バイク仲間のオフ会で帰宅途中にオフ会参加者をバイクで轢いてしまい、殺人罪の容疑をかけられている事例②

2025-04-30

バイク仲間のオフ会で帰宅途中にオフ会参加者をバイクで轢いてしまい、殺人罪の容疑をかけられている事例②

車が人に追突した人身事故

バイクで事故を起こし殺人罪の容疑をかけられている事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

バイクを趣味に持つAさんは、京都府福知山市にあるお店で行われるバイク仲間のオフ会に参加していました。
オフ会中にAさんはオフ会に参加していたVさんとトラブルになってしまったのですが、他のオフ会参加者による仲介によって暴力沙汰には発展しませんでした。
夜も更けてきて各々帰宅することになり、Aさんはスマートフォンで帰宅ルートを確認しながらバイクを運転しお店の駐車場を出ようとしたところ、帰宅するために駐車場内を歩いていたVさんをはねてしまいました。
事故の目撃者による通報で救急隊と警察官が駆け付け、Aさんは過失運転致傷罪の疑いで逮捕されました。
その後、Vさんの死亡が確認され、Aさんは殺人罪の疑いで捜査を受けることになりました。
Vさんとトラブルになった際に、AさんがVさんに対して「お前なんか殺してやる!バイクで轢いたらお前なんてすぐに殺せるんだからな」と発言していたことが問題視されたようです。
(事例はフィクションです。)

殺人罪

前回のコラムでは、今回の事例では過失運転致死罪が成立する可能性があると解説しました。
ではなぜ、Aさんは殺人罪の疑いで捜査を受けることになったのでしょうか。

刑法第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

殺人罪は刑法第199条で規定されており、法定刑は死刑又は無期若しくは5年以上の懲役です。

殺人罪を簡潔に表すと、人を殺すと成立する犯罪です。
ですが、人を殺したからといって必ずしも殺人罪が成立するわけではありません。
例えば、車を運転中に歩行者に気づかずに車で轢いて死亡させてしまった場合に殺人罪が成立する可能性は極めて低いと考えられます。
では、どうして今回の事例では殺人罪で捜査されているのでしょうか。

殺人罪が成立するためには、人を殺す意思が必要になります。
先ほど例示した車で人を轢き死亡させてしまった場合は、運転手が歩行者に気づいていなかったことで起きた事故ですので、運転手に歩行者を殺す意思があったとは考えにくいです。
ですので、運転手に殺人罪の故意、つまり人を殺す意思がなかったと考えられ、殺人罪は成立しないと考えられます。

一方で今回の事例では、事故直前にAさんとVさんがトラブルになっており、AさんはVさんに対して、「お前なんか殺してやる!バイクで轢いたらお前なんてすぐに殺せるんだからな」と発言しています。
AさんとVさんとの間でトラブルがあったこと、「殺してやる」と発言していたことから、AさんにVさんを殺す意思があったと判断される可能性があります。
事例では、AさんにVさんを殺す意思があったと判断されてしまい、殺人罪で捜査を受けることになったのでしょう。

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