愛知のひき逃げ事件で逮捕 懲役の弁護士

2015-06-04

愛知のひき逃げ事件で逮捕 懲役の弁護士

Aさんは、ひき逃げ事件の容疑者として愛知県警中警察署取調べを受けています。
同署によると、中区交差点の事故現場近くにあった防犯カメラに猛スピードで逃走するAさんの車両が映っていたということです。
捜査を担当している警察官は、容疑が固まり次第、逮捕状を請求する方針です。
(フィクションです)

~ひき逃げ事件で成立しうる犯罪~

ひき逃げ事件とは、車などの運転中に人身事故を起こした場合に、被害者の救護措置を怠って現場を離れることを言います。
この場合、道路交通法72条前段に違反することになり、10年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。

もっとも、ひき逃げの態様によっては、道交法違反にとどまらず、より重い罪が成立することもあります。
今回は、ひき逃げ事件で成立しうる犯罪についてご紹介したいと思います。

■保護責任者遺棄罪(刑法218条)
人身事故を起こした者が、被害者を救護せずに放置した場合、保護責任者遺棄罪の成否が問題となりえます。
保護責任者遺棄罪が成立する場合、3ヵ月以上5年以下の懲役に処せられます。

ひき逃げ事件保護責任者遺棄罪の成立を認めた判例として、最高裁昭和34年7月24日判決があります。
事件の内容は、以下の通りです。
「車を運転していた被告人は、被害者に約3カ月の加療を要する重傷を負わせ、歩行不能に至らせた。
しかし、何ら救護措置を講ずることなく、被害者を車に乗せ、事故現場を離れた。
その後、医者を呼んでくると偽って、降雪中の薄暗い車道上に被害者をおろしそのまま立ち去った。」

なお、加害者の遺棄行為によって、被害者に死傷の結果が生じた場合、保護責任者遺棄罪にとどまらず、保護責任者遺棄致死傷罪が成立することになります。

■殺人罪(刑法199条)
人身事故後、救護措置によって生命を救うことができるにもかかわらず、そのままでは死亡することを認識しながら遺棄した場合は、殺人罪の成否が問題となります。
殺人罪が成立する場合は、死刑または無期もしくは5年以上の懲役に処せられます。

東京高裁昭和46年3月4日判決は、次のような事例でひき逃げ行為に殺人罪が成立すると判断しています。
「被告人は、車を運転中、被害者と衝突し入院加療6ヵ月を要する重傷を負わせた。
このとき、被害者は、道路の側溝に落ち、左半身がぬれた上、意識も失った。
その後、被告人は被害者を自車に乗せて運び、旧中山道より約1000メートル横道にそれた陸田の端に降ろして放置した。
なお、この場所は、事件当時夜から早朝にかけて気温がゼロ度近くまで下がり、朝まで人の通行を期待しえない場所だった。」

ひき逃げ事件は、その行為態様の悪質性や危険性ゆえに、厳罰化の傾向が顕著です。
よって、少しでも早い弁護活動を開始しなければ、懲役刑や逮捕・勾留による長期の身柄拘束を受ける可能性も否定できません。
愛知名古屋弁護士ノリタケ法律事務所は、ひき逃げ事件にも強い弁護士事務所です。
ぜひご相談下さい。
なお、愛知県警中警察署に逮捕されたという場合は、弁護士を警察署に派遣する形でも対応可能です(初回接見費用:3万5500円)。

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