少年の無免許運転
少年の無免許運転について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
深夜、神奈川県川崎市の路上で物損事故を起こしたAくん(18歳)は、現場に駆け付けた神奈川県多摩警察署の警察官に運転免許証の提示を求められました。
ところが、Aくんは免許を受けておらず、無免許運転だったことが発覚し、警察官はその場でAくんを道路交通法違反(無免許運転)の容疑で逮捕しました。
その後、Aくんは、両親を身元引受人として釈放されましたが、今後どのような流れでどんな処分を受けることになるのか心配です。
(フィクションです。)
無免許運転
公安委員会の運転免許を受けずに自動車や原動機付自転車を運転することを「無免許運転」といい、道路交通法において禁止されています。
無免許運転は、今まで一度も免許をとったことがないのに運転する場合だけでなく、免許の効力が停止されているのに運転する場合もそれに含みます。
これに反して無免許運転を行った場合には、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
更に、無免許運転として交通事故を起こし、人を死傷させた場合には、過失運転致死傷、あるいは危険運転致死傷に対する刑罰を加重した刑が科せられることになります。
少年が無免許運転をした場合
少年が無免許運転をし、警察に検挙された場合、捜査段階においては、成人の刑事事件とほぼ同様の手続に付されます。
少年であっても、無免許運転が発覚すれば警察に逮捕されることがありますし、その後に勾留に付されることもあります。
捜査機関は、捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があると考える場合や、犯罪の嫌疑は認められないものの家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合には、事件を家庭裁判所に送致します。
家庭裁判所が取り扱う少年事件には、交通関係の事件(以下、「交通事件」といいます。)とそれ以外の一般事件との2種類あります。
交通事件には、無免許運転、速度違反、安全運転義務違反、信号無視などの道路交通法違反事件、自動車の保管場所の確保等に関する法律違反事件、過失運転致死傷や危険運転致死傷などの車両運転に起因する致死傷事件などがあります。
家庭裁判所は、基本的に個々の事件を個別に扱い、個々の少年の問題性や要保護性に応じた審判を行います。
しかし、交通事件では集団で審判が行われることがあります。
交通事件で問題とされるのは、自動車の運転に関する非行であり、一般事件とは異なる交通に関する非行性や要保護性に着目した教育的措置や処遇がなされる必要があります。
そのような非行性や要保護性には共通点が多く、また、交通事件は大量に家庭裁判所に係属するため、非行内容が同種で交通要保護性も共通する少年について、集団で審判が行われることがあります。
処遇については、一般事件と同様の処遇がなされますが、交通事件の場合、交通事件を対象とした保護観察があります。
交通事件については、交通保護観察と交通短期保護観察とがあります。
どちらも交通事件を専門に担当する保護観察官や保護司を指名するように配慮されており、交通法規、運転技術、車両の構造等に関する集団指導などが行われます。
また、交通事件については、検察官送致とする事件が数多くあります。
少年の年齢、交通前歴、送致された違反の内容や程度などを検討して、検察官送致が選択されます。
検察官送致でも、交通事件の場合は、罰金を相当とするものが多く、略式手続に付されるケースが多くなっています。
無免許運転は悲惨な人身事故を招くおそれのある非常に危険な行為です。
少年であっても、審判で検察官送致が決定し、刑事処分を受ける可能性もあります。
どのような処分が見込まれるのかは事案によっても異なりますので、交通事件に精通する弁護士に早めにご相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件をはじめとした刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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