高速道路で最低速度違反

2019-12-12

高速道路で最低速度違反

高速道路最低速度違反をしたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

東京都三鷹市に住む会社員のAさんは、普通乗用自動車を運転し、時速約40キロメートルで東京都三鷹市内の高速道路を走行中、後方から来た覆面パトカーに呼び止められ、車を道路脇に停めました。
Aさんは運転窓を開けると警視庁三鷹警察署の警察官から「ずっと後方からついていましたが、今回の走行は最低速度違反に当たります。」と言われました。
Aさんは、指定、法定速度を超えて運転していなかったことから納得がいかず、はじめは抵抗しましたが、警察官の説得により書類にサインをし、後日、金融機関で反則金を納付しました。
(フィクションです)

~ ご存じですか?最低速度 ~

車の速度に関する違反といえば、真っ先に思い浮かべるのは指定最高速度を超えて運転する「指定最高速度違反」や、法定速度を超えて運転する「法定最高速度違反」で、それぞれ反則金、違反点数、罰則が設けられていることは多くの方がご存じかと思います。
ところが、最低速度についても道路交通法で規定され、高速道路における最低速度違反については反則金、違反点数、罰則が設けられていることはそれほどの方がご存じでしょうか?
車を運転する方にとっては、当然、知っておかなければならない事項ですが、ここで改めて確認してみようと思います。

~ 高速道路における最低速度 ~

高速道路における最低速度については、道路交通法75条の4に規定されています。

道路交通法75条の4
自動車は、法令の規定によりその速度を減ずる場合及び危険を防止するためやむを得ない場合を除き、高速自動車国道の本線車道(政令で定めるものを除く。)においては、道路標識等により自動車の最低速度が指定されている区間にあつてはその最低速度に、その他の区間にあつては政令で定める最低速度に達しない速度で進行してはならない。

道路標識等により自動車の最低速度が指定されている区間」とは、公安委員会が規制標識「最低速度」(数字の下に線が引かれてあるもの)を設置して最低速度を指定した道路の区間という意味です。
その他の区間にあつては政令で定める最低速度」とは、道路交通法施行令27条の3で次のように規定されています。

道路交通法27条の3
法(※注:道路交通法のこと)75条の4の政令で定める最低速度は、50キロメートル毎時とする。

つまり、高速道路においては、標識で最低速度が指定されている場合はその速度以上で、指定されていない場合は時速50キロメートル以上で走行しなければ「最低速度違反」とされる可能性があるのです。
ただし、「法令の規定によりその速度を減ずる場合及び危険を防止するためやむを得ない場合を除く」とされています。
危険を防止するためやむを得ない場合」とは、前者が急減速したためこれとの衝突を避けるために急減速したり徐行したりする場合、渋滞のため減速する場合などが考えられます。

~ 反則金、違反点数、罰則は? ~

高速道路における反則金は、

大型車:7000円
普通車:6000円
二輪車:6000円
原付車:5000円

※大型車=大型自動車、中型自動車、準中型自動車、大型特殊自動車、重被牽引車、普通車=普通自動車、二輪車=大型自動二輪車、普通自動二輪車、原付車=小型特殊自動車、原動機付自転車

です。
違反点数は、車種にかかわらず「1点」、罰則は「5万円以下の罰金」です。
もっとも、最低速度違反で検挙されても、通常は、交通反則通告制度の対象となりますから青切符を切られ罰金ではなく反則金を納付するよう促されます。
反則金を納付すれば、以後、刑事手続きに移行することはなく終了です。
反則金の納付をしない場合には、道路交通法違反として刑事事件化することになるでしょう。

~ 道路における安全かつ円滑な交通が目的 ~

最高速度も最低速度も「道路における安全かつ円滑な交通」が目的です。
高速度で運転する人が増えても困りますし、反対にノロノロ運転する人が増えても困る、ということなのです。
適切な速度を守って運転してこそ、誰もが安心して車を運転できるのです。

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