モペットを無免許で運転し事故を起こした事例②
モペットを無免許で運転し事故を起こした事例②
モペットによる無免許運転事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
京都市下京区に住むAさんは無免許であるにもかかわらず運転免許証が必要なモペットを運転していました。
自宅近くの交差点で赤信号を見落とし、Aさんは横断歩道を横断中の歩行者のVさんを轢いてしまいました。
Aさんはすぐに救急と警察に電話し、Vさんは病院へ搬送されました。
搬送後、Vさんの死亡が確認され、Aさんは京都府下京警察署の警察官に無免許過失運転致死罪の疑いで逮捕されました。
(事例はフィクションです。)
過失運転致死罪
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
過失運転致死罪は簡単に説明すると、運転するうえで必要な注意を怠り事故を起こした結果、人を死亡させてしまった場合に成立する犯罪です。
法定刑は過失運転致傷罪と同じ、7年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金です。
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条では、「傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。」と規定していますが、死亡している以上、傷害が軽いとはいえませんので、過失運転致死罪が成立した場合に刑が免除されることはないでしょう。
今回の事例では、Aさんが赤信号を見落としてしまったことでVさんをモペットで轢いて死亡させてしまったようです。
自分の進行方向の信号の色に注意することは運転するうえで必要な行為だといえますから、信号の確認を怠ったAさんは運転上必要な注意を怠ったといえ、Aさんに過失運転致死罪が成立する可能性があるといえます。
モペットでも過失運転致死罪は成立するの?
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律1条1項
この法律において「自動車」とは、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第二条第一項第九号に規定する自動車及び同項第十号に規定する原動機付自転車をいう。
前回のコラムで解説したように、モペットの多くは一般原動機付自転車に該当します。
原動機付自転車は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律が規定する「自動車」に該当しますから、モペットも過失運転致死罪の対象となります。
無免許過失運転致死罪
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第6条4項
前条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、十年以下の拘禁刑に処する。
前条とは、同法第5条の過失運転致傷罪、過失運転致死罪の規定を指します。
ですので、過失運転致傷罪、過失運転致死罪にあたる罪を犯した人が同時に無免許運転もしていた場合には、10年以下の拘禁刑に科されることになります。
Aさんは無免許運転だったようですから、Aさんには過失運転致死罪よりも法定刑が重い、無免許過失運転致死罪が成立すると考えられます。
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