【事例紹介】飲酒運転によるひき逃げ 過失運転致傷罪で再逮捕
【事例紹介】飲酒運転によるひき逃げ 過失運転致傷罪で再逮捕
滋賀県で起きた飲酒運転によるひき逃げ事件を基に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が酒気帯び運転、ひき逃げ、過失運転致傷罪について解説します。
事例
滋賀県警大津署は22日、自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)と道交法違反(ひき逃げ、酒気帯び運転)の疑いで、京都市山科区の無職の男(72)を再逮捕した。
再逮捕容疑は21日午前11時40分ごろ、大津市皇子が丘1丁目の国道161号西大津バイパスで酒気帯び状態で乗用車を運転し、同じ方向を走っていた乗用車2台と衝突して運転手と同乗者の男女計3人の首などに軽傷を負わせ、そのまま逃げた疑い。
(後略)
(8月22日 京都新聞 「酒気帯び運転、車2台と衝突の男を再逮捕 飲酒検査拒否後、ひき逃げ容疑認める」より引用 )
酒気帯び運転
酒気帯び運転は道路交通法第65条第1項で禁止されています。
道路交通法では酒気帯び運転をした場合の罰則が設けられていますが、お酒に酔った状態かそうでないかで科される刑罰の重さが変わります。
お酒に酔い、正常な運転ができない状態で運転した場合は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第117条の2第1項)
これはいわゆる「酒酔い運転」と呼ばれる種類の飲酒運転です。
対して、「酒酔い運転」ほど激しく酔いの症状が出ていないものの、政令で定める程度以上のアルコールを保有する状態で運転した場合は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第117条の2の2第3項)
一般にはこちらを指して「酒気帯び運転」と呼ばれることもあります。
今回の事例の男性が酒気帯び運転で有罪になれば、正常な運転ができない程にお酒に酔っていた場合は道路交通法第117条の2第1項、政令で定める程度以上のアルコールを保有していたが酔っていなかった場合は道路交通法第117条の2の2第3項によって刑罰を科されることになります。
ひき逃げ
ひき逃げについても、酒気帯び運転と同様に道路交通法で処罰されます。
道路交通法第72条第1項
交通事故があったときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。
負傷者の救護や警察署への事故の報告などを行わずに事故現場から逃げた場合、ひき逃げになります。
ひき逃げによる道路交通法違反で科される刑罰は、負傷者の救護を行わなかった場合(救護義務違反)と警察署に報告をしなかった場合(報告義務違反)で、差があります。
負傷者の救護を行わなかった場合は5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第117条第1項)
一方で、警察署に報告をしなかった場合は3月以上の懲役または5万円以下の罰金が科されることになります。(道路交通法第119条第1項第10号)
今回の事例では救護義務違反、報告義務違反のどちらが適用されるのでしょうか。
今回の事例では男性は事故後そのまま逃げ去っていると書かれています。
おそらく救護や警察署への報告はしていないのでしょう。
ですので、救護義務違反、報告義務違反の両方の罪に問われることになります。
有罪となってしまった場合は、ひき逃げにより、救護義務違反と報告義務違反の2つの罪に問われていますので、救護義務違反と報告義務違反のうち、より重い方の刑罰が科されることになります。(刑法第54条)
救護義務違反の方が科される刑罰が重くなっていますので、今回の事例の男性は5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることになります。
過失運転致傷罪
過失運転致傷罪は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転処罰法)で規定されており、過失により人を負傷させた場合に適用されます。
過失運転致傷罪で有罪となった場合は、7年以下の懲役か禁錮または100万円以下の罰金が科されます。(自動車運転処罰法第5条)
過失運転致死傷罪、ひき逃げ、酒気帯び運転は、有罪になれば懲役刑を科される可能性があります。
弁護士に相談することにより懲役刑を避けることができる場合があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では逮捕された方に初回接見サービスを行っています。
初回接見サービスのご予約は0120―631―881までご連絡ください。
初回接見サービスについての詳細はこちらをご覧ください。