【事例紹介】飲酒運転で死傷事故 飲酒運転の発覚を免れようと身代わりを頼んだ事例①

2024-06-20

【事例紹介】飲酒運転で死傷事故 飲酒運転の発覚を免れようと身代わりを頼んだ事例①

呼気検査

飲酒運転で死傷事故を起こし、飲酒運転の発覚を免れるために身代わりを頼んだとして、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪犯人隠避教唆罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

飲酒運転の発覚を免れるために身代わりを依頼し、うその申告をしたとして、東京都新宿区新宿署は10日、A容疑者(57)を自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱)と犯人隠避教唆の疑いで逮捕し、発表した。(中略)容疑者は「酒を飲んでいてばれるのが怖かった」などと容疑を認めているという。
署によると、A容疑者は(中略)、乗用車を運転し(中略)交差点で2人乗りの原付きバイクと衝突。飲酒運転の発覚を免れるために経営する店のアルバイト従業員、B容疑者(34)(中略)=犯人隠避容疑で逮捕=に運転の身代わりを依頼し、近所の住人の通報で駆けつけた署員にうその申告をした疑いがある。A容疑者に事情を聴いたところ、飲酒運転を認め、アルコールが検出されたという。
この事故で原付きバイクの男子大学生(18)が外傷性くも膜下出血で死亡し、同乗の女子大学生(19)もけがを負った。(後略)
(6月11日 朝日新聞デジタル 「飲酒運転の身代わり依頼した疑いで女逮捕 原付きの2人死傷事故」より容疑者名・地名・警察署名を変更して引用しています。)

過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪

過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪は刑法ではなく、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下「自動車運転処罰法」といいます。)で規定されています。

自動車運転処罰法第4条
アルコール又は薬物の影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者が、運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合において、その運転の時のアルコール又は薬物の影響の有無又は程度が発覚することを免れる目的で、更にアルコール又は薬物を摂取すること、その場を離れて身体に保有するアルコール又は薬物の濃度を減少させることその他その影響の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為をしたときは、十二年以下の懲役に処する。

過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪を簡単に説明すると、お酒や薬物の影響で運転に支障が出るおそれがある状態で車を運転し、運転をするのに必要な注意を怠って人を死傷させた場合に、お酒や薬物の影響で事故を起こしたと発覚することを免れるような行為をした場合に成立する犯罪です。

今回の事例では、A容疑者は飲酒運転の発覚を免れるためにB容疑者に身代わりを依頼したと報道されています。
報道によると、A容疑者はアルコールを保有している状態で車を運転し、交差点で原付バイクに衝突、原付バイクに乗っていた大学生らを死傷させたとされています。

道路交通法で規定されている酒気帯び運転にあたる程度のアルコールを保有していれば、「アルコール又は薬物の影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者」に該当する可能性があります。
報道からではA容疑者がどの程度アルコールを保有していたのかわかりませんが、検査によりアルコールが検出されているようですし、死傷事故を起こしたと報道されていますので、A容疑者は過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪の対象になるおそれがあります。

また、報道からでは詳しい事故の状況は明らかではありませんが、正常な状態で気を付けて運転をしていれば防げる事故であったのであれば、「運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合」にあたると考えられます。

加えて、A容疑者は飲酒運転の発覚を免れるためにB容疑者に運転の身代わりを頼むことで、飲酒運転の発覚を免れようとしたとされています。
この飲酒運転の発覚を免れようとする行為は「酒や薬物の影響で事故を起こしたと発覚することを免れるような行為」にあたる可能性があります。

ですので、実際にA容疑者が飲酒運転で死傷事故を起こし、飲酒運転が発覚しないようにするために、B容疑者を身代わりにすることで飲酒運転の発覚を免れようとしたのであれば、A容疑者に過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪が成立する可能性があります。

弁護士に相談を

過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪の法定刑は12年以下の懲役です。
過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪には罰金刑がありませんので、有罪になると必ず懲役刑が科されることになります。

弁護士に相談をすることで、執行猶予付き判決を獲得できる可能性があります。
ですが、執行猶予を付けられる条件として、「三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金(刑法第25条1項)」があります。
繰り返しになりますが、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪の法定刑は12年以下の懲役ですので、科される量刑を3年以下の懲役までに抑えなければ執行猶予付き判決を獲得することはできません。
12年以下の懲役を科される過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪執行猶予付き判決を獲得することは容易ではありませんから、交通事件に精通した弁護士に相談をし、裁判に向けて入念な準備を行うことが重要になってきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は交通事件に精通した弁護士事務所です。
初回接見サービス無料法律相談を行っていますので、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

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