岐阜の危険運転致死事件で逮捕 釈放に強い弁護士

2015-04-06

岐阜の危険運転致死事件で逮捕 釈放に強い弁護士

車で人身事故を起こしたAさんは、押しボタン式信号機が黄色表示になっていることに気付いていました。
しかし、速度を上げれば赤に変わるまでに間に合うと思い、速度を上げてその信号を通過しようとしたのでした。
Aさんを危険運転致死罪現行犯逮捕した岐阜県警可児警察署によると、被害者は3歳の子供だったということです。

今回は平成13年9月20日札幌高等裁判所判決をもとに事案を作成しました。
なお、警察署や罪名については、修正してあります。

~危険運転致死傷罪制定前の人身死亡事故事件~

今回は3歳の幼い子が死亡した人身死亡事故事件(平成13年9月20日札幌高等裁判所)をご紹介したいと思います。
この事件は、平成12年8月18日に北海道小樽市で起こりました。
被告人は、押しボタン式の信号が黄色表示になっていることを横断歩道の停止線の約95.8メートル手前で現認していました。
にもかかわらず、速度を上げれば、赤信号に変わる前に通過できると考え、車の速度を時速約65キロから約75~80キロに加速し横断歩道に進入しました。
その結果、信号が青に変わったことに従って、横断歩道を渡っていた被害者と衝突し死亡させてしまったのでした。

現行法制度上においては、こうした信号無視による人身死亡事故の場合、危険運転致死罪に問われる可能性があります。
自動車運転処罰法2条5号によると、
「赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」
によって、人を死亡させた者は1年以上20年以下の懲役に処せられます。

今回の事件について考えてみましょう。
被告人は、時速約65キロで車を走行させながら、横断歩道の停止線の約95メートル手前で対面信号が黄色であることを認識しています。
ですから、黄色信号を現認した時点でブレーキをかけるなどして停止線で停止することは十分可能であったと考えられます。
一方で被害者は、押しボタン式信号の横断歩道を渡る為にボタンを押し、信号が青に変わったのに従って横断歩道を渡ったことが明らかになっています。
以上から考えると、被告人は対面信号が赤で、かつ、停止線手前で停止できる可能性があったにもかかわらず、あえて自動車を進行させ事故を起こしたと言えます。
したがって、現行法上では十分に危険運転致死罪が成立した可能性があると考えられます。

しかし、今回ご紹介した裁判の結果下された判決は、危険運転致死罪ではなく、業務上過失致死罪の有罪判決でした(禁錮1年8か月)。
今回の事件が発生した平成12年8月18日当時、危険運転致死罪はこの世に存在していなかったからです。
その結果、被告人の起こした人身事故の責任はあまりに重大であったにもかかわらず、危険運転致死罪として処罰することができなかったのでした。

なお、この事件の被告人は、事故を起こして逮捕された後に釈放されています。
そのおかげで、被害者の両親のもとを訪れて、直接謝罪する機会を得られたようです。
愛知名古屋弁護士ノリタケ法律事務所は、贖罪のサポートも行います。
早期釈放を実現し、被害者やその遺族に対して誠意ある謝罪を尽くせる環境を整えることもその一環です。
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