名古屋の交通事故事件で逮捕 前科の弁護士

2015-04-05

名古屋の交通事故事件で逮捕 前科の弁護士

Aさんは、車の運転中に横断歩道を横断中の歩行者を死亡させる交通事故事件を起こしてしまいました。
逮捕した愛知県警中村警察署によると、事故原因はAさんが対向車線を直進してくる車に気を取られ、横断歩道を横断する歩行者を見落としたことだそうです。
名古屋地方検察庁の担当検事は、刑事裁判で禁錮刑を求刑しました。

今回は平成14年3月25日仙台高等裁判所判決を参考に事例を作成しました。
なお、警察署や検察庁については、実際の事案と異なる名称に変更してあります。

~検察官の禁錮刑の求刑に対して罰金刑が言い渡された事例~

今回は平成14年3月25日仙台高等裁判所判決をご紹介したいと思います。
この裁判の被告人は、上記の事例と同様の事件を起こし、検察官から禁錮1年2か月を求刑されていました。
しかし、第一審の山形地方裁判所は、罰金50万円の有罪判決を言い渡しました。
この判決について検察側は、
「被告人の過失及び生じさせた結果は極めて重大である。それに対する罰金50万円の刑は、著しく軽すぎて不当。」
として控訴しました。
そこで開かれたのが今回ご紹介する仙台高裁での裁判です。

検察側の控訴を受けた仙台高等裁判所は、以下の事情を挙げて被告人に対する刑罰として罰金刑が相当と判断しました。
・事故発生の時間帯や道路状況などに鑑みると、被告人の過失が特に強い非難に値し、極めて大きいとまでは言えない
・被告人の本件後の態度から十分な責任の自覚と真摯な反省が認められる
・被害者遺族は被告人を許し、教員としての職を失わないことを一貫して望んでいる
・教員が禁錮以上の刑に処せられる場合、刑罰よりも過重な不利益を受け社会復帰という点からも大きな負担を負う恐れがある
・被告人が禁錮以上の刑に処せられると、その家族にも過酷な不利益が及ぶことになる
・被告人はすでに公務員として停職処分を受けており、罰金刑がその責任と著しく均衡を失するとは言えない

この裁判の一つのポイントとして、被告人が約20年にわたり中学校の保健体育などの教員であったことが挙げられます。
なぜなら、公務員たる教員の資格を有する人が罪を犯し禁錮刑以上の刑に処せられた場合、その人は教員資格を失うことになるからです。
この裁判で禁固刑罰金刑かが争われた背景には、こうした事情があったようです。

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