飲酒運転で議員辞職
議員が飲酒運転をして議員辞職に追い込まれた事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
【事例】
東京都北区在住で、同区の市議会議員を務めるAさん。
ある日、居酒屋で飲酒した後、自家用車を運転して自宅に向かっていました。
しかし途中で眠くなり、路肩に自動車を停めて仮眠をしていました。
その後、警視庁赤羽警察署の警察官がAさんの車を発見し、Aさんに声をかけたところ酒の匂いがしたので、呼気検査を実施。
基準値を超える値が出たので、Aさんは警察署に連れていかれました。
一通りの取調べを受けた後、その日は自宅に返されました。
しかし、この事実が報道されたことから、Aさんは議員辞職を余儀なくされました。
(事実を基にしたフィクションです)
~議員や公務員の飲酒運転~
飲酒運転による痛ましい事故が相次ぎ、世間の目が厳しくなって、罰則も強化されました。
しかし、いまだに飲酒運転はなくなりません。
つい先日も、上記事例とほぼ同じ事件が起き、議員が辞職しています。
また、公務員の場合も依願退職や懲戒免職など、大きな影響が出てしまう可能性があります。
飲酒運転をして人身事故を起こした場合は被害者のその後の人生に大きく影響する可能性があります。
しかし人身事故を起こした場合はもちろん、起こすに至らなかった場合も、運転者のその後の人生を大きく変えてしまう可能性があるのです。
~飲酒運転の罰則~
今回の事例にように飲酒運転をして事故は起こしていない場合、酒気帯び運転や酒酔い運転の罪に問われることになります。
呼気1リットルにつき0.15mg以上のアルコールが検出されると、酒気帯び運転の罪となります。
罰則は3年以下の懲役または50万円以下の罰金です(道路交通法117条の2の2第3号)。
アルコールの数値に関わらず、正常な運転ができない状態での運転をすると、酒酔い運転の罪となります。
罰則は5年以下の懲役または100万円以下の罰金です(道路交通法117条の2第1号)。
酒酔い運転の方が罰則が重いことからもわかるように、通常は、より強く酔っている場合に酒酔い運転が成立することになります。
しかし、酒酔い運転の方は基準値が明確に決まっているわけではないので、酒に弱い人であれば、アルコール濃度が低くても、酒酔い運転に該当してしまうおそれもあります。
これらの刑罰とは他に違反点数も引かれます。
酒気帯びはアルコール数値により13点または25点、酒酔いは35点ですので、免許停止または取消しが避けられません。
~人身事故を起こした場合~
飲酒運転で人身事故を起こしてしまった場合には、過失運転致死傷罪(自動車運転処罰法5条)や危険運転致死傷罪(同法2条1号・3条1項)が成立する可能性があります。
どれくらい酔っていたか、その酔いが事故発生にどれくらい影響したのかにもよります。
かなり酔っていて正常な運転が困難な状態で運転して人身事故を起こしたという悪質なケースでは、被害者負傷で15年以下の懲役に、被害者死亡で1年以上の有期懲役(上限は原則20年)という重い刑罰を受ける可能性があります。
被害者やご自身、ご家族に大きな影響を及ぼしてしまうことになります。
~弁護士にご相談ください~
あなたやご家族が交通事故を含む何らかの犯罪をしたとして逮捕されたり、取調べを受けた場合には、どれくらいの刑罰を受けるのか、釈放されるのか、被害者との示談はどうやって行うのかなど、分からないことだらけだと思います。
状況を詳しくお聞かせいただいた上で、事件の見通しをご説明させていただきますので、ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
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