道路交通法違反:あおり運転

2021-05-01

道路交通法違反あおり運転)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
千葉県香取市の県道を走行中、Vさんの運転する車に対し妨害する目的で、約3キロにわたって、急ブレーキをかけたり、幅寄せをして衝突したりしたとして、千葉県香取警察署はAさんを道路交通法違反の疑いで逮捕しました。
逮捕の翌日にAさんは釈放されましたが、今後どのような処分となるのか心配になり、交通事件に精通する弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

道路交通法違反:あおり運転

みなさんご存知のように、「あおり運転」は、嫌がらせなどの目的で、走行している車やバイクなどに対して、急ブレーキ、極端な幅寄せや車間距離を詰めるなどといった相手の運転を妨害する行為のことです。

あおり運転による悲痛な交通事故が多発し、あおり運転が社会問題となったことを受け、令和2年6月10日に公布された道路交通法の一部を改正する法律により、あおり運転に当たるような運転(妨害運転)に対する罰則が創設されました。

道路交通法第117条の2の2第11号は、

 他の車両等の交通を妨害する目的で、次のいずれかに掲げる行為であって、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした者

について、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処することを規定しています。

上で「次のいずれかに掲げる行為」とされるものは、

①通行区分違反
車両は、道路の中央から左の部分を通行しなければなりません。
対向車線からの接近や逆送は、これに違反することになります。

②急ブレーキの禁止
車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除いて、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはいけません。
走行している車両の直前に歩行者が飛び出してきた、左側端を通行していた自転車が走行している車両の直前に急に右折をはじめて入ってきた、といった場合には、急ブレーキの使用はやむを得ないと認められます。

③車間距離保持違反
車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直線の車両等が急に停止したときにおいても、これに追突するのを避けることができるため必要な距離を保たなければなりません。

④進路変更の禁止
現実に他の車両等に危険を生じさせるような進路の変更は禁止されています。

⑤追越しの方法
車両は、他の車両を追い越そうとするときは、その追い越されようとする車両の右側を通行しなければなりません。

⑥車両等の灯火
車両等が夜間他の車両等と行違う場合、又は他の車両等の直後を進行する場合、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければなりません。
不必要な継続したハイビームは、これに違反します。

⑦警音器の使用等
車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除いて、警音器を鳴らしてはいけません。
ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りではありません。
不必要な反復したクラクションは、この違反にあたります。

⑧安全運転義務
車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければなりません。
急な加減速や極端な幅寄せは、安全運転義務違反となります。

⑨最低速度
自動車は、法令の規定によりその速度を減ずる場合及び危険を防止するためにやむを得ない場合を除いて、高速道路の本線車道においては、道路標識等により自動車の最低速度が指定されている区間にあってはその最低速度に、その他の区間にあっては政令で定める最低速度に達しない速度で進行してはいけません。

⑩停車・駐車違反
高速自動車道において、自動車は、法令の規定や警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停止し、又は駐車してはなりません。

また、道路交通法第117条の2第6号は、

 次条第11号の罪を犯し、よって高速道路国道等において他の自動車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた者

については、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処すと規定しています。

道路交通法違反(妨害運転)を起こした場合に見込まれる処分としては、初犯であれば、略式起訴され略式命令(罰金)となる可能性があります。
略式手続に付されると、書面のみの審査となり、法廷で審理されることはありません。
しかし、あおり運転により被害を受けた車の数が多いなど、交通の危険が大きい場合には、検察官が公判請求をし、被告人として法廷で審理されることになるでしょう。
あおり運転に起因して悲痛な事故を生じさせるおそれもあるため、事故を起こしていないとしても厳しく処罰されることがあります。
あおり運転で検挙されてしまった場合には、弁護士に相談し、取調べ対応についてのアドバイスや、できるだけ寛大な処分となるよう動くことが重要でしょう。

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