反則金の納付を怠り逮捕

2020-04-30

今回は、反則金の納付を怠り逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

Aさんは東京都町田市内の道路において自動車を運転していた際、一時停止の標識を認識したにも関わらず、自動車を一旦停止させずに走行したところを警察官に現認され、交通反則告知書(いわゆる青切符)を切られてしまいました。
しかし、Aさんは取締りに納得がいかなかったため、長期間、反則金の納付をせずにいました。
ある日の早朝、Aさんの自宅に警視庁町田警察署の警察官が数名現れ、逮捕状を示したあと、Aさんを道路交通法違反の疑いで逮捕しました。
Aさんにとって逮捕は青天の霹靂で、驚いています。
どうすればよいのでしょうか。(フィクションです)

~一時不停止について解説~

道路交通法第43条は、
「車両等は、交通整理が行なわれていない交差点又はその手前の直近において、道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは、道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあつては、交差点の直前)で一時停止しなければならない。この場合において、当該車両等は、第三十六条第二項の規定に該当する場合のほか、交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない」
としています。

さらに、上記に違反する行為につき同法第119条1項2号は、「三月以下の懲役又は五万円以下の罰金」を予定しています。
一時不停止は立派な犯罪行為なのです。

~交通反則通告制度について~

もっとも、一時不停止を犯したからといって、直ちに上記の刑罰を受けるわけではありません。
法令が定める反則金を納付すれば事件は終了し、法廷などに行く必要もありません。
いわゆる青切符の制度であり、自動車を運転する方であれば、殆どの方がご存知でしょう。

正式には「交通反則通告制度」といいます。
最高裁判所は交通反則通告制度を、
「車両等の運転者がした道路交通法違反行為のうち、比較的軽微であって、警察官が現認する明白で定型的なものを反則行為とし、反則行為をした者に対しては、警察本部長が定額の反則金の納付を通告し、その通告を受けた者が任意に反則金を納付したときは、その反則行為について刑事訴追をされず、一定の期間内に反則金の納付がなかったときは、本来の刑事手続が進行するということを骨子とするものであり、これによって、大量に発生する車両等の運転者の道路交通法違反事件について、事案の軽重に応じた合理的な処理方法をとるとともに、その処理の迅速化を図ろうとしたものである」
と位置付けています(最高裁昭和57年7月15日判決)。

道路交通法第128条第2項も、
「前項の規定により反則金を納付した者は、当該通告の理由となつた行為に係る事件について、公訴を提起されず、又は家庭裁判所の審判に付されない」
として、刑事訴追されない旨を明らかにしています。

~Aさんが逮捕されてしまった理由~

ただし前述の通り反則行為は本来、犯罪に該当する行為です。
したがって、反則金を納付しなければ、通常の刑事手続が開始されます。
逮捕の要件さえ満たせば、青切符で済む程度の交通違反であっても、逮捕されてしまう場合があるということです。

ケースには明記していませんが、警察はAさんに対して警告し、反則金を納付するよう求めたと思われます。
これに対して長期間何らの応答もなかったので、「罪証隠滅・逃亡のおそれ」があると判断され、逮捕に至ったものと考えられます。

Aさんが一時停止をしたか、しなかったかを裁判で争う方法はあります。
違反行為を争うつもりであれば、自己判断で青切符を無視せず、弁護士と相談することをおすすめします。

~身柄解放活動を弁護士に依頼~

逮捕されてしまうと、捜査段階で最長23日間、身体拘束を受けることになります。
ケースの事件は、初期の段階で適切な弁護活動を行うことにより、勾留されることなく釈放される可能性が高いと思われます。
まずは弁護士に身柄解放活動を依頼し、今後の善後策を立てて行きましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が道路交通法違反の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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