[事例紹介]京都市南区のひき逃げ事件で逮捕された事例

2022-07-14

[事例紹介]京都市南区のひき逃げ事件で逮捕された事例

京都市南区で起きたひき逃げ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

京都府警南署は4日、自動車運転処罰法(過失傷害)と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで、京都市南区のアルバイトの男(40)を逮捕した。 
逮捕容疑は、同日午前9時すぎ、自宅近くで乗用車を運転中、東山区の女性会社員(50)の自転車に衝突、腰を打撲する軽傷を負わせ、そのまま逃げた疑い。
(7月5日 京都新聞  「自転車の女性に衝突、ひき逃げ疑いで車の男逮捕 女性はけが」より引用)

過失運転致死傷罪とひき逃げ(救護義務違反)

過失運転致死傷罪は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律自動車運転処罰法)第5条で、「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。」と定められています。
不注意で起こしてしまった人身事故の場合には、過失運転致死傷罪が成立するケースが多いため、多くの人身事故事件でこの過失運転致死傷罪が問われることになります。

そして、このような人身事故を起こしてしまった場合、救護義務が発生します。
救護義務は道路交通法第72条で規定されており、これに違反した場合は、ひき逃げ(救護義務違反)となります(他にも報告義務や危険防止措置義務などの義務も発生し、これらを果たさなかった場合にも犯罪となり、これらもひき逃げと呼ばれたりします。)。
ひき逃げ(救護義務違反)をした場合は、5年以下の懲役または50万円以下の罰金、自分の運転により事故を引き起こしてしまったにもかかわらずひき逃げ(救護義務違反)をした場合は、10年以下の懲役または100万円以下の罰金に処されます。(道路交通法第117条)

今回取り上げた報道の事例では、逮捕された男性は自分で運転していた車で被害女性と衝突し怪我を負わせる人身事故を起こしています。
報道では事故の原因が何だったのかということには具体的に触れていませんが、男性が過失運転致傷罪の容疑をかけられていることから、男性側に不注意(過失)があり、それが事故の原因となってしまった可能性があります。
そして、先ほど見てきたように、こうした人身事故を起こした場合には、被害者(今回の事例であれば女性会社員)を救護するなどの義務が男性に発生するのですが、男性はその義務を果たさずに現場から立ち去ってしまっているようですから、この行為についてひき逃げという容疑がかけられているのでしょう。

こうした報道は度々流されていることから、過失運転致死傷罪ひき逃げといった罪名や行為についてなんとなくご存知であるという方も少なくないでしょう。
では、実際のひき逃げ(救護義務違反)過失運転致死傷罪の裁判では、どういった判断が下されているのでしょうか。
以下では、ひき逃げ(救護義務違反)過失運転致死傷罪の裁判例を紹介します。

ひき逃げ(救護義務違反)の裁判例

この裁判例では、被告人は自動車を運転中に進路前方で倒れていた被害者を轢き、救護や報告などを行わずに事故現場を去りました。
被告人は既に自動車運転過失致死罪(過失運転致死罪)で有罪となっており、さらにひき逃げ(救護義務違反・報告違反)で起訴され裁判となりました。
裁判の結果、被告人のひき逃げ(救護義務違反・報告違反)が認められ、懲役6月執行猶予2年が言い渡されました。
(平成30年1月19日 名古屋地方裁判所)

過失運転致死傷罪の裁判例

この裁判例では、被告人は車を運転中に注意義務を怠り、歩行者に衝突しました。
被告人は、過失運転致死傷罪で有罪となり、禁錮3年執行猶予4年になりました。
(令和2年3月19日 名古屋地方裁判所)

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過失運転致死傷罪ひき逃げ(救護義務違反)でお困りの際は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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