交通反則切符に親の名前 有印私文書偽造などの容疑で男を逮捕

2025-04-10

交通反則切符に親の名前 有印私文書偽造などの容疑で男を逮捕

免許証確認

有印私文書偽造容疑などで逮捕された刑事事件に対する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事例

京都府下鴨警察署は今年1月21日、京都市左京区交通反則切符をきる際、免許停止になるのを恐れ親の名前を署名したとして、同区在住の会社員の男(26)を有印私文書偽造罪同行使罪の疑いで逮捕しました。
警察によりますと男は、京都市左京区内の道路を速度超過で運転し、停車を求めた警察官から取り調べを受けた際、減点を受け免許停止になるのを恐れ、反則切符に親の名前で署名、自分の指印を押して文書を偽造し、提出した疑いがもたれています。
後日、免許更新の通知を受け取った親が、実質運転もしておらず「ゴールド免許」のはずのところ、「違反者講習」の案内が来たことから発覚したとのことです。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)

私文書偽造罪とは?

私文書偽造罪とは刑法第159条に規定されております。
「行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、3月以上5年以下の懲役に処する。」(第1項)

私文書偽造罪が対象とする「私文書」とは、公的な機関(役所、裁判所、法務局など)ではない一般の私人が作成名義人である文書で、権利・義務・事実証明に関する文章をいいます。(図画の場合は「私図画」といいます)
例えば、履歴書や契約書などです。
それを自分や他人が行使する目的で、他人の印章(印鑑)や署名(サイン)を使用し、権利・義務・事実証明に関する文章や図画を偽造したり、また偽造した印章や署名を使用して、文書や図画を偽造する行為をすると私文書偽造にあたります。
他人の印章や署名がある文書もしくは図画に関して偽造しているので、特にこれを有印私文書偽造罪とよばれています。

「他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。」(第2項)
「前二項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。」(第3項)
ここでいう「変造」とは文書または図画を作成する権限がない者が、文書または図画の本質的な部分でない部分に変更を加える行為をいいます。
この変造の場合も罰則規定が定められております。
また3項には無印私文書偽造罪を規定しており、他人の印章、署名を使用せず文書・図画を偽造した場合の罰則規定が定められております。

更に、文書・図画を偽造するだけでなく、私文書を行使した場合の罰則規定が別に刑法第161条に定められており、偽造した者と同様の刑罰が科されます。

交通反則切符は、私人である違反者が作成名義人となる事実証明に関する文書ですから私文書にあたります。
今回の事例では交通反則切符に自分の署名・捺印をするところ、他人(親)の名前を署名して、警察に行使しています。
そのため有印私文書偽造罪偽造私文書行使罪が成立するでしょう。

私文書偽造罪で逮捕されてしまったら

今回の事例は、ちょっとした気の迷いや、免許停止になりたくないという自己防衛のささいな気持ちで起こしてしまったのでしょう。
しかし、一度逮捕されると、取調べのために時間を割くことになり、場合によっては身柄拘束が長期化し、お仕事や学業に支障がでる場合があります。
その場合に刑事事件に精通した弁護士のサポートが心強い味方になるでしょう。

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