【事例紹介】無免許運転でひき逃げ事故 大阪③

2023-10-18

【事例紹介】無免許運転でひき逃げ事故 大阪③

前回のコラムに引き続き、大阪府寝屋川市で起きた無免許運転によるひき逃げ事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

無免許運転でひき逃げ事故を起こしたとして、大阪府警寝屋川署は3日、自動車運転死傷処罰法違反(無免許過失運転致傷)や道交法違反(ひき逃げ)の疑いで、大阪府守口市(中略)容疑者(64)を逮捕したと発表した。逮捕は2日付。「無免許がばれて処罰されるのが怖くなった」などと容疑を認めているという。
逮捕容疑は(中略)、大阪府寝屋川市仁和寺町の府道交差点で車を無免許運転して右折しようとしたところ、横断歩道を歩いていた(中略)男性(49)と衝突したが、逃走したとしている。男性は右足骨折などで全治2カ月の重傷。
(10月3日 産経新聞 THE SANKEI NEWS 「「無免許ばれるのが怖くて…」ひき逃げ 容疑で64歳男逮捕 大阪・寝屋川署」より引用)

ひき逃げ

救護義務報告義務といった言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
救護義務は、事故を起こした場合に負傷者を救護する義務。
報告義務は、事故を起こした場合に警察に事故を報告する義務を指します。

道路交通法第72条1項では、交通事故があったときは負傷者を救護し、警察官に事故を報告しなければならないとしています。
ですので、救護義務報告義務を怠った場合、つまり、事故を起こして相手にけがを負わせたのに救護をしなかった場合や、警察に事故の報告をしなかった場合には、道路交通法違反が成立することになります。

ひき逃げは事故を起こしたのに救護を行わなかったり、事故の報告をしないことをいいますので、ひき逃げをした場合は、道路交通法違反が成立することになります。

自分の運転により人にけがを負わせ、なおかつ、救護を行わなかったことで道路交通法違反で有罪になった場合には、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第117条2項)
また、事故を起こしたのに報告を行わず、道路交通法違反で有罪になった場合は、三月以下の懲役又は五万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第119条1項17号)

今回の事例では、車を運転している容疑者が歩行者に追突し、逃走したと報道されています。
実際に容疑者が歩行者の救護や事故の報告をしていないのであれば、ひき逃げにあたり、道路交通法違反が成立することになります。

逮捕とひき逃げ

逮捕されると刑罰が確定するまでは留置場などから出られないと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、釈放が認められれば、刑罰が確定していなくても普段通りの生活に戻れる場合があります。

刑事事件では、逮捕されるとそのまま身体拘束が続くのではなく、逮捕後72時間の間に、勾留をするかどうかの判断が行われます。
勾留は1回につき10日間認められており、1回までであれば延長が認められていますので、勾留が決定してしまうと長い場合には20日間勾留が続く可能性があります。

勾留の判断基準については、刑事訴訟法第60条1項で規定されています。

刑事訴訟法第60条1項
裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
一 被告人が定まった住居を有しないとき。
二 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

上記の3つのうちの1つでも当てはまるのであれば、勾留が決定するおそれがあります。

ひき逃げ事件では、一度容疑者が事故現場から逃走していますので、3つ目の「逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき」に該当してしまう可能性が高いです。

ですが、ひき逃げをしたからといって、必ずしも勾留が決定してしまうわけではありません。

弁護士は勾留が決定される前であれば、検察官や裁判官に働きかけを行うことができます。
ですので、勾留が決定する前に、容疑者に身元引受人がいることや、容疑者が逃亡しないように監視監督ができる人がいることを検察官や裁判官に訴えることで、勾留されずに釈放される可能性があります。

この勾留前の検察官や裁判官への働きかけは、逮捕後72時間以内に行う必要があります。
提出する書類等の準備もありますので、早期釈放を目指す場合には、早い段階で弁護士に相談をすることが望ましいです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービスを行っています。
初回接見サービスのご予約は、0120―631―881で受け付けておりますので、ご家族が逮捕された方、ひき逃げでお困りの方は、即日対応可能弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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