暴走行為(共同危険行為等)

 

【暴走行為(共同危険行為等)の法定刑】

1 暴走行為(共同危険行為)をした場合の法定刑は、2年以下の懲役または50万円以下の罰金です(道路交通法第68条、117条の3)。

2 違法改造車を運転した場合の法定刑は、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金です(道路交通法第62条、119条)。

 

【暴走行為(共同危険行為等)の解説】

1 暴走行為とは

自動車やオートバイや原動機付自転車で暴走行為をした場合、共同危険行為等禁止違反として道路交通法違反に問われます。

共同危険行為等とは、2人以上の自動車(オートバイを含む)または原動機付自転車の運転者が、2台以上の自動車または原動機付自転車を連ねて通行または並進させて、共同して著しく道路における交通の危険を生じさせるまたは他人に迷惑を及ぼす行為をいいます。

道路交通法の共同危険行為等の禁止規定は、暴走族の取り締まりを主な目的として制定され、2004年の道路交通法の改正によって被害者がいなくても共同危険行為等を処罰できるようになりました。
 

2 道路交通法違反

暴走行為の際、道路運送車両法に定められた保安基準に適合しない消音器を取り付けた改造車両を運転すると整備不良車両運転禁止違反として道路交通法違反に問われます。

また、消音器を取り外し、切断し、または排気口以外に開口したマフラーを取り付けた改造車両を運転すれば、消音器整備義務違反による道路交通法違反に問われます。
 

3 処罰について

共同危険行為による道路交通法違反で刑事処罰を受ける場合、初犯であれば略式裁判による罰金処分で済むことが多いですが、無免許運転の有無や暴走行為の回数と危険性・悪質性によっては正式裁判になることがあります。

また、共同危険行為等違反の前科がありながら暴走行為を繰り返している人や執行猶予期間中に暴走行為をした人は、実刑判決によって刑務所に収容される可能性が出てきます。
 

4 身体拘束の可能性

集団暴走行為による共同危険行為等禁止違反事件では、共犯者・事件関係者が多数にのぼり、関係者間での口裏合わせなど証拠隠滅行為をする危険が高まることから、逮捕・勾留による身体拘束の可能性が高くなります。
 

5 未成年者

集団暴走行為による共同危険行為等禁止違反事件の特徴として、検挙者に占める未成年者の割合が高いことが挙げられます。

未成年者が共同危険行為等禁止違反事件で警察に検挙・逮捕された場合は、少年事件として成人の刑事事件とは異なる手続きで処理されるのですが、暴走族に加入していると見なされれば交通事故・犯罪の温床として処分が厳しくなりがちです。

具体的には、逮捕および観護措置による身体拘束に加え、前歴や暴走行為の危険性・悪質性によっては少年院送致の可能性も生じてしまいます。

 

【共同危険行為等禁止違反事件の刑事弁護活動】​

1 身体拘束からの解放

集団暴走行為で逮捕・勾留または観護措置によって身体を拘束されてしまった場合、事案に応じて、証拠隠滅や逃亡のおそれがないこと、少年の生活・更生への悪影響が大きいことなどを主張し、釈放や保釈による身柄拘束を解くための弁護活動を行います。
 

2 刑事処分・保護処分回避

身に覚えがないにも関わらず、共同危険行為等による道路交通法違反の容疑を掛けられてしまった場合、弁護士を通じて、警察や検察などの捜査機関及び裁判所に対して、不起訴処分または無罪判決になるよう主張する必要があります。

未成年者による少年事件であれば、家庭裁判所に対して、不処分になるように主張する必要があります。

暴走行為時のアリバイや真犯人の存在を示す証拠を指摘・提出するなどして、共同危険行為等を立証する十分な証拠がないことを主張していきます。
 

3 正式裁判・保護処分回避

集団暴走行為をしたことに争いがない場合でも、略式裁判による罰金処分又は審判不開始になるように弁護活動を行います。

具体的には、暴走行為の態様、経緯や動機、回数や頻度、交通違反歴などを慎重に検討して、酌むべき事情があれば警察や検察などの捜査機関や家庭裁判所に対して主張していきます。
 

4 刑務所・少年院回避

共同危険行為等による道路交通法違反で正式裁判・審判になった場合でも、裁判所に対して、上記のような事情に加えて、暴走行為の再発防止のための具体的な取り組みや環境作りが出来ていることを客観的な証拠に基づいて主張・立証することで、執行猶予付き判決や不処分または保護観察(刑務所・少年院回避)を目指した弁護活動を行います。

 

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