危険性
  • 被害者側の落ち度・過失
  • 被害結果が軽微
  • 共犯事件での立場が従属的(共犯者に逆らえない、同乗していただけなど)
  • 交通事故・交通違反事件を起こした経緯・動機に同情すべき点がある
     

2 その他、犯罪一般に関する事情

  • 示談成立
  • 被害弁償・被害弁償見込
  • 被害者又は遺族の宥恕(加害者の罪を許す意思)
  • 加害者(被告人)の謝罪と反省
  • 加害者(被告人)の更生の意志と再発防止策
  • 前科・前歴がない
  • 実刑判決になった場合の家族・社会への悪影響
     

【交通事件と再度の執行猶予】

執行猶予期間中に交通事故・交通違反事件を起こした場合には、刑務所に入らなければならない実刑判決になる可能性が高くなります。

しかし、法律には、再度の執行猶予を定めた条文が存在します。
法律の定める厳しい条件を満たす例外的な場合に限って、執行猶予期間中に犯した交通事故・交通違反事件についても再び執行猶予が付く可能性があるのです。

また、執行猶予期間中に交通事故・交通違反事件を起こしてしまった場合でも、略式裁判による罰金処分を獲得できれば、刑務所に入ることはありません。

執行猶予期間中に交通事故・交通違反事件を起こしてしまった場合、実刑判決で刑務所に行くしかないと諦める前に、交通事故・交通違反事件に詳しいあいち刑事事件総合法律事務所にご相談下さい。

 

【執行猶予に関する法令改正】

改正刑法に基づき、2025年(令和7年)6月1日から、新しい執行猶予制度が施行されています。2025年6月1日以降にした事件に適用される新しい執行猶予制度の主な改正点は以下になります。

 

1 再度の執行猶予の条件緩和

これまでは、1年以下の懲役刑または禁錮刑を言い渡す場合のみ、再度の執行猶予が可能でした。

改正後は、2年以下の拘禁刑(懲役と禁錮の一本化)を言い渡す場合にも、再度の執行猶

予が可能になります。拘禁刑の上限が1年から2年に引き上げられたため、再度の執行猶予の対象となる刑の幅が広がります。

 

2 保護観察付執行猶予中の場合の再度の執行猶予

改正前は、保護観察付執行猶予の期間中に再犯した場合、再度の執行猶予は不可能でした。

改正後は、保護観察付執行猶予中に再犯した場合でも、再度の執行猶予が可能となります。

ただし、再度の執行猶予における保護観察期間中に再犯した場合に、さらに再度(3度目)の執行猶予を付すことはできません。

 

3 執行猶予期間満了後の効力継続(途中で起訴された場合)

執行猶予期間中の再犯について公訴が提起(起訴)された場合、執行猶予期間満了後も一定の期間は、刑の言渡しの効力及びその刑に対する執行猶予の言渡しが継続しているものとみなされます。

これにより、執行猶予期間の満了を狙って公判を引き延ばしすることは難しくなります。

 

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