【事例紹介】飲酒運転で死傷事故 飲酒運転の発覚を免れようと身代わりを頼んだ事例②
【事例紹介】飲酒運転で死傷事故 飲酒運転の発覚を免れようと身代わりを頼んだ事例②
前回のコラムに引き続き、飲酒運転で死傷事故を起こし、飲酒運転の発覚を免れるために身代わりを頼んだとして、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪、犯人隠避教唆罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
飲酒運転の発覚を免れるために身代わりを依頼し、うその申告をしたとして、東京都新宿区新宿署は10日、A容疑者(57)を自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱)と犯人隠避教唆の疑いで逮捕し、発表した。(中略)容疑者は「酒を飲んでいてばれるのが怖かった」などと容疑を認めているという。
署によると、A容疑者は(中略)、乗用車を運転し(中略)交差点で2人乗りの原付きバイクと衝突。飲酒運転の発覚を免れるために経営する店のアルバイト従業員、B容疑者(34)(中略)=犯人隠避容疑で逮捕=に運転の身代わりを依頼し、近所の住人の通報で駆けつけた署員にうその申告をした疑いがある。A容疑者に事情を聴いたところ、飲酒運転を認め、アルコールが検出されたという。
この事故で原付きバイクの男子大学生(18)が外傷性くも膜下出血で死亡し、同乗の女子大学生(19)もけがを負った。(後略)
(6月11日 朝日新聞デジタル 「飲酒運転の身代わり依頼した疑いで女逮捕 原付きの2人死傷事故」より容疑者名・地名・警察署名を変更して引用しています。)
犯人隠避罪
刑法第103条
罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
蔵匿とは場所を提供して匿うこと、隠避とは蔵匿以外の方法で警察官などに発見、逮捕等をさせない行為をいいます。
犯人隠避罪とは簡単に説明すると、罰金刑以上が科される可能性のある犯罪を起こした人が警察官などに捜査の対象として発見されたり、逮捕されることなどがないように手助けすると成立する犯罪です。
誰かの身代わりになる行為は、警察官に捜査対象として発見させないようにする行為だといえますので、隠避にあたります。
また、今回の事例で問題になっている過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪は有罪になると、12年以下の懲役が科されます(動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第4条)ので、「罰金刑以上の刑に当たる罪」に該当します。
ですので、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪にあたる行為をした人の身代わりになると、犯人隠避罪に問われる可能性があります。
犯人隠避教唆罪
では、逮捕容疑である犯人隠避教唆罪とはどのような罪なのでしょうか。
刑法第61条
人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
犯人隠避教唆罪とは簡単に説明すると、犯人隠避罪にあたる行為を行うようにそそのかすと成立する犯罪です。
刑法第61条が規定しているように、犯罪行為を教唆し実行させた者は実行した者に成立する罪が規定されている量刑を科されることになります。
ですので、犯人隠避教唆罪で有罪になると、犯人隠避罪と同様の3年以下の懲役又は30万円以下の罰金が科されることになります。
今回の事例では、A容疑者は飲酒運転で事故を起こしたことを発覚されないように、B容疑者に身代わりを頼んだと報道されています。
報道内容が事実なのであれば、罰金刑以上が科される罪の発覚を免れるために犯人隠避罪にあたる行為をするようにそそのかしたと考えられますので、A容疑者に犯人隠避教唆罪が成立する可能性があります。
逮捕されたら弁護士に相談を
逮捕されると勾留の判断が72時間以内に行われます。
勾留の判断が行われるまでの間に弁護士が検察官や裁判官に意見書を提出することで、勾留されることなく釈放してもらえる可能性があります。
この意見書の提出は勾留が判断されるまで、つまり、逮捕後72時間以内に済ませる必要がありますので、勾留決定前に釈放を求める場合には時間との勝負になります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービスを行っています。
交通事件・刑事事件に精通した弁護士による身柄開放活動で、早期釈放を実現できる可能性があります。
ご家族が逮捕された方は、お早めに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。