遅刻を免れるために信号無視をして死亡ひき逃げ事故を起こした事例⑥
遅刻を免れるために信号無視をして死亡ひき逃げ事故を起こした事例⑥
信号無視による死亡事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
Aさんは寝坊してしまい仕事に遅刻しそうだったため、赤信号を無視して車を運転していました。
京都府綾部市の交差点に赤信号で侵入したAさんは、横断歩道を横断中の歩行者Vさんを車でひいてしまいました。
AさんはVさんを車でひいたことを認識しながらも、Vさんの救護や警察署へ事故の報告をすることなく、職場に向かいました。
数時間後、Aさんは、Aさんが起こした事故がニュースで報道されていることを知りました。
報道によると、VさんはAさんによる事故が原因で亡くなってしまったようです。
(事例はフィクションです。)
逮捕と勾留
前回のコラムでは、事例のAさんが逮捕される可能性があると解説しました。
逮捕されるとどうなるのでしょうか。
逮捕されると事件が終息するまで身体拘束が続くと思われる方も多いのではないでしょうか。
実は逮捕された場合に必ずしも長期間にわたって身体拘束が続くわけではありません。
逮捕後、検察官は勾留請求をするかどうかを判断し、勾留の必要性があると判断した場合には、裁判所に勾留請求を行います。
検察官が勾留請求を行わなかった場合には、釈放されることになります。
勾留請求が行われた場合には、裁判官が勾留が必要であるかを判断します。
勾留が決定すれば勾留されますし、勾留請求が却下されれば釈放されることになります。
裁判官による勾留の判断は、逮捕後72時間以内に行われ、勾留期間は最長で20日間にも及びます。
どんな場合に勾留されるの?
刑事訴訟法第60条1項
裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
一 被告人が定まつた住居を有しないとき。
二 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
犯罪を犯したと疑うのに足りる相当な理由があり、定まった住居がなかったり、証拠隠滅や逃亡するおそれがある場合に勾留されることがあります。
今回の事例では、Aさんが死亡ひき逃げ事故を起こしています。
事故現場周囲の防犯カメラ映像やAさんの車のドライブレコーダー映像、Aさんの車に残った痕跡などから、Aさんが死亡ひき逃げ事故を起こしたと疑うのに足りる相当な理由はあるといえるでしょう。
また、Aさんはひき逃げ、つまり事故現場から逃走していますので、証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断されてもおかしくないでしょう。
ですので、Aさんは逮捕後に勾留が決定してしまう可能性が高いと考えられます。
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