少年の危険運転致死事件

2020-05-23

今回は、16歳の少年が危険運転致死事件を起こしてしまった場合における弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

大阪市内に住むAくんは16歳の高校1年生です。
Aくんは親の自動車を運転しようと思い、これを公道で運転していたところ、ブレーキとアクセルを踏み間違え、交差点の赤信号に従い停止している歩行者に衝突してしまいました。
衝突した歩行者2名はいずれも死亡した模様です。
Aくんが自動車を運転した動機は単なる好奇心であり、自動車の運転は初めてです。
Aくんは現場に駆け付けた大阪府南警察署の警察官により、危険運転致死罪の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~危険運転致死罪について解説~

危険運転致死罪の類型は複数ありますが、Aくんには自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条3号の危険運転致死罪が成立する可能性があります。
(参考)
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
一 省略
二 省略
三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
四 省略
五 省略
六 省略

自動車を運転できる免許は受けていないが、被疑者に自動車を運転できる技能があると認められる場合があります。
この場合においては、本罪ではなく、第6条4項の「無免許過失運転致死罪」の成否が検討されることになるでしょう(他の類型の危険運転致死罪の成否が検討されることもありえます)。

Aくんが自動車を運転したのが初めてであり、特に自動車を運転できる技能はなかったことから、第2条3号類型の危険運転致死罪の疑いで逮捕されたものと考えられます。

~Aくんは少年だが、刑罰を受ける可能性が高い~

(「原則逆送」という制度が存在する)
Aくんは少年ですが、成人と同じく刑事裁判にかけられる可能性が高いと思われます。

家庭裁判所は、「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき十六歳以上の少年に係るもの」については、原則として、管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならないとされています(少年法第20条2項)。
ただし、調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、送致しないこともできます(同項但書)。

家庭裁判所送致後に事件が検察官に送られる、ということは、もはや少年の「保護」ではなく、刑事処分が必要であると判断された、ということになります。
逆送」を受けた検察官は原則として被疑者を起訴しなければなりません(少年法第45条5号本文)。

~通常の刑事裁判の被告人になってから~

(裁判員裁判)
危険運転致死罪裁判員裁判対象事件です。
手続も複雑であり、裁判員が存在することを考慮すると、かなり重い負担がかかります。
このような手続を乗り越えるためには、刑事事件・少年事件に熟練した弁護士のサポートが重要といえます。

(弁護活動)
Aくんには実刑を前提とした重い判決が予想されます。
可能な限りAくんになされる処分を軽くするため、①被害者遺族への謝罪と賠償を行い、②出所後にAくんを監督する人物を用意するなどの弁護活動が重要になります。
また、家庭裁判所に対して、検察官に送致しないよう主張することも考えられます。

また、起訴後においても、刑事処分よりも保護処分の方が、被告人である少年にとって適切であると考えられる場合には、「保護処分に付するのが相当である」として、「家庭裁判所への移送」を行うよう主張することも考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が危険運転致死事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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