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(事例紹介)年末年始の飲酒運転に注意~道路交通法違反で逮捕された事例

2022-12-29

(事例紹介)年末年始の飲酒運転に注意~道路交通法違反で逮捕された事例

年末年始は、忘年会や新年会、親戚同士の集まりなどにより、飲酒する機会が多くなるという方もいらっしゃるでしょう。
特に、ここしばらくはコロナ禍の影響で行動制限のある年末年始となっていましたが、今回は特に行動制限のかかっていない年末年始期間ということもあり、久しぶりの忘年会・新年会をしたという方や、数年ぶりに親戚一同で集まったという方も多いのではないでしょうか。

こうした中で、飲酒運転による道路交通法違反事件や、飲酒運転をしての交通事故が増加してしまう懸念があります。
実際に、年末の時点で飲酒運転飲酒運転をしての交通事故で逮捕されたという事例が全国各地で、複数報道されています。

~事例1~

福岡県で25日、酒を飲んで車を運転したとして、自称会社員の男2人が逮捕されました。
(略)
また、25日午前7時ごろには、福岡市博多区で酒を飲んで車を運転し、対向車線の車に衝突したとして、福岡県筑紫野市の自称会社員(略)が酒気帯び運転の疑いで逮捕されました。
(略)容疑者は「アルコールは抜けていると思った」と話し、容疑を否認しているということです。
(※2022年12月26日8:50YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)

~事例2~

三重県警名張署は12月27日、道路交通法違反(飲酒運転)の疑いで、伊賀市の会社員の男(52)を現行犯逮捕したと発表した。容疑を認めているという。
発表によると、同日午前1時15分ごろ、伊賀市桐ケ丘2の市道で、飲酒して普通乗用車を運転した疑い。
同署によると、道沿いに停まっていたトラックに男が運転する車が前から衝突する事故が発生。警察官が駆け付けたところ、男から酒の臭いがしたため飲酒検知し、呼気から基準値以上のアルコールが検出された。事故により、トラックのそばで作業をしていた男性が右足を負傷したという。
(略)
(※2022年12月27日伊賀タウン情報ユー配信記事より)

~事例3~

埼玉県警川口署は23日、道交法違反(酒気帯び)の疑いで、川口市西青木2丁目、無職の男(74)を現行犯逮捕した。
逮捕容疑は同日午前10時ごろ、同市青木5丁目の市道で、酒気を帯びた状態で軽自動車を運転し、前方の自動車計2台を巻き込む交通事故を起こした疑い。
同署によると、男は蕨方面から都内に進行中、前方で減速中の普通自動車(40代男性運転)に追突。同車は、前方で停止中の大型貨物自動車(50代男性運転)に衝突した。40代男性が軽傷を負った。50代男性からの110番で署員が駆け付けたところ、男の呼気からは1リットル当たり0・2ミリグラムのアルコールが検出された。その後の調べで、男は無免許で、事故直後に一度逃げていたことなどが分かり、同署は無免許、危険運転致傷、ひき逃げ、事故不申告の罪で送致する予定。男は飲酒運転の容疑は認めているという。
(※2022年12月25日13:41YAHOO!JAPANニュース配信記事より)

ご存知の方も多いように、飲酒運転はそれだけで道路交通法違反となる犯罪行為です。
「忘年会から帰宅するだけ」「新年会の途中で買出しに行くだけ」と軽く考えてはいけません。
飲酒運転自体も刑事事件となる犯罪行為ですし、飲酒運転をして交通事故を起こせば、単に不注意で交通事故を起こした際よりも重く処罰されることになります。
また、交通事故後に飲酒運転の発覚を免れようとすれば、それもまた別の犯罪(過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪)が成立することになります。

さらに、場合によっては危険運転致死傷罪に問われる可能性も出てきます。
実際に、ご紹介した事例の3つ目では、飲酒運転をして事故を起こした男性が危険運転致傷罪の容疑で送致予定とされています。
報道だけではこの男性が危険運転致傷罪のどの要件に当たっていると考えられているのかは不明ですが、飲酒運転によって危険運転致死傷罪の容疑がかけられ得るということは間違いありません。

飲酒運転は、やろうとすれば簡単にできてしまう行為かもしれませんが、飲酒運転自体に定められている刑罰も「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」もしくは「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」(道路交通法第117条の2、同法第117条の2の2)と重いものとなっています。
加えて、先ほども触れた通り、飲酒運転をして交通事故を起こしたということになれば、さらに成立する犯罪が加わり、重い刑罰が下されることが想定されます。
飲酒の機会が増える年末年始だからこそ、飲酒運転をしない・させないということをより強く意識することはもちろんですが、それでも当事者となってしまったら、早い段階から弁護士に相談し、刑事手続に備えることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、飲酒運転に関わる刑事事件のご相談・ご依頼も承っています。
年末年始弁護士のスケジュール次第では即日対応も可能となっていますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

【事例紹介】ひき逃げ・飲酒運転・犯人隠避罪で逮捕された事例

2022-12-08

【事例紹介】ひき逃げ・飲酒運転・犯人隠避罪で逮捕された事例

滋賀県で起きた交通事故により、飲酒運転や犯人隠避を疑われ逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県警東近江署は1日、自動車運転処罰法違反(過失致傷)と道交法違反(ひき逃げ、酒気帯び運転)の疑いで東近江市の足場設置業の男(26)を、犯人隠避容疑で男の妻(26)を逮捕した。
男の逮捕容疑は(中略)酒気帯び状態でトラックを運転し、同市能登川町の交差点で乗用車と衝突し、運転していた女性(55)に肋骨骨折などの重傷を負わせ逃げた疑い。妻は自分が運転していたとうその申告をした疑い。2人は容疑を否認しているという。
(12月1日 京都新聞 「男が酒気帯び運転でひき逃げ疑い 「自分が運転していた」虚偽申告疑い妻も逮捕」より引用)

過失運転致傷罪

過失運転致傷罪は、自動車運転処罰法第5条で規定されています。
過失運転致傷罪は、運転中に必要な注意を怠り、人にけがを負わせた場合に問われる罪で、有罪になった場合には7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金が科されます。(自動車運転処罰法第5条)

なお、後述のように、今回の事例の容疑者は、過失運転致傷罪だけでなく酒気帯び運転の容疑もかけられています。
過失運転致傷罪は、先ほど紹介したように、注意を怠った=過失により交通事故を起こし、人を負傷させた際に成立する犯罪ですが、飲酒運転の影響が著しく大きいことにより交通事故を起こしたという場合には、別の犯罪が成立することもあります。
アルコールにより正常な運転が困難であったと判断された場合には、過失運転致傷罪ではなく危険運転致傷罪の容疑をかけられる可能性があります。
その場合に有罪になれば、危険運転致死傷罪15年以下の懲役ですので、過失運転致傷罪よりも重い量刑が科されることになります。(自動車運転処罰法第2条第1号)
過失運転致傷罪飲酒運転(道路交通法違反)という犯罪に問われるのか、危険運転致傷罪という犯罪に問われるのかは、事故当時どれほど酔っていたのか、それによって運転にどれほど影響があったのかなどの事情によって判断されることになります。

ひき逃げ

人身事故を起こした際に、被害者の救護や事故の報告を行わなかった場合は、ひき逃げにあたります。

事故により人にけがを負わせ、救護しなかった場合には5年以下の懲役または50万円以下の罰金が、その事故が救護を行わなかった運転者に起因する場合は10年以下の罰金または100万円の罰金が有罪になった際にそれぞれ科されることになります。(道交法第117条)
ですので、実際に容疑者男性の運転が原因で事故を起こし、被害者の救護を行っていなかった場合には、10年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。

また、事故不申告で有罪になった場合には、3月以下の懲役か5万円以下の罰金が科されることになります。(道交法第119条第1項第17号)

酒気帯び運転

先ほども触れましたが、飲酒運転酒気帯び運転についてもひき逃げと同様に道交法で規定されています。

容疑者の男性が報道のとおりに酒気帯び運転を行っていた場合には、有罪になると、3年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金が科されます。(道交法第117条2の2第1項第3号)
また、千鳥足であったりろれつが回っていなかったりといった酔いの程度がひどい状態であった場合には、5年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金が科されることになります。(道交法第117条の2第1項第1号)

犯人隠避罪

犯人隠避罪は、簡単に説明すると、罰金刑以上の重さの刑罰が科される罪を犯した者を、匿まったり、証拠を隠滅する以外の方法で警察官に逮捕や犯人だと発覚しないように手助けをした場合に成立します。

今回の報道によると、容疑者の女性は、男性が運転していたにもかかわらず、自分が運転していたと申告したとされています。
報道内容が事実であった場合には、女性が事故を起こした男性の身代わりになることで、男性が逮捕されたり嫌疑がかけられないように手助けしてることになるため、犯人隠避罪の容疑をかけられたということなのでしょう。
犯人隠避罪で有罪になった場合には、3年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されることになります。(刑法第103条)

なお、犯人隠避罪は、犯人の親族が隠避を行った際には刑が免除される場合があります。(刑法第105条)
ですので、もしも今回の事例の容疑者が隠避行為を行っていたとしても、刑罰を科されない可能性があります。

今回の事例では、報道によると容疑者らは容疑を否認しているとのことです。
容疑を否認している場合、容疑を認めている場合に比べて警察官の取調べが厳しくなる可能性があります。
厳しい取調べが行われる中で、親身に相談に乗る弁護士の存在はあなたや家族にとって支えになるかもしれません。
冤罪や過失運転致傷罪、犯人隠避罪などの刑事事件でお困りの方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(事例紹介)通行人にぶつかり逃走 ひき逃げ事件として捜査

2022-12-01

(事例紹介)通行人にぶつかり逃走 ひき逃げ事件として捜査

通学中の小学生3人に車がぶつかり逃走している事件を参考に、ひき逃げした場合に、どのような犯罪が成立するかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事件概要

4日午前7時50分ごろ、堺市西区北条町2丁の住宅街の路上で、登校中の小学校の児童3人に車が接触した。
大阪府警によると、3人はいずれも7~8歳の小学2年生で、後ろから来た車が追い抜きざまに接触。
男児(7)が転倒し、右ひじを擦りむいたという。
車は逃走し、西堺署がひき逃げ事件とみて捜査している。
(後略)
(11月4日配信の朝日新聞デジタルの記事より引用)

ひき逃げをすると

ひき逃げとは、交通事故を起こし、負傷者がいるにも関わらず救護その他の必要な措置をとらずに逃げることをいいます。
これにより成立する可能性の犯罪としては、救護措置をとらなかったことによる道路交通法上の救護義務違反、及び警察に交通事故を報告しなかったことによる報告義務違反による罪が考えられます。

また、自動車の運転での過失行為により相手を死傷させた場合には、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(通称「自動車運転処罰法」)に定められている、過失運転致死傷罪が成立する可能性があります。

道路交通法上の救護・報告義務違反について

道路交通法72条では、交通事故があったときは、交通事故に係る車両等の運転手は負傷者を救護し道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない旨、及び交通事故の日時、場所や死傷者の状況を報告しなければならない旨が定められています。

そして、車両等の運転手が、当該車両等の交通による人の負傷があったにも関わらず、救護義務に反した場合は、道路交通法117条1項違反として、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金を課されるおそれがあります。
また、死傷が運転手の運転に起因するものであるのに運転手が救護義務に反した場合は、刑が加重され10年以下の懲役又は100万円以下の罰金を課されるおそれがあります。

次に、報告義務の違反については、道路交通法119条1項10号違反として、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金を課されるおそれがあります。

過失運転致死傷罪について

まず、過失運転致死傷罪は、自動車運転処罰法の5条に定められています。

自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

過失運転致死傷罪が成立する場合の具体例としては、脇見運転などの過失行為により交通事故を起こし相手を死傷させたような場合が考えられます。

このように、ひき逃げをすると道路交通法違反だけでなく、自動車運転処罰法の過失運転致死傷罪も成立する可能性があります。
また、防犯カメラの映像や事故現場にいた人の目撃証言などから犯人が特定されれば逮捕されてしまう可能性も高いでしょう。
ご自身・ご家族がひき逃げをしてしまったら、今後どのような手続きが進行していくか、事件の見通しを把握することは大切なことです。
まずは、弁護士に相談してみましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、お問い合わせをフリーダイヤル0120-631-881で受け付けていますので、お気軽にお電話下さい(24時間受付中)。
また、ご家族やご友人が警察に逮捕されてしまった場合は、初回接見サービスをご利用ください。

【事例紹介】無免許運転によるひき逃げ事故で逮捕(京都市伏見区)

2022-10-27

【事例紹介】無免許運転によるひき逃げ事故で逮捕(京都市伏見区)

無免許運転交通事故を起こしそのまま逃亡(ひき逃げ)した事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

京都府警伏見署は17日、自動車運転処罰法違反(無免許過失運転致傷)と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで、京都市伏見区、解体業の男(29)を逮捕した。
逮捕容疑は、(中略)無免許でオートバイを運転中、前方を走行していた会社員女性(36)の軽乗用車に追突し、首に捻挫を負わせ、そのまま逃げた疑い。
(後略)
(10月18日 京都新聞 「無免許で軽乗用車に追突、運転女性にけが負わせ逃走 ひき逃げ疑いで男逮捕」より引用)

無免許運転による過失運転致傷罪

おおまかに説明すると、運転中の過失により人にけがを負わせた場合は、過失運転致傷罪が適用されます。

今回の事例の報道によると、おそらく容疑者の男性は被害者が運転する車に追突しようと思って追突したのではないでしょうから、運転中に何かしらの過失があり追突してしまったのだと考えられます。
そして、追突された被害者は首に捻挫(けが)を負っているので、容疑者の男性には過失運転致傷罪の容疑がかけられています。
なお、もしも今回の事例の容疑者が、過失ではなく、被害者にけがを負わせるつもりで追突した場合は傷害罪などの別の罪が適用されることになります。

今回の事例のように、無免許運転により過失運転致傷罪に問われるような事故を起こした場合は、免許を所持した状態での過失運転致傷罪に比べて罪が重くなります。
過失運転致傷罪の量刑は7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金(自動車運転処罰法第5条)ですが、無免許運転だった場合には10年以下の懲役(自動車運転処罰法第6条第4項)になります。

報道によると、容疑者の男性は無免許運転をしていたとされており、この報道が事実であれば、容疑者の男性が過失運転致傷罪で有罪になった場合、執行猶予が付かない限り懲役刑が科されることになります。

ひき逃げ

道路交通法第72条第1項では、事故を起こした場合について、以下のことをしなければならないと定めています。

①負傷者の救護
②事故現場等の安全の確保
③警察官への事故の報告

以上の3つは事故を起こした際に必ずしなければならないことですので、今回の事例のように事故を起こしてそのまま事故現場から逃げた場合は道路交通法違反(ひき逃げ)になります。

また、①負傷者の救護や②事故現場の安全の確保を行わずに道路交通法違反で有罪になった場合は、以下のような量刑が科されます。
(ア)被害者がけがをしていた場合
5年以下の懲役または50万円以下の罰金(道路交通法第117条第1項)

(イ)被害者のけがが加害者の運転に起因するものであった場合
10年以下の懲役または100万円以下の罰金(道路交通法第117条第2項)

(ウ)被害者がけがをしていなかった場合
1年以下の懲役または10万円以下の罰金(道路交通法第117条の5第1号)

今回の事例で考えてみると、被害者は捻挫(けが)を負っていますので、(ア)か(イ)のどちらかのパターンが考えられます。
今回の事例の場合、容疑者の過失がなければ追突しなかった場合には、(イ)の容疑者本人の運転が原因でけがをした場合が適当だと考えられます。
しかし、もしも被害者側にも事故の原因の一端があった場合(例えば急ブレーキをかけたなど)には、(ア)が適用されるかもしれません。

ですので、報道内容が事実であった場合に、①負傷者の救護、②安全確保を行わずに道路交通法違反で有罪になれば、容疑者の男性は(ア)~(イ)の中で一番重い10年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。

また、③事故を申告せずに道路交通法違反で有罪になった場合には、3月以下の懲役または5万円以下の罰金(道路交通法第119条第1項第10号)が科されます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強い法律事務所です。
刑事事件に強い弁護士を付けアドバイスや示談交渉のサポートを受けることによって、手続をスムーズかつ有利に進められることが期待できます。
また、今回の事例のように逮捕されてしまっている場合には、できるだけ早く釈放に向けた弁護活動を行う必要があります。
交通事故により、捜査・逮捕された方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(事例紹介)滋賀県でひき逃げをして逮捕されてしまったケース

2022-10-13

(事例紹介)滋賀県でひき逃げをして逮捕されてしまったケース

~事例~

滋賀県警草津署は25日、自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで、滋賀県守山市に住むフィリピン国籍の飲食店経営の女(28)を逮捕した。
逮捕容疑は、同日午前1時41分ごろ、滋賀県栗東市で軽乗用車を運転し、左折するため減速した甲賀市の男性(48)のオートバイに追突、首にけがを負わせてそのまま逃げた疑い。
(※2022年5月26日20:30京都新聞配信記事より引用)

~ひき逃げをした際の刑罰は?~

今回取り上げた事例では、ひき逃げの容疑で女性が逮捕されています。
よく「ひき逃げ」と呼ばれる行為は、「事故を起こしてそのまま逃げた」というイメージだと思われます。
この「ひき逃げ」は、実は正式な犯罪名ではありません。

そもそもひき逃げとは、人身事故を起こした後、道路交通法に定められている義務を果たさずにそのまま事故現場から離れることを指します。
道路交通法では、人身事故を起こしてしまった場合、負傷者を救護する義務(いわゆる「救護義務」)や、警察署などに通報し事故を報告する義務(いわゆる「報告義務」)、道路上の危険を防止する措置をする義務(いわゆる「危険防止措置」)を定めています。
よくイメージされる「事故を起こして逃げた」ひき逃げは、義務を果たさずに事故現場から逃げていることになる=これらの義務に反するため、道路交通法違反という犯罪になるのです。

加えて、ひき逃げ事件の場合、そもそも人身事故を起こしているということにも注意が必要です。
この時成立する罪は、人身事故がどのように起きたか、例えば、わき見運転などの不注意による人身事故なのか、赤信号を殊更に無視するなどの危険運転行為による人身事故なのかといった事情によって異なります。
不注意=過失によって起こった人身事故であれば、今回取り上げた事例同様、自動車運転処罰法に定められている過失運転致傷罪となるでしょう。

なお、この際に無免許運転や飲酒運転といった事情があれば、当然その分も罪が成立することになります。

おさらいをすると、ひき逃げ事件では、人身事故を起こしたこと自体による過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪、義務を果たさなかったこと(ひき逃げ)による道路交通法違反という2つの犯罪が成立します。
さらに、無免許運転や飲酒運転の事情があれば、上記2つの犯罪に加えてその犯罪も成立します。
今回取り上げた事例でも、女性の逮捕容疑は過失運転致傷罪と道路交通法違反という2つの犯罪になっています。

ひき逃げ事件では、単なる不注意による人身事故よりも成立する犯罪の数が増えていることだけでなく、義務を果たさずにその場から離れるという悪質性の高い行為をしていることからも、起訴され正式な刑事裁判を受ける可能性や厳しい処分を受ける可能性が高いと考えられます。

例えば、過去には以下のような裁判例があります。
・普通貨物自動車の運転中、横断歩道上の歩行者に気が付かず衝突し、加療約11日の怪我を負わせた人身事故を起こし、警察への報告義務を果たさなかったというひき逃げ事件で、被害者との示談が成立し懲役10月執行猶予3年となった事例(判決:平成26年5月)
・普通乗用車の運転中、一時停止標識を無視して一時停止をせず、普通乗用車と衝突し、同乗者に加療約22日間の怪我を負わせた人身事故を起こし、警察への報告義務を果たさなかったというひき逃げ事件で、懲役1年執行猶予4年が言い渡された事例(判決:平成26年8月)
・普通乗用自動車の運転中、前方左右の安全確認を怠り、被害者と衝突し、加療約94日の怪我を負わせた人身事故を起こし、警察への報告義務を果たさなかったというひき逃げ事件で、懲役1年6月執行猶予3年が言い渡された事例(判決:平成25年4月)
(参照:第一東京弁護士会刑事弁護委員会・編(2018)『量刑調査報告集Ⅴ』第一東京弁護士会)

もちろん、刑罰の重さは人身事故の態様や原因、被害者が亡くなっているのか、けがの重さはどの程度か、被害弁償はできているのかといった様々な事情に左右されますので、詳細な見通しなどは弁護士に相談してみることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、ひき逃げ事件に関連したご相談・ご依頼も承っています。
在宅捜査されている方向けの初回無料法律相談から、逮捕・勾留中の方向けの初回接見サービスまで、様々なご事情に合わせたサービスをご用意していますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

【事例紹介】滋賀県長浜市 過失運転致傷罪・ひき逃げ容疑で逮捕

2022-09-22

【事例紹介】滋賀県長浜市 過失運転致傷罪・ひき逃げ容疑で逮捕

滋賀県長浜市で起きた交通事故を基に、過失運転致傷罪ひき逃げについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県警木之本署は8日、中型トラックを運転中に自転車の男性に衝突してけがを負わせたとして、自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで、岐阜県輪之内町のトラック運転手の男(69)を逮捕した。 

逮捕容疑は、8日午前2時10分ごろ、滋賀県長浜市西浅井町塩津浜の国道8号で中型トラックを運転中、自転車の湖南市の男性(27)に後方から衝突し、尻に打撲を負わせて、そのまま逃げた疑い。(中略)容疑を否認している。
(9月9日 京都新聞 「トラックで自転車に衝突、ひき逃げ疑い男を逮捕 滋賀・長浜、けが負わす」 より引用)

過失運転致傷

自動車運転処罰法第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金に処する。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

自動車の運転上必要な注意を怠った過失により人を死傷させてしまった場合は、自動車運転処罰法第5条の過失運転致死傷罪が適用されます。
過失による交通事故で人を死なせてしまった場合も怪我をさせてしまった場合も同じ条文が適用されますので、どちらの場合で有罪になったとしても、7年以下の懲役か禁錮もしくは100万円以下の罰金が科されます。
しかし、但し書きで相手の怪我の度合いが軽かった場合には刑が免除されることもあるとされています。

ひき逃げ

道路交通法第72条第1項は、交通事故を起こした際に講じなければならない措置について規定しています。
道路交通法第72条第1項が規定しているその義務として代表的なものは、救護義務と報告義務が挙げられます。
すなわち、人身事故を起こした際に、負傷者の救護(救護義務)、警察官への事故の報告(報告義務)を行わなかった場合は道路交通法第72条第1項に違反することになります。

ひき逃げは、救護義務違反や報告義務違反をした場合の総称ですので、人身事故を起こしたにも関わらず救護や報告を行わなかった場合に、ひき逃げを疑われることになります。

救護義務違反で有罪になった場合は1年以下の懲役または10万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第117条の5第1項第1号)
また、報告義務違反で有罪になった場合は3月以下の懲役または5万円以下の罰金が科されることになります。(道路交通法第119条第1項第10号)

ひき逃げを疑われ、無罪に

ひき逃げの自覚がないのに、ひき逃げだと疑われた場合は有罪になるのでしょうか。

これからご紹介するのは千葉県で起きたひき逃げ事件の裁判例です。
この裁判では、被告側がひき逃げについて無罪を主張しており、事故当時の被告人の行為がひき逃げにあたるのかについて争われました。

千葉県長生村職員の男性は、29歳の男性をひき逃げし、死亡させてしまいました。
職員の男性は「人をひいたという認識はなかった」として、ひき逃げについて否認しており、無罪を主張していました。
ひき逃げについて争われた裁判では、職員の男性が、ごみなどをひいたと認識し、人をひいたと認識していなかったと考えられることや、深夜の車道に人が横たわっていると想定することは困難であることなどから、裁判官は職員の男性にひき逃げの容疑について無罪を言い渡しました。
なお、過失運転致死罪の裁判では、職員の男性は有罪になり、50万円の罰金が科されています。
(2017年9月16日 千葉日報 「村職員に無罪判決 「人の認識ない」と千葉地裁 長生ひき逃げ事件」より)

ひき逃げ事件については、「ひき逃げをしてしまった」という認識のないまま容疑をかけられているケースも存在します。
ご紹介した無罪判決のようなケースもありますので、ひき逃げの容疑を否認しているという場合には、早期に弁護士に相談することで、見通しや可能な弁護活動、適切な取調べ対応等を把握して刑事手続きに臨むことが期待できます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を中心に扱う法律事務所です。
ひき逃げを疑われている方や、かけられた容疑を否認していて悩んでいる方は、刑事事件でお困りの方はぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】飲酒運転によるひき逃げ 過失運転致傷罪で再逮捕

2022-09-01

【事例紹介】飲酒運転によるひき逃げ 過失運転致傷罪で再逮捕

滋賀県で起きた飲酒運転によるひき逃げ事件を基に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が酒気帯び運転、ひき逃げ、過失運転致傷罪について解説します。

事例

滋賀県警大津署は22日、自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)と道交法違反(ひき逃げ、酒気帯び運転)の疑いで、京都市山科区の無職の男(72)を再逮捕した。

再逮捕容疑は21日午前11時40分ごろ、大津市皇子が丘1丁目の国道161号西大津バイパスで酒気帯び状態で乗用車を運転し、同じ方向を走っていた乗用車2台と衝突して運転手と同乗者の男女計3人の首などに軽傷を負わせ、そのまま逃げた疑い。

(後略)
(8月22日 京都新聞 「酒気帯び運転、車2台と衝突の男を再逮捕 飲酒検査拒否後、ひき逃げ容疑認める」より引用 )

酒気帯び運転

酒気帯び運転は道路交通法第65条第1項で禁止されています。

道路交通法では酒気帯び運転をした場合の罰則が設けられていますが、お酒に酔った状態かそうでないかで科される刑罰の重さが変わります。
お酒に酔い、正常な運転ができない状態で運転した場合は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第117条の2第1項)
これはいわゆる「酒酔い運転」と呼ばれる種類の飲酒運転です。
対して、「酒酔い運転」ほど激しく酔いの症状が出ていないものの、政令で定める程度以上のアルコールを保有する状態で運転した場合は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第117条の2の2第3項)
一般にはこちらを指して「酒気帯び運転」と呼ばれることもあります。

今回の事例の男性が酒気帯び運転で有罪になれば、正常な運転ができない程にお酒に酔っていた場合は道路交通法第117条の2第1項、政令で定める程度以上のアルコールを保有していたが酔っていなかった場合は道路交通法第117条の2の2第3項によって刑罰を科されることになります。

ひき逃げ

ひき逃げについても、酒気帯び運転と同様に道路交通法で処罰されます。

道路交通法第72条第1項
交通事故があったときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

負傷者の救護や警察署への事故の報告などを行わずに事故現場から逃げた場合、ひき逃げになります。

ひき逃げによる道路交通法違反で科される刑罰は、負傷者の救護を行わなかった場合(救護義務違反)と警察署に報告をしなかった場合(報告義務違反)で、差があります。
負傷者の救護を行わなかった場合は5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第117条第1項)
一方で、警察署に報告をしなかった場合は3月以上の懲役または5万円以下の罰金が科されることになります。(道路交通法第119条第1項第10号)

今回の事例では救護義務違反、報告義務違反のどちらが適用されるのでしょうか。
今回の事例では男性は事故後そのまま逃げ去っていると書かれています。
おそらく救護や警察署への報告はしていないのでしょう。
ですので、救護義務違反、報告義務違反の両方の罪に問われることになります。
有罪となってしまった場合は、ひき逃げにより、救護義務違反と報告義務違反の2つの罪に問われていますので、救護義務違反と報告義務違反のうち、より重い方の刑罰が科されることになります。(刑法第54条)
救護義務違反の方が科される刑罰が重くなっていますので、今回の事例の男性は5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることになります。

過失運転致傷罪

過失運転致傷罪は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転処罰法)で規定されており、過失により人を負傷させた場合に適用されます。

過失運転致傷罪で有罪となった場合は、7年以下の懲役か禁錮または100万円以下の罰金が科されます。(自動車運転処罰法第5条)

過失運転致死傷罪、ひき逃げ、酒気帯び運転は、有罪になれば懲役刑を科される可能性があります。
弁護士に相談することにより懲役刑を避けることができる場合があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では逮捕された方に初回接見サービスを行っています。
初回接見サービスのご予約は0120―631―881までご連絡ください。
初回接見サービスについての詳細はこちらをご覧ください。

(事例紹介)積み荷の落下から過失運転致傷事件に問われた事例

2022-08-18

(事例紹介)積み荷の落下から過失運転致傷事件に問われた事例

~事例~

トラックに積載していたポリタンクを落下させ、後続のオートバイの運転手らにけがを負わせて逃走したとして、大阪府警南堺署は13日、自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで、(中略)容疑者(65)を逮捕した。
(中略)
逮捕容疑は8日午後0時55分ごろ、堺市南区槇塚台の市道で2トントラックを運転中、積み荷のポリタンク(縦横ともに約80センチ、高さ約100センチ、重さ約10キロ)を落下させ、ポリタンクが直撃した後続のバイクの運転手らにけがをさせるなどしたのに逃走したとしている。
(後略)
(※2022年8月13日12:32産経新聞配信記事より引用)

・積み荷の落下で人身事故に

今回取り上げた事例では、トラックに積載していた積み荷が落下し、それによって人に怪我をさせてしまったという経緯で、容疑者が過失運転致傷罪ひき逃げによる道路交通法違反の容疑で逮捕されています。
逮捕容疑の1つである過失運転致傷罪は、いわゆる自動車運転処罰法(正式名称:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)に定められている犯罪で、人身事故事件で成立することの多い犯罪です。

自動車運転処罰法第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

人身事故というと、自動車同士の衝突事故や、通行人への衝突事故・接触事故が思い浮かびやすいですが、今回の事例では、トラックに積載していた積み荷が落下してしまい、その積み荷によって後続のオートバイを運転していた人などが怪我をしてしまったということのようです。
自動車運転処罰法の過失運転致傷罪を定めている条文を見ると、「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた」ことが過失運転致傷罪成立の要件となっています。
この「自動車の運転上必要な注意を怠」るという部分については、例えばよそ見運転やながら運転など、運転の仕方に関するものが代表的です。
しかし、「自動車の運転上必要な注意」とは、こうした運転すること自体に求められる注意だけでなく、運転する際の車や積み荷の状態への注意も含まれると考えられます。
道路交通法では、以下のようにして運転者の自動車の積み荷についての遵守事項を定めています。

道路交通法第71条第1項
車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。
第4号 乗降口のドアを閉じ、貨物の積載を確実に行う等当該車両等に乗車している者の転落又は積載している物の転落若しくは飛散を防ぐため必要な措置を講ずること。
第4号の2 車両等に積載している物が道路に転落し、又は飛散したときは、速やかに転落し、又は飛散した物を除去する等道路における危険を防止するため必要な措置を講ずること。

道路交通法第120条第1項
次の各号のいずれかに該当する者は、5万円以下の罰金に処する。
第9号 第71条(運転者の遵守事項)第1号、第4号から第5号まで(中略)の規定に違反した者

つまり、道路交通法では、運転する際に、積み荷が落下しないように措置を講じる必要があり、もしも積み荷が落下してしまった場合には、落下した積み荷を道路から除去するなど、その積み荷が原因で道路上の危険が生じないようにしなければならず、それに反することは道路交通法違反となり犯罪になるということになります。

今回の事例で、積み荷がどのように積まれていたのかまでは定かではありませんが、固定などが不十分なまま積み荷を積んでいて落下させてしまったなどの事情があれば、道路交通法上の遵守事項を守らなかったことで積み荷を落下させて人を負傷させてしまった=「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた」とされ、過失運転致傷罪に問われた可能性もあります。

道路交通法などの特別法には、細かく義務や遵守事項が定められており、一般の方だけでは、どういった罪に問われているのか、なぜその犯罪の容疑をかけられているのかといったことが分かりづらい場合もあります。
自身になぜその犯罪の容疑がかけられているのか、見通しはどういったものなのかということを正確に把握することは、その後の刑事手続きに適切に対応していく上で重要となります。
まずは専門家である弁護士に相談してみることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、人身事故事件などの交通事件についてのご相談も受け付けています。
まずはお気軽にご相談下さい。

[事例紹介]京都市南区のひき逃げ事件で逮捕された事例

2022-07-14

[事例紹介]京都市南区のひき逃げ事件で逮捕された事例

京都市南区で起きたひき逃げ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

京都府警南署は4日、自動車運転処罰法(過失傷害)と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで、京都市南区のアルバイトの男(40)を逮捕した。 
逮捕容疑は、同日午前9時すぎ、自宅近くで乗用車を運転中、東山区の女性会社員(50)の自転車に衝突、腰を打撲する軽傷を負わせ、そのまま逃げた疑い。
(7月5日 京都新聞  「自転車の女性に衝突、ひき逃げ疑いで車の男逮捕 女性はけが」より引用)

過失運転致死傷罪とひき逃げ(救護義務違反)

過失運転致死傷罪は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律自動車運転処罰法)第5条で、「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。」と定められています。
不注意で起こしてしまった人身事故の場合には、過失運転致死傷罪が成立するケースが多いため、多くの人身事故事件でこの過失運転致死傷罪が問われることになります。

そして、このような人身事故を起こしてしまった場合、救護義務が発生します。
救護義務は道路交通法第72条で規定されており、これに違反した場合は、ひき逃げ(救護義務違反)となります(他にも報告義務や危険防止措置義務などの義務も発生し、これらを果たさなかった場合にも犯罪となり、これらもひき逃げと呼ばれたりします。)。
ひき逃げ(救護義務違反)をした場合は、5年以下の懲役または50万円以下の罰金、自分の運転により事故を引き起こしてしまったにもかかわらずひき逃げ(救護義務違反)をした場合は、10年以下の懲役または100万円以下の罰金に処されます。(道路交通法第117条)

今回取り上げた報道の事例では、逮捕された男性は自分で運転していた車で被害女性と衝突し怪我を負わせる人身事故を起こしています。
報道では事故の原因が何だったのかということには具体的に触れていませんが、男性が過失運転致傷罪の容疑をかけられていることから、男性側に不注意(過失)があり、それが事故の原因となってしまった可能性があります。
そして、先ほど見てきたように、こうした人身事故を起こした場合には、被害者(今回の事例であれば女性会社員)を救護するなどの義務が男性に発生するのですが、男性はその義務を果たさずに現場から立ち去ってしまっているようですから、この行為についてひき逃げという容疑がかけられているのでしょう。

こうした報道は度々流されていることから、過失運転致死傷罪ひき逃げといった罪名や行為についてなんとなくご存知であるという方も少なくないでしょう。
では、実際のひき逃げ(救護義務違反)過失運転致死傷罪の裁判では、どういった判断が下されているのでしょうか。
以下では、ひき逃げ(救護義務違反)過失運転致死傷罪の裁判例を紹介します。

ひき逃げ(救護義務違反)の裁判例

この裁判例では、被告人は自動車を運転中に進路前方で倒れていた被害者を轢き、救護や報告などを行わずに事故現場を去りました。
被告人は既に自動車運転過失致死罪(過失運転致死罪)で有罪となっており、さらにひき逃げ(救護義務違反・報告違反)で起訴され裁判となりました。
裁判の結果、被告人のひき逃げ(救護義務違反・報告違反)が認められ、懲役6月執行猶予2年が言い渡されました。
(平成30年1月19日 名古屋地方裁判所)

過失運転致死傷罪の裁判例

この裁判例では、被告人は車を運転中に注意義務を怠り、歩行者に衝突しました。
被告人は、過失運転致死傷罪で有罪となり、禁錮3年執行猶予4年になりました。
(令和2年3月19日 名古屋地方裁判所)

人身事故事件やひき逃げ事件も取り扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス、初回無料法律相談を行なっております。
過失運転致死傷罪ひき逃げ(救護義務違反)でお困りの際は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(事例紹介)大阪市における自転車のひき逃げ事件で逮捕

2022-07-07

(事例紹介)大阪市における自転車のひき逃げ事件で逮捕

今回は、自転車のひき逃げ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

大阪市北区で25日朝、自転車同士がぶつかり、76歳の女性が重体となった事故で、逃走していた46歳の男が逮捕されました。
重過失傷害とひき逃げの疑いで26日に逮捕されたのは、大阪市城東区の(中略)容疑者(46)です。
(中略)容疑者は、25日午前6時半ごろ、大阪市北区天満の歩道で、76歳の女性の自転車とぶつかって転倒させ、負傷させたにもかかわらず、そのまま走り去った疑いが持たれています。
(6月26日 ABCニュース 「自転車同士がぶつかり高齢女性が重体 「自分は悪くない」逃走中の男をひき逃げ容疑で逮捕 大阪・北区」より引用)

~自転車のひき逃げ事件~

ひき逃げ事件というと、自動車と歩行者の人身事故や、自動車同士の交通事故を起こしてその場から逃げるという内容をイメージしやすいでしょう。
しかし、今回取り上げた事例は、自転車同士の事故によるひき逃げ事件です。
自転車であってもひき逃げということになるのでしょうか。

道路交通法第72条1項前段は、
交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない
としています。
これは「車両等」の運転者などの義務であり、事故を起こしたにも関わらずこれらの義務を果たさずにその場から去ることが、いわゆるひき逃げと呼ばれているのです。

道路交通法上では、自転車であっても「車両等」に含まれ(道路交通法第2条1項8号・11号イ・17号)、事故を起こしてしまった場合に、警察への連絡や救急車の要請を怠ってしまえば、道路交通法上の義務を果たさなかったひき逃げ事件として検挙、逮捕される場合があります。
そして、事件の内容によっては起訴され、前科が付いてしまう事態も想定されます。

今回の事例では、自転車同士で事故を起こしたにも関わらず、上記の道路交通法の義務(通報や救急車の要請など)を果たさなかったことから、ひき逃げ=道路交通法違反の容疑をかけられているという状況なのでしょう。

また、今回取り上げている事例では、逮捕された男性は、ひき逃げの罪(道路交通法違反)のほかに、重過失傷害罪という犯罪の容疑もかけられています。

刑法第211条
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

重過失傷害罪は、このうち後段の部分です。
自転車事故の場合、刑法の過失傷害罪が適用されることが多いのですが、不注意(過失)の度合いが著しく多い場合、今回の事例で登場した重過失傷害罪に問われることもあります。
重過失傷害罪は、過失傷害罪と異なって非親告罪であり、かつ刑罰も厳しいものとなっています。

自転車の事故であるからといって軽く考えずに、交通事故を起こしてしまった場合には適切な対処を行いましょう。
それでも、自転車事故刑事事件に発展してしまった場合には、早期に弁護士に相談することが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を中心に扱う法律事務所です。
自転車のひき逃げ事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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