(事例紹介)大阪市における自転車のひき逃げ事件で逮捕
(事例紹介)大阪市における自転車のひき逃げ事件で逮捕
今回は、自転車のひき逃げ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
大阪市北区で25日朝、自転車同士がぶつかり、76歳の女性が重体となった事故で、逃走していた46歳の男が逮捕されました。
重過失傷害とひき逃げの疑いで26日に逮捕されたのは、大阪市城東区の(中略)容疑者(46)です。
(中略)容疑者は、25日午前6時半ごろ、大阪市北区天満の歩道で、76歳の女性の自転車とぶつかって転倒させ、負傷させたにもかかわらず、そのまま走り去った疑いが持たれています。
(6月26日 ABCニュース 「自転車同士がぶつかり高齢女性が重体 「自分は悪くない」逃走中の男をひき逃げ容疑で逮捕 大阪・北区」より引用)
~自転車のひき逃げ事件~
ひき逃げ事件というと、自動車と歩行者の人身事故や、自動車同士の交通事故を起こしてその場から逃げるという内容をイメージしやすいでしょう。
しかし、今回取り上げた事例は、自転車同士の事故によるひき逃げ事件です。
自転車であってもひき逃げということになるのでしょうか。
道路交通法第72条1項前段は、
「交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない」
としています。
これは「車両等」の運転者などの義務であり、事故を起こしたにも関わらずこれらの義務を果たさずにその場から去ることが、いわゆるひき逃げと呼ばれているのです。
道路交通法上では、自転車であっても「車両等」に含まれ(道路交通法第2条1項8号・11号イ・17号)、事故を起こしてしまった場合に、警察への連絡や救急車の要請を怠ってしまえば、道路交通法上の義務を果たさなかったひき逃げ事件として検挙、逮捕される場合があります。
そして、事件の内容によっては起訴され、前科が付いてしまう事態も想定されます。
今回の事例では、自転車同士で事故を起こしたにも関わらず、上記の道路交通法の義務(通報や救急車の要請など)を果たさなかったことから、ひき逃げ=道路交通法違反の容疑をかけられているという状況なのでしょう。
また、今回取り上げている事例では、逮捕された男性は、ひき逃げの罪(道路交通法違反)のほかに、重過失傷害罪という犯罪の容疑もかけられています。
刑法第211条
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
重過失傷害罪は、このうち後段の部分です。
自転車事故の場合、刑法の過失傷害罪が適用されることが多いのですが、不注意(過失)の度合いが著しく多い場合、今回の事例で登場した重過失傷害罪に問われることもあります。
重過失傷害罪は、過失傷害罪と異なって非親告罪であり、かつ刑罰も厳しいものとなっています。
自転車の事故であるからといって軽く考えずに、交通事故を起こしてしまった場合には適切な対処を行いましょう。
それでも、自転車事故で刑事事件に発展してしまった場合には、早期に弁護士に相談することが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を中心に扱う法律事務所です。
自転車のひき逃げ事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。