空き地で交通違反・交通事故
空き地で交通違反・交通事故
京都府城陽市に住むAさんはお酒を飲んだ後,駐車スペースを空けるため,空き地において軽自動車を運転したところ,たまたま近くを通りかかった京都府城陽警察署のパトカーに呼び止められました。
Aさんは,警察官から呼気検査を受けたところ,呼気1リットルにつき0.2mgのアルコールが検出されました。
そして,Aさんは,道路交通法違反(酒気帯び運転の罪)の被疑者として警察官から赤切符の交付を受けました。
Aさんとしては,「空き地であれば酒気帯び運転しても問題ない」と考えていましたが,警察官からは「私道でも交通違反になることがある」と言われてしまいました。
(フィクションです)
~ はじめに ~
自動車を運転する道は必ずしも公道だけに限らず,私道の場合もあります。
そして,そこが道路交通法上の「道路」と認められる場合である場合は,たとえ「私道」であっても道路交通法の適用を受けるのです。
そこで,今回は,道路交通法の基本中の基本である「道路」の意義を中心に解説したいと思います。
~ 道路交通法上の「道路」の意義 ~
道路交通法2条1項1号で「道路」とは,「道路法第2条第1項に規定する道路,道路運送法第2条第8項に規定する自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所をいう」とされています。
「道路法第2条第1項に規定する道路」とは,①高速自動車国道,②一般国道,③都道府県道,④市町村道をいいます。
なお,都市高速道路は,都道府県道又は市町村道のいずれかに当たります。
「道路運送法第2条第8項に規定する自動車道」とは,専ら自動車の交通の用に供することを目的として設けられた道で道路法による道路以外のものをいい,「一般自動車道」と「専用自動車道」に分けられます。
「一般自動車道」とは,専用自動車道以外の自動車道をいい,「専用自動車道」とは,自動車運送事業者(自動車運送事業を経営 する者をいう。以下同じ。)が専らその事業用自動車(自動車運送事業者がその自動車運送事業の用に供する自動車をいいます。
~ 一般交通の用に供するその他の場所 ~
では,最後の「一般交通の用に供するその他の場所」とはどのような場所をいうのでしょうか?
「一般交通の用に供するその他の場所」とは,不特定の人や車両が自由に通行できる場所をいい,公道であるか私道であるかを問わないとされています。
そして,交通実務では,次の3点から「一般交通の用に供するその他の場所」かどうかを判断しています。
①一般交通の用に供されていると客観的に識別できること
②当該道路が反復,継続して利用されていること
③公開されていること
これらの要素が満たされた場所であれば,「私道」,「空地」,「広場」,「海辺」,「公開中の公園の道路」,「学校の構内の道路」,「神社の境内」等を問わず,道路交通法上の「道路」とされます。
~ 「道路」であるとどうなるの? ~
「道路」であると認められる場合は,道路交通法に基づく罰則を科される可能性が出てきます。
ちなみに,Aさんは酒気帯び運転をした疑いが高いわけですが,酒気帯び運転について定めた道路交通法65条1項は,まず,「何人も,酒気を帯びて運転してはならない」と規定し,さらに「運転」の意義については,道路交通法2条1項17号で「『道路』において,車両又は路面電車(以下,車両等という)をその本来の用い方に従って用いることをいう。」とされています。
したがって,「空き地,駐車場では絶対に交通違反にはならない」などという認識は誤りですから注意しましょう。
* 人身事故の場合は? *
仮に,「道路」では場所で,人身事故を起こした場合はどうでしょうか?
この場合,道路交通法の適用とありませんが,過失により人に怪我をさせたり死亡させた場合は,「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」に規定される過失運転致死傷罪に問われる可能性があります。
同罪の罰則は「7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」です。
~ おわりに ~
道路交通法は,「道路」における危険を防止し,その他交通の安全と円滑を図り,及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的としています。
したがって,道路交通法を理解することは「道路」意義を理解するといっていいほど「道路」の意義は重要です。
皆さんも,日頃運転している道が「道路」なのか否か少し気に留めてみてはいかがでしょうか?
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