遅刻を免れるために信号無視をして死亡ひき逃げ事故を起こした事例⑤
遅刻を免れるために信号無視をして死亡ひき逃げ事故を起こした事例⑤
信号無視による死亡事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
Aさんは寝坊してしまい仕事に遅刻しそうだったため、赤信号を無視して車を運転していました。
京都府綾部市の交差点に赤信号で侵入したAさんは、横断歩道を横断中の歩行者Vさんを車でひいてしまいました。
AさんはVさんを車でひいたことを認識しながらも、Vさんの救護や警察署へ事故の報告をすることなく、職場に向かいました。
数時間後、Aさんは、Aさんが起こした事故がニュースで報道されていることを知りました。
報道によると、VさんはAさんによる事故が原因で亡くなってしまったようです。
(事例はフィクションです。)
逮捕
刑事訴訟法第199条
1項 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。ただし、三十万円(省略)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。
2項 裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(省略)の請求により、前項の逮捕状を発する。ただし、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。
3項 (省略)
拘留にあたる罪などを除き、犯罪を犯したと疑うのに足りる相当な理由がある場合には、明らかに逮捕の必要がないと認められる場合を除いて逮捕される可能性があります。
以前のコラムで解説したように、今回の事例では道路交通法違反(ひき逃げ)や危険運転致死罪、過失運転致死罪などが成立する可能性があります。
上記犯罪は全て拘禁刑が規定されていますので、事例のAさんに定まった住居があったり出頭要請に応じていた場合であっても逮捕されてしまう可能性があるといえるでしょう。
明らかに逮捕の必要がないと認められる場合には逮捕がなされないようですが、どのような場合があてはまるのでしょうか。
刑事訴訟規則第143条の3
逮捕状の請求を受けた裁判官は、逮捕の理由があると認める場合においても、被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情に照らし、被疑者が逃亡する虞がなく、かつ、罪証を隠滅する虞がない等明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、逮捕状の請求を却下しなければならない。
刑事訴訟規則第143条の3の規定によると、逃亡するおそれがなく、かつ、罪証を隠滅するおそれがない場合などが明らかに逮捕の必要がないと認められる場合にあたるようです。
今回の事例では、Aさんはひき逃げをしていますから、現場から逃走していることになります。
すでにAさんは一度逃走しているわけですから、逃亡のおそれがあると判断されてもおかしくないでしょう。
ですので、Aさんは逮捕の必要がないと認められない可能性が高く、今後の捜査でAさんが犯人であると発覚すればAさんが逮捕されてしまう可能性があるといえます。
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