過失運転致死罪で逮捕・交通事件における弁護活動
過失運転致死罪で逮捕・交通事件における弁護活動
Aは福岡県直方市において、自車を運転しながら、所有しているスマートフォンを操作したことで、前方の確認を怠り、停止していたV車に追突し、これによりVは死亡した。
福岡県直方警察署の警察官は、Aを過失運転致死罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は、人身事故などの交通事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)
~スマートフォン等によるながら運転で死亡事故~
Aは、自車をV車に追突させ、Vを死亡させたことによって過失運転致死罪で逮捕されてしまっています。
自動車運転死傷行為等処罰法5条本文は、「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する」と、過失運転致傷罪とともに過失運転致死罪も定めています。
過失運転致死罪は、元々同様の条文が刑法211条2項によって規定されていたものです。
交通事故被害者家族の署名運動などを契機に交通事件に対する厳罰化の世論の高まりもあり、現在では自動車運転死傷行為等処罰法として立法された(2014年に施行)、特別法によって処罰が規定されています。
過失運転致死罪にいう「必要な注意を怠り」とは過失のことであり、自動車の運転上尽くすべき注意義務を尽くさずこれに違反して、人を死亡させてしまった場合に、過失運転致死罪の適用が問題となります。
近年では、携帯電話からより多機能なスマートフォンの所有率が急増し、いわゆる「ながら運転」による交通事故事件も増加傾向にあるといわれています。
本件も含めスマホの操作等に気を取られ、前方注視の義務を怠った場合に過失が認められることには争いがないことがほとんどでしょう。
~交通事件における刑事弁護活動~
交通事件において弁護士としては、刑事裁判を回避する不起訴を目指しつつ、起訴された場合には執行猶予を得るための弁護活動を行っていくことが考えられます。
もっとも、本件では死亡という結果を引き起こしてしまっている以上、被害者の処罰感情も高く、結果の重大性から起訴は避けられない可能性もあります(この点については、被害者側の過失なども考慮されることになると思われます)。
ただ、本件のようなスマートフォンの操作等によるながら運転による事故も、過失の態様は様々といえます。
例えば、身につけていたり車内に置いていたりしたスマホが床に落ちてしまい、これを拾おうとして前方不注視により事故を起こしてしまった場合と、スマホに入っているアプリ等でゲームをしながら運転していたために事故を起こしてしまった場合とでは過失の態様が大きく異なります。
裁判例(大阪高判平30年10月4日等)にも、スマートフォンには、小さい画面に意識を集中させ、旧来の携帯電話よりも画面の確認が不可欠になるため、意識を奪われやすいという特徴があり、(上記の後者の例のような場合には)運転者が積極的にながら運転を選択したという点で非難の程度が高い旨を指摘するものがあります。
したがって、弁護士としては、情状面においても、過失の態様について詳しく被疑者・被告人から聞き取り、場合によっては自ら調査するなどの弁護活動が重要となってきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、過失運転致死事件などの人身事故も含む刑事事件専門の法律事務所です。
刑事事件において逮捕されてしまった場合、弁護士による素早い接見(面会)と事件に対する経緯の聞き取りなどが肝要です。
過失運転致死事件で逮捕された方のご家族は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせください。
刑事事件専門の弁護士が迅速な弁護活動を行うためにも、お早目のお電話をお待ちしております。