Archive for the ‘交通事故・交通違反の刑事手続’ Category

交通事件で身代わり

2021-03-13

交通事件で犯人の身代わりをした場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
運送会社に勤めるAは、自家用車を運転し、妻Bと兵庫県神戸市北区に旅行に来ていました。
Aは、宿泊先近くの飲食店で夕飯を食べた際にお酒を飲んでいましたが、Aが車を運転して宿泊先に向かいました。
その道中、交差点で横断歩道を横断中の自転車と接触する事故を起こしてしまいました。
仕事に影響することを恐れたAとBは、Bが車を運転していたことにし、現場に来た兵庫県有馬警察署の警察官にもそう供述しました。
(フィクションです。)

交通事件では、犯人の身代わりとなるケースが他の事件と比べて多いと言われています。
特に、飲酒運転や無免許運転に該当するような場合には、その発覚を免れるために同乗者が犯人の身代わりとなることがあります。
上の事例のように、犯人の身代わりとなったBについて、どのような罪に問われる可能性があるのでしょうか。

飲酒運転による人身事故を起こした犯人として身代わりとなったBに対しては、刑法上の犯人隠避の罪に問われる可能性があります。

刑法103条は、犯人蔵匿の罪について次のように規定しています。

罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

犯人蔵匿の罪は、
①罰金以上の刑にあたる罪を犯した者または拘禁中に逃走した者を
②蔵匿し又は隠避させた
場合に成立します。

①「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃亡した者」
前者の「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」における「罰金以上の刑に当たる罪」というのは、法定刑に罰金以上の刑を含む罪を指します。
「罪を犯した者」とあるので、訴追・処罰の可能性がある者でなければなりません。
過去の判例は、「罪を犯した者」の意義について、犯罪の嫌疑を受けて捜査・訴追されている者と解しています。
告訴権の消滅や、時効の完成などにより訴追・処罰の可能性がなくなった者については、本罪の客体とはなりません。
一方で、保釈中の者であっても、その行方をくらませば公判手続・刑の執行に支障が生じるので、保釈中の者は「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」に該当します。
また、後者の「拘禁中に逃走した者」についてですが、法令により拘禁されている間に逃走した者のことです。

Bさんは、飲酒運転による人身事故を起こしたのであり、道路交通法違反と過失運転致死傷罪の2つの罪に問われる可能性が高いと考えられます。
そのため、Bさんは「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」に該当すると言えるでしょう。

②蔵匿・隠避
「蔵匿」は、官憲による発見・逮捕を免れるべき隠匿場所を提供することです。
そして、「隠避」とは、「蔵匿」以外の方法により官憲による発見・逮捕を免れしめるべき一切の行為をいいます。
逃走のために資金を調達することや、身代わり犯人を立てるなどの他にも、逃走者に捜査の形勢を知らせて逃避の便宜を与えるなどの場合も「隠避」に含まれます。

加えて、本罪の成立には、客体である被隠避者が罰金以上の刑にあたる罪を犯した者であること、または拘禁中逃走した者であることを認識し、かつ、これを隠避することを認識すること(故意)が必要となります。
「罰金以上の刑にあたることの認識」について、過去の裁判例は、罪を犯した者または拘禁中に逃走した者であることの認識で足り、その法定刑が罰金以上であることまで認識している必要はないと解しています。(最決昭29・9・30)

以上のように、犯人の身代わりになった場合には、犯人隠避罪に問われる可能性があるのです。

しかし、犯人蔵匿の罪については、親族間の犯罪に関する特例があり、刑法105条は、犯人又は逃走した者の親族がこれらの者の利益のために犯したときは、その刑を免除することができるとしています。
そのため、犯人であるAの配偶者であるBについては、刑が免除される可能性があるでしょう。
ただ、この親族間特例は、「刑を免除することができる」と規定されているため、必ず免除されるとは限りません。

そのため、犯人隠避の罪に問われ、親族間特例が適用され得る場合には、弁護士に相談し、不起訴処分獲得に向けてしっかりと捜査機関に働きかけることが重要でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
まずはお気軽にお電話ください。

自転車の交通事故

2021-03-06

自転車交通事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
大学生のAさん(20歳)は、右手でスマートフォンを操作しながら、大阪府松原市自転車で走行していました。
スマートフォンを注視していたところ、前方の歩行者に気付かず、衝突してしまいました。
歩行者は転倒し、頭を打ったようでした。
Aさんは、すぐに救急車を呼び、歩行者は近くの病院へ救急搬送されました。
大阪府松原警察署から駆け付けた警察官が、Aさんに事情を聞いています。
(フィクションです。)

交通事故と言えば、自動車による自動車・バイク・自転車・歩行者に対して起こすものを想像される方が多くいらっしゃるように、自転車交通事故の被害者となるケースが多く見受けられます。
このように、車の運転者などが交通事故を起こし、加害者となる場合には、過失運転致死傷罪(場合によっては危険運転致死傷罪)が成立し、処罰されることになります。
通常は、交通弱者として被害者として交通事故に登場することが多い自転車ですが、自転車と自転車の事故や、自転車と歩行者の事故においては、加害者となることがあります。
そのような場合には、車が加害者となる場合に成立し得るとして先に述べた過失運転致死傷罪等が適用されることはありません。
また、刑法上の業務上過失致死傷罪についても、「業務上」という概念は、「人が社会生活上の地位に基づき反復継続して行う行為であって、かつ、その行為は他人の生命身体等に危害を加えるおそれのあるものであることを必要」(最高裁判決昭和33年4月18日)とすると解されているため、自転車が人力で動くものであり、比較的軽量であることから、自転車を運転する行為が他人の生命身体等に危害を加えるおそれのある行為であるとは考えられず、自転車により交通事故を起こし、他人に怪我を負わせたり、死亡させてしまった場合には、業務上過失致死傷罪は成立しないものと考えられます。
そのため、自転車による交通事故が生じた場合には、重過失致死傷罪又は過失傷害罪・過失致死罪の成立が検討されることになります。

(過失傷害)
刑法第209条 
過失により人を傷害した者は、30万円以下の罰金又は科料に処する。
2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

(過失致死)
刑法第210条 
過失により人を死亡させた者は、50万円以下の罰金に処する。

(業務上過失致死傷等)
刑法第211条 
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

1.過失傷害罪

過失傷害罪は、「過失」により人を傷害した場合に成立する罪です。
暴行や傷害の故意がなく、不注意によって人に傷を負わせてしまうものです。
自転車による交通事故の原因が、ちょっとしたよそ見などの場合は、過失傷害罪となるでしょう。
過失傷害罪は、被害者等の告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪です。

2.過失致死罪

過失致死罪は、過失によって人を死亡させた場合に成立する罪です。
上の過失傷害のように、不注意によって人を死亡させてしまうものです。

3.重過失致死傷罪

重過失致死傷罪は、刑法211条後段に規定されている罪で、「重大な過失」により人を死傷させることで成立するものです。
裁判例によれば、「重大な過失」は、「注意義務違反の著しい場合、すなわち、わずかな注意を用いることによって危険性を察知することができ、結果発生を回避できたであろう場合」(福岡高裁判決昭和55年6月12日)をいうとされていたり、「わずかな注意を払うことにより結果発生を容易に回避しえたのに、これを怠って結果を発生させた場合」(東京高裁判決昭和57年8月10日)をいうとされています。
これまでの自転車による交通事故に関する裁判例では、自転車が無灯火で走行した場合、信号看過や無視をした場合、一時停止の標識を無視して進行した場合、前方不注意が著しい場合、無謀な横断行為がなされた場合などについて、重過失が認められており、片手で携帯電話を操作しながら前方をよく見ずに走行した場合にも、重過失が認められるものと考えられるでしょう。

このように、自転車による交通事故であっても、刑事責任が問われる可能性がありますので、自転車交通事故を起こした場合には、刑事事件に精通する弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
まずはお気軽にお電話ください。

運転者以外に問われる飲酒運転関連罪

2021-02-27

運転者以外に問われる飲酒運転関連罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
大阪府豊中市に住むAさんは、友人BさんとAさん宅から車で10分ほどのところにある寿司屋に向かうことにしました。
Aさんは、「車で行こう。」と言い、Bさんの運転で寿司屋に行きました。
寿司屋で酒を飲んだものの、Bさんが運転する形で乗ってきた車でAさん宅まで帰ることにしました。
帰宅途中、検問中の大阪府豊中警察署の警察官に停車を求められ、Bさんの飲酒運転が発覚しました。
Aさんは、警察から車両提供罪及び同乗罪の疑いで取調べを受けています。
(フィクションです。)

飲酒運転は、酒などを飲んだ後、そのアルコールの影響がある状態で自動車などの車両を運転することです。
飲酒運転は、道路交通法によって禁止されており、ある一定以上のアルコール濃度を身体に保有した状態で車両等を運転させた場合には、刑事罰が科されてしまう可能性があります。
飲酒運転が犯罪となり得ることは周知のところですが、車両等の運転者以外の者もまた、飲酒運転を助長したとして刑事罰の対象となる可能性があることを知らない方も少なくありません。

平成19年9月19日に施行された改正道路交通法は、飲酒運転等に対する罰則を強化した他、これまで規制されていなかった飲酒運転者の周囲の者に対する罰則を設け、車両提供罪、酒類提供罪、同乗罪が新たに設けられました。

1.車両提供罪

道路交通法65条2項は、
何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。
と規定しています。

車両等を提供した結果、当該車両運転者が、酒酔い運転の犯行に及んだ場合には、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に、酒気帯び運転の犯行に及んだ場合には、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられることになります。

①主観的構成要件
提供者は、運転者が酒気を帯びているとの認識、そして、当該運転者が同車両を運転することとなるおそれがあるという認識を有していることが必要です。
まず、運転者が酒気を帯びているという認識についてですが、警察に検挙されるような酒気帯び運転に該当する程度であったかどうかではなく、当該運転者が飲酒していたという程度の認識で足りるとされます。
そして、運転者が車両を運転することとなるおそれがあるという認識については、確実にその車両を運転するとまで思っている必要はなく、運転するかもしれないが、それでもかまわない(=未必の故意)と思っていれば、その認識があったもののと判断されます。

②客観的構成要件
①主観的構成要件に加えて、当該車両を実際に提供したこと、及び実際にその車両が運転されたこと、そして運転者に酒気帯び運転等の要件が満たされることが必要となります。

2.酒類提供罪

道路交通法65条3項は、
何人も、第1項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。
と規定しています。

そのような行為の結果、当該車両運転者が、酒酔い運転の犯行に及んだ場合には、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に、酒気帯び運転の犯行に及んだ場合には、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処することと定められています。

車両提供罪と同じく、本罪の提供者もまた、酒類の提供を受ける者等が車両を運転することとなるおそれがあるという認識を有していなければなりません。
客観的要件は、酒類を実際に提供したこと、実際にその車両が運転されたこと、運転者に酒気帯び運転等の要件が満たされることとなります。

3.同乗罪

道路交通法65条4項は、
何人も、車両(中略)の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第1項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。
と規定しています。

結果として、当該車両運転者が、酒酔い運転の犯行に及んだ場合には、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に、酒気帯び運転の犯行に及んだ場合には、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられることとされています。

本罪の成立には、車両提供罪や酒類提供罪のように、当該運転者が酒気を帯びているという認識が必要となります。
また、客観的要件として、当該車両を運転して自己を運送するように要求又は依頼したこと、実際にその車両が運転されたこと、そして、運転者に酒気帯び運転等の要件が満たされることが求められます。
「要求」とは、同乗者が運転者に自分を運送するよう求めたり指示したりすることで、「依頼」とは、運転者に自分を運送してほしい旨頼むことをいいます。
そのため、要求・依頼することなく、単に飲酒運転を了解して同乗していただけの場合には同乗罪は成立しないことになります。
ただ、事案によっては、明示的な要求・依頼がなくとも、黙示的要求・依頼があったもの認定されるケースもあります。

飲酒運転関連罪で検挙され、対応にお困りの方は、一度交通事件にも対応する弁護士にご相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
まずはお気軽にお電話ください。

ドア開扉事故と過失運転致死傷罪

2021-02-13

ドア開扉事故過失運転致死傷罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
埼玉県和光市を自家用車で走行していたAさんは、喉が渇いたため、近くのコンビニで飲み物を買うことにしました。
駐車場に車を止めるのが煩わしいと思ったAさんは、コンビニの前の路上で車を止め、シフトレバーをPに入れ、サイドブレーキをひき、エンジンをかけたまま、運転席のドアを開け外に出ようとしました。
すると、後方から走ってきた原付バイクがドアに接触し、原付バイクの運転手がバイクとともに転倒しました。
Aさんは、通報を受けて駆け付けた埼玉県朝霞警察署の警察官から話を聞かれています。
(フィクションです。)

車の運転を終了した直後に運転席のドアを開けたことで交通事故(人身事故)を起こしてしまった場合には、どのような罪責に問われることになるのでしょうか。

平成19年の刑法改正により、業務上過失致死傷罪のうち自動車運転に係るものに関しては、刑法211条2項に自動車運転過失致死傷罪が新設されました。
そして、その法定刑は7年以下の懲役又は禁固と業務上過失致死傷罪の法定刑よりも重くなりました。
その後、平成25年には、自動車運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、「自動車運転死傷処罰法」といいます。)が制定され、刑法の自動車運転過失致死傷罪は、過失運転致死傷罪と名称が変更されました。
ただ、この過失運転致死傷罪は、「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた」ことが構成要件であるため、この罪が成立するためには「自動車の運転」をしている場合に限られます。
そのため、事故当時の状況が「自動車の運転」をしている場合であるかどうかが問題となり、「自動車の運転」をしている際に起こした事故であれば過失運転致死傷罪が適用され、そうでなければ業務上過失致死傷罪にとどまることになり、適用される罪によって科され得る刑罰にも大きな差が出てくることになるのです。

「自動車の運転」とは?

それでは、問題となっている「自動車の運転」という文言について説明してみたいと思います。

そもそも、道路交通法上、「運転」は、「道路において、車両又は路面電車をその本来の用い方に従って用いることをいう。」と定義されています。(道路交通法2条1項17号)
つまり、「本来の用い方に従って用いる」のを終えた段階で運転が終了するものと理解することができます。
すると、問題となるのは、どの段階で「用いるのを終えた」と言えるのか、ということになります。
車の動きを止めたときなのか、シフトレバーをPに入れたときなのか、サイドブレーキをかけたときなのか、エンジンを切ったときなのか、それとも、車両外に運転者が出たときなのか。
これについては、自動車の本来の用途を考えてみた場合に、単に車両を停止させただけの段階(ブレーキを踏んだだけの状態)や、その後の停止を確実にするための補助的動作をした段階(シフトレバーをPに入れただけの状態)では、未だ「用いる」ことを終了させたというには早過ぎるものとされ、自動車の動力を停止させた状態、つまり、エンジンを停止させた段階で、「用いる」のを終了させたと理解するのが一般的となっています。
ただ、宅配業者のように、宅配先に荷物を届けるため、宅配先に到着するたびにエンジンを停止して降車し、荷物を届けるといったことを繰り返す場合には、エンジンを停止させても、配達が完了すればすぐに車を発車して走行を続ける意思があるため、「運転」が終了したとは言えません。
「運転」が終了したと言うためには、エンジンの停止と運転者が主観的にも運転を終了させる意図があることが必要となるのです。

以上の考え方を前提にすると、運転を終了しようと思い、エンジンを停止した後、運転者が運転席のドアを開ける行為は、「運転」には当たらないものと言えるでしょう。
そのため、ドアを開ける際に後方等の安全確認を十分に行わなかったという過失により、ドアを通行者に衝突させて負傷させた場合には、業務上過失傷害罪が適用されることになるでしょう。
ただし、ドア開扉に起因した事故すべてが業務上過失致死傷罪で処理されるわけではありません。
交差点で一時停止してドアを開けた場合、宅配目的で宅配車を停止させてドアを開けた場合、タクシー運転手が客を乗せたり降ろしたりする際に停車して後部左側の自動ドアを開ける場合などは、運転行為が継続する中で起きたものと認められるため、過失運転致死傷罪が成立することがあります。
上記事例の場合、Aさんは過失運転致傷罪に問われる可能性もあります。

ドア開扉事故をはじめ交通事故を起こしてお困りの方は、交通事件に強い弁護士に相談してみてください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件にも対応する刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

持病発症で人身事故

2021-02-06

持病発症人身事故を起こした場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
神奈川県大和市に住むAさんは、車で妻を駅まで迎えに行く途中、持病のてんかんの発作で意識を失い、運転していた車ごと車道に乗り上げました。
車は、車道を歩行中の高齢女性に接触し、女性は重傷を負いました。
Aさんは、後日、横浜地方検察庁に自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)の罪で起訴されました。
Aさんは、裁判で弁護をしてくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)

持病を発症し人身事故を起こしたら

自動車を運転中に持病などが発症し、意識を失い、運転手や同乗者、対向車や歩行者が怪我をする、あるいは死亡する事故は少なくありません。

人身事故を起こした場合、多くは、自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)の罪に問われることになります。
過失運転致死傷罪は、「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた」場合に成立する罪です。
「自動車の運転上必要な注意を怠り」とは、自動車の運転者が、自動車の各種装置を操作して、そのコントロール下において、自動車を動かす上で必要とされる注意義務を怠ることをいいます。
前方不注意や脇見運転、アクセルとブレーキの踏み間違いなどが該当します。

しかしながら、上記事例のように持病がありながら車を運転し、運転中に持病発症したことにより人身事故を起した場合には、過失運転致死傷罪ではなく危険運転致死傷罪に問われる可能性があります。

危険運転致死傷罪(自動車運転処罰法第3条2項)

自動車運転処罰法は、その3条2項において、
「自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた者も、前項と同様とする。」
と規定しています。

①政令で定めるものの影響により

ここでいう「政令で定める病気」というのは、
(1)自動車の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈する総合失調症
(2)意識障害又は運動障害をもたらす発作が再発するおそれがあるてんかん(発作が睡眠中に限り再発するものを除く。)
(3)再発性の失神(脳全体の虚血により一過性の意識障害をもたらす病気であって、発作が再発するおそれがあるものをいう。)
(4)自動車の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれのある症状を呈する低血糖症
(5)自動車の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈するそう鬱病(そう秒及び鬱病を含む。)
(6)重度の眠気の症状を呈する睡眠障害
です。
これらの病気の「影響により」とは、ただただ病気の影響によるものであることまで必要とされず、病気が他の要因と競合して正常な運転に支障が生じるおそれがある状態になった場合も含まれます。

②その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態

「正常な運転に支障が生じるおそれのある状態」というのは、病気のために自動車を運転するのに必要な注意力、判断能力、操作能力が相当程度低下して危険性のある状態のことをいいます。
そのような危険性のある状態になり得る具体的なおそれがある状態も含まれ、意識を失うような発作の前兆症状が出ている状態であったり、処方された薬を服用しないために運転中に発作で意識を失ってしまうおそれがある状態などがこれに当たります。

また、本罪の成立には、運転行為終了までの間に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転したことの認識が必要となります。
そのため、病気が突然発症した場合、運転者は病気の症状について認識しておらず、病気の影響により正常な運転に支障が生じるおそれがある状態にあることの認識はないため、危険運転致死傷罪は成立しないことになります。

③よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた

本罪が成立するためには、病気の影響により正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転し、その結果正常な運転が困難な状態となり、人を死傷したという因果関係が存在しなければなりません。

てんかん発作の影響に関連する判例は、医師からてんかんの診断を受けていた場合、つまり、被告人がてんかんについて十分な知識がある場合だけでなく、てんかんの診断を受けていなくとも、てんかんに見られるような意識喪失をもらたす発作が過去に生じていた場合も、運転中にてんかんの発作が発症し、正常な運転に支障が生じるおそれがあると認識していたことを認めたものがあります。
Aさんの場合、医師からてんかんの診断を受けており、てんかんの症状について十分理解していたのであれば、「自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し」たことを認識していたと故意が認められ、危険運転死傷罪が成立すると考えられます。

本罪の法定刑は、人を負傷させた場合は12年以下の懲役で、人を死亡させた場合は15年以下の懲役となっており、決して軽い罪とは言えません。

運転中に持病発症人身事故を起こし、危険運転致死傷罪に問われた場合には、できる限り寛大な処分となるよう交通事故に強い弁護士に相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件を含む刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

ながら運転で交通事故

2021-01-23

ながら運転交通事故を起こした場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
友人宅に向かうため、東京都板橋区を自家用車で走行していたAさんは、待ち合わせ時間に遅れることを友人に伝えるため、スマートフォンの通信アプリを使ってメッセージを送信することにしました。
Aさんは急いでメッセージを作成しようと思い、運転しながらスマートフォンを操作していたところ、信号待ちのため前方で停車していたバイクに気が付かず後方から衝突してしまいました。
Aさんは慌てて車を降りて、転倒したバイクに駆け寄り、救急車を呼びました。
Aさんは、現場に駆け付けた警視庁板橋警察署の警察官に事情を聴かれています。
(フィクションです)

ながら運転に対する罰則

運転中にもかかわらず、スマートフォンを操作したり電話をするといった危険な行為を行う運転手は少なくありません。
このような「ながら運転」に起因する痛ましい事故が多く発生したことを受け、令和元年12月に施行された改正道路交通法は、「ながら運転」に対する罰則を強化しました。

道路交通法第71条は、車両等を運転する者の遵守事項として、走行中の携帯電話等の使用等の禁止を定めています。
自動車等を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、無線通話装置を通話のために使用し、または画像表示用装置に表示された画像を注視することを禁止しています。
ここで問題となる違反行為は、
①携帯電話使用等(保持)違反

②携帯電話使用等(交通の危険)違反
の2つです。

①携帯電話使用等(保持)違反
無線通話装置(携帯電話や自動車電話、トランシーバーなど)でかつ、その全部または一部を手で保持しなければ送信・受信のいずれをも行うことができないものを手で持って通話のために使用する行為、または画像表示用装置(カーナビや自動車テレビ、携帯のディスプレイ部分など)を手で持って表示された画像を見続ける行為が禁止されています。
上の事例のように、文字メッセージを送る行為は、画像注視に当たります。
この違反については、6月以下の懲役または10万円以下の罰金が科される可能性があります。

②携帯電話使用等(交通の危険)違反
①の違反行為(画像注視については、保持・非保持を問いません。)を行い、その結果として交通事故を起こしたり、交通事故に至らなくとも、後続車や対向車に急ブレーキをかけさせたり、道路交通に具体的危険を生じさせた場合には、1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。

ながら運転で交通事故を起こした場合

ながら運転に起因した事故をおこした場合、相手方に怪我を負わせた、あるいは死亡させてしまったのであれば、多くの場合に過失運転致死傷罪が成立することになります。
過失運転致死傷罪は、「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた」場合に成立する罪です。
「自動車の運転上必要な注意を怠り」というのは、自動車の運転者が、自動車の各種装置を操作して、そのコントロール下において、自動車を動かす上で必要とされる注意義務を怠ることです。
自動車を運転中にスマートフォンを操作しメッセージを作成・送信する行為は、前方不注意であり、「自動車の運転上必要な注意を怠」る行為と言え、当該行為に起因して人身事故を起こしたのであれば、過失運転致死傷罪が成立するものと言えるでしょう。
前方不注視というのは運転手に課せられた最も基本的な義務であり、ながら運転に起因した人身事故における運転者の過失は重いものと判断されるでしょう。
ただ、相手方の怪我の程度や保険による賠償がなされた(もしくはなされる予定である)か否かなどの点も考慮して、最終的な処分が決められますので、ながら運転交通事故を起こしてしまった場合には、早期に弁護士に相談し、寛大な処分となるよう適切な活動を行うのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件をはじめとした刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ながら運転交通事故を起こし対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

交通違反・交通事故と刑事処分

2021-01-16

交通違反交通事故と刑事処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
福岡県行橋市の国道で車を走行中のAさんは、交通警戒にあたってた福岡県行橋警察署の警察官に停車を求められました。
対応した警察官は、Aさんの飲酒を疑い、呼気検査に応じるよう求め、Aさんは仕方なく指示に従いました。
すると、基準値を超えるアルコールが検出されたため、Aさんは道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで現行犯逮捕されました。
Aさんは、どのような刑事処分を受けることになるのか不安でなりません。
(フィクションです)

交通違反を犯したり、交通事故を起こした場合、様々な手続に従って処分が科されます。
この場合の処分には、行政処分と刑事処分、そして民事上の処分とがあります。

交通違反・交通事故の行政処分

交通違反交通事故を起こした場合に科される行政処分は、道路交通の安全確保を目的としてもので、公安委員会による行政法上の処分です。
行政処分には、運転免許の効力の停止や取り消しなどがあります。
このような処分が科される基準として、点数制度というものが適用されます。
これは、運転者の将来における道路交通上の危険性を点数的に評価する仕組みで、交通違反を犯すと、その違反行為ごとに基礎点数と呼ばれる一定の点数が計上され、交通事故を起こすと、被害の程度などによる付加点数が基礎点数に加算されます。

例えば、酒気帯び運転(呼気1リットル中のアルコール濃度0.15ミリグラム以上0.25ミリグラム未満)については、基礎点数は13点です。
速度違反については、その超過程度によりますが、一般道で30キロ以上50キロ未満の場合、6点です。
交通事故の場合、例えば、脇見運転をして歩行者と接触し、歩行者に2週間程度の怪我を負わせたというケースであれば、安全運転義務違反について基礎点数が2点、付加点数3点、計5点が計上されます。

行政処分は、処分の対象となった交通違反交通事故を基準日として、運転者の過去3年以内の免許の停止等の処分回数と累積点数によって決まります。
また、処分の対象となった違反が、特定違反行為か一般違反行為かで、処分基準は異なります。

先の例で言えば、酒気帯び運転(呼気1リットル中のアルコール濃度0.15ミリグラム以上0.25ミリグラム未満)についての基礎点数は13点で、この運転者がこれまで行政処分を一度も受けていないとしても、酒気帯び運転により、90日間の免許停止という行政処分が科されることになるのです。

また、交通違反については「交通反則通告制度」というものがあります。
これは、軽微な交通違反をした場合の手続を簡略化するための制度で、本来はすべての交通違反について刑事手続をすすめるところ、一定の交通違反については行政上の手続のみで完了させることにより、事件を簡易・迅速に処理することができます。
この制度では、対象となる違反(=反則)を犯した場合、反則金を納めることで、刑事手続がとられることなく事件が終了します。
30キロ未満の速度超過は、交通反則通告制度の対象となります。

交通違反・交通事故の刑事処分

交通反則通告制度の対象とはならない、飲酒運転や人身事故、無免許運転などについては、刑事上の責任が問われることになります。
この場合、被疑者・被告人として刑事手続に付され、最終的に刑事処分が科されます。

交通違反交通事故を起こし、事件が捜査機関に発覚すると、刑事事件としての捜査が開始されます。
逮捕の要件を満たしている場合には、逮捕により身体が拘束されることもあります。
もちろん、逮捕後更に被疑者の身体を拘束して捜査をするべきだと判断されれば、勾留に付される可能性はあります。
交通違反交通事故で勾留となるケースは、ひき逃げや危険運転致傷、無免許や飲酒による人身事故など悪質な事故です。

事件は警察から検察に送られ、検察官が起訴・不起訴の判断を行います。
不起訴は、起訴しない処分ですので、裁判官による有罪無罪の言渡しもないため、前科(有罪の言渡しを受けた事実)は付きません。
他方、起訴された場合で有罪となれば、前科が付きます。
起訴にも種類があり、略式起訴であれば、公開の審理を経ることなく、書面のみでの審理となり、言い渡される刑は100万円以下の罰金または科料です。
検察官が公判を請求した場合には、公開の法廷で審理されることになり、裁判官が有罪・無罪、有罪の場合には被告人に科す刑についても判断します。
先に述べたひき逃げや危険運転、無免許や飲酒による人身事故などについては、公判請求される可能性が高いでしょう。

以上のように、交通違反を犯した場合や交通事故を起こした場合には、行政処分や民事上の処分だけでなく、刑事処分が科されることがあります。
そのような場合には、できる限り寛容な処分となるよう、早い段階から交通事件にも対応する弁護士に相談・依頼し、適切に対応することが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
交通違反交通事故刑事処分が科されるのではと心配されている方は、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

交通事件:無免許運転

2021-01-02

交通事件無免許運転について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
会社員のAさんは、違反点数の累積により、免許停止の処分を受けていましたが、免許停止期間中に、やむを得ない理由により、家族の車を使って運転することになりました。
兵庫県明石市を走行中、一旦停止を怠ったとして、兵庫県明石警察署はAさんに車を停めるよう求めました。
免許証の提示を求められたため、Aさんは所持していた自分の免許証を差し出しました。
Aさんの免許証を確認した警察官は、Aさんが免許停止期間中であることが分かったため、Aさんを警察署まで連行することにしました。
(フィクションです)

無免許運転とは

無免許運転とは、「公安委員会の運転免許を受けないで、自動車又は原動機付自転車を運転」することです。
この無免許運転には、①そもそも運転免許証の交付自体を受けたことのない人が自動車等を運転する行為、だけでなく、②運転免許の取り消し処分を受けたにもかかわらず自動車等をうんてんする行為、③免許の停止処分中に自動車等を運転する行為、そして、④一定の車両の免許を受けてはいるが、当該車両の種別以外の車両を運転する行為、も含まれます。
上の事例のように、免許停止の処分を受け、停止期間中に車を運転する行為も、無免許運転となります。
無免許運転は、道路交通法64条1項で禁止されており、違反した場合の罰則は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。

無免許運転をした者だけでなく、無免許の者に車両を提供した者や、免許を受けていない者に運転を依頼した者についても、刑事責任が問われることがあります。
前者には、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が、後者には、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金が科される可能性があります。

無免許運転が発覚した場合、初犯であり、飲酒運転をしていたり交通事故を起こしていないのであれば、身体拘束を受ける可能性はそう高くはありません。
この場合、事案によっては不起訴で終了することもありますし、起訴される場合であっても略式起訴で罰金刑が言い渡される可能性が高いでしょう。
しかしながら、同種の前科前歴が複数ある、無免許の発覚を恐れ現場から逃走しようとした、他にも交通違反をしている、人身事故を起こした、といったケースでは、逮捕・勾留による長期の身体拘束となる可能性は高く、略式起訴ではなく公判請求され、正式な裁判が行われることになるでしょう。

無免許運転で人身事故を起こした場合、上で述べた道路交通法違反よりも重い罪が成立することになります。

自動車を運転し人身事故を起こした場合に適用され得る罪は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、自動車運転処罰法といいます。)に規定される「過失運転致死傷罪」もしくは「危険運転致死傷罪」です。

「過失運転致死傷罪」は、自動車の運転上必要な注意を怠った結果、人を死傷させた場合に成立する犯罪です。(自動車運転処罰法5条)
自動車の運転者が、「自動車の運転上必要な注意を怠」るというのは、自動車の各種装置を操作して、そのコントロール下において、自動車を動かす上で必要とされる注意義務を怠ることを指し、前方不注意や脇見運転、一時停止無視やハンドル操作のミスなど幅広いケースが該当します。
過失運転致死傷罪の罰則は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金です。

一方、「危険運転致死傷罪」は、危険運転行為によって人を死傷させた場合に成立する罪です。(自動車運転処罰法2条)
危険運転とされる行為には、
①飲酒や薬物の影響で正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為。
②その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為。
③その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為。
④人又は車の通行を妨害する目的で、走行中野自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為。
⑤車の通行を妨害する目的で、走行中野車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転する行為。
⑥高速道路・自動車専用道路において、自動車の通行を妨害する目的で、走行中野自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中野自動車に停止又は徐行をさせる行為。
⑦赤信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為。
⑧通行禁止道路を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為。
危険運転致死傷罪の罰則は、人を負傷させた場合は15年以下の懲役、死亡させた場合は1年以上の有期懲役です。

また、アルコール・薬物・病気の影響で、走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、アルコール・薬物・病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた場合には12年以下の懲役、人を死亡させた場合には15年以下の懲役が科されることがあります。(自動車運転処罰法3条)

自動車運転処罰法は、無免許運転による加重規定を設けています。
無免許運転で人身事故を起こし、過失運転致死傷罪が成立する場合には、10年以下の懲役となり、危険運転致死傷罪(③を除く)が成立する場合には、6月以上の有期懲役に加重されます。

このように無免許運転で人身事故を起こした場合、重い罪が成立するため、通常、公判請求され正式な裁判を行うことになることが想定されます。

無免許運転で警察に検挙された。」、「無免許運転で事故を起こして逮捕された。」とお困りであれば、交通事件にも対応する刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

交通事件に強い弁護人選任

2020-12-26

交通事件での弁護人選任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
自営業のAさんは、ある日、飲酒運転で交通事故を起こしてしまいました。
現場に駆け付けた大阪府貝塚警察署の警察官に事情を聴かれ、呼気検査を受けたところ、Aさんから基準値を超えるアルコールが検出されました。
警察官は、Aさんを道路交通法違反の疑いで逮捕しました。
Aさんは、仕事のこともあり、長期間の身体拘束はなんとか免れないかと心配しています。
(フィクションです)

交通事件について

交通違反や交通事故を起こした場合、事案によって、民事上の責任、行政上の責任、刑事上の責任が発生します。
刑事上の責任とは、交通違反や交通事故のうち重大で悪質なものについて、交通違反や交通事故を起こした者に課せられる刑事処分のことをいいます。
交通事故を起こし人を負傷させたり死亡させてしまった場合、飲酒運転や無免許運転などの交通違反については、例え交通事故を起こしていない場合でも、刑事上の責任が問われることになります。

(1)身体拘束について

道路交通法違反の場合、逮捕されたとしても、その後勾留されずに在宅捜査となるケースも少なくありません。
そのため、道路交通法違反の疑いで逮捕されたのであれば、例え事件当時に一度現場から離れてしまったという不利な事情があっても、養うべき家族がいることや定職に就いており身分が安定していることなどの事情を主張し、勾留を回避するための活動を行うことによって、逮捕後の勾留を回避することを目指すことが重要でしょう。

自動車運転処罰法違反に問われている場合、道路交通法違反の場合と同様に、逮捕はされても勾留されないことが多くなっています。
ただし、事故後に逃走した場合や危険運転行為による事故の場合であれば、逮捕後に勾留される可能性は高いでしょう。
そのため、検察官や裁判官に対して、逃亡や罪証隠滅を疑うに足りる相当な理由がないことを主張し、疎明資料を提出し、勾留回避に向けて働きかける必要があるでしょう。

(2)起訴

道路交通法違反の場合、一般的に初犯であれば略式手続に付されることが多いですが、飲酒運転については公判請求されるケースも少なくありません。
また、無免許運転については、初犯であれば略式起訴で罰金刑となることが一般的ですが、常習性が認められるような悪質な場合には公判請求される可能性もあります。

自動車運転処罰法違反の場合、軽微な事故であれば略式起訴され罰金刑で終わるケースが多いですが、過失の程度や被害が一定以上の場合には公判請求される可能性が高いです。
特に、危険運転行為を伴うものや、ひき逃げや飲酒運転が伴うもの、被害結果が重大な場合などは、一般的に公判請求されます。
公判請求されると、公開の法廷で審理されることになります。
有罪となれば、刑罰が科されることになりますので、公判請求された場合には、弁護士は執行猶予や刑の減軽を目指した弁護活動を行います。

弁護人について

刑事手続において被疑者・被告人が正当な権利を行使し、正当な利益を保護する者が、弁護人です。
被疑者・被告人は、いつでも弁護人を選任することができます。
弁護人が行う弁護活動には、先に述べた身柄解放活動や情状弁護など様々です。

弁護人は、私選弁護人と国選弁護人との2種類あります。
どちらの弁護人も、基本的な権利・義務は同じですが、次のような特徴があります。

(1)私選弁護人

私選弁護人は、被疑者・被告人や一定の関係人が選んだ弁護人です。
弁護費用は自己負担となりますが、被疑者・被告人等が自ら選ぶことができるので、経験豊富な弁護士、やる気のある弁護士、刑事事件専門の弁護士といったように自分に合った弁護士を選べるのが最大のメリットでしょう。

(2)国選弁護人

国選弁護人は、裁判所、裁判長または裁判官が選任する弁護人です。
被疑者・被告人はいつでも弁護人を選任することができますが、被疑者段階では、国選弁護人の選任要件を充たしていること、そして、勾留状が発せられていることが国選弁護人が選任される要件となっていますので、勾留前に国選弁護人が選任されることはありません。
そのため、勾留阻止の活動を希望される場合には、国選弁護人が選任されるのを待っていると、勾留が付くのを回避することは望めません。
弁護費用は国が負担することになる経済的メリットはありますが、被疑者・被告人等が自ら弁護人を選ぶことはできませんので、刑事事件を専門としない弁護士が弁護人となることもあります。

以上のような特徴を持つ2種類の弁護人ですが、両者とも基本的な権利・義務は同じです。
しかしながら、刑事事件に精通する弁護士であれば、刑事事件に豊富な知識や経験があるため、特に時間的制限のある身柄事件では、すばやく適切に活動することが期待できるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件をはじめとする刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が交通事件で逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

酒酔い運転で逮捕

2020-12-19

酒酔い運転逮捕されるケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
会社員のAさんは、車で通勤しています。
ある夜、会社の忘年会に参加するため、帰りはタクシーか代行業者に頼んむ予定をしていましたが、「車の中で仮眠すれば大丈夫だろう。」と思ったAさんは、忘年会後に車で3~4時間寝ました。
その後、Aさんは車を運転して自宅に戻ろうとしましたが、途中から記憶がなく、気が付いたら道路上の分離帯に乗り上げて停車しており、大阪府吹田警察署の警察官に取り囲まれていました。
Aさんは、呼気検査の上、警察官に道路交通法違反の疑いで逮捕されました。
(フィクションです)

酒酔い運転とは

道路交通法第65条1項は、「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。」と規定しており、酒気を帯びて車両等を運転することを全面的に禁止しています。
「酒気」とは、アルコール分のことを指しており、それが酒、ビール、ウィスキー等のアルコール飲料に含まれているものであると、アルコールそのものであると、あるいは飲料以外の薬品等に含まれているものであるとを問いません。
そして、「酒気を帯びて」とは、社会通念上酒気帯びといわれる状態をいい、顔色や呼気といった外観上認知できる状態にあることをいいます。
「車両等」については、自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいうのであって、酒気を帯びた状態で、軽車両である自転車を運転する場合にも、道路交通法に違反することになります。

このように、酒気を帯びた状態での車両等の運転は全面的に禁止されていますが、刑事罰の対象となるのは、ある一定程度の基準以上のものに限られます。

①酒気帯び運転

道路交通法第117条の2の2第3号は、「第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ)を運転した者で、その運転した場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態であったもの」についての罰則を定めています。
ここでいう「身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態」というのは、「血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム」です。
この基準以上であれば、道路交通法違反の酒気帯び運転にあたり、かつ、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金の範囲での刑罰が科せられる可能性があります。

②酒酔い運転

道路交通法第117条の2第1号は、「第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転した場合において酒に酔った状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあったもの」についての罰則を定めています。
酒酔い運転については、①酒気帯び運転のように基準数値以上であるか否かで判断するのではなく、「酒に酔った状態」、つまり、「アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態」にあったか否かで判断されます。
「酒に酔った状態」とは、酩酊の度合いが車両を運転するに必要な注意力や判断力を失わせるおそれがあると一般に評価される程度でよく、現実に運転行為において具体的な危険が発生することまでも必要としない。」(東京高裁昭50・1・16)、「酔いにより注意力が減弱し、前方に対する注意力が散漫になるなど安全運転に対する判断力が低下し、運転の継続によって危険が予測し得る状態」(徳島地裁昭40・8・16)であると解釈されています。
「正常な運転ができないおそれ」とは、「正常な運転の能力に支障を惹起する可能性が具体的に相当高度の蓋然性のある場合であることが必要」(仙台高裁昭40・8・6)とされています。
酒酔い運転の認定にあたっては、アルコール保有量の科学的検査、飲酒量、言語・歩行・直立能力等の身体の状況、自動車の運転状況、その他の諸般の事情を総合して認定されます。
そのため、①酒気帯び運転における政令数値以上のアルコールを保有していても酒酔いでない場合や、政令数値以下でも酒酔いにあたる場合があります。
酒酔い運転の罪は、故意犯であるため、本罪成立には故意が必要となります。
つまり、飲酒によりアルコールを自己の身体に保有しながら運転することの認識です。
判例は、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態に達しているかどうかについては、客観的に判断すべきであり、行為者においてそこまで認識していることは必要としない、との立場を示しています。(最高裁昭46・12・23)

酒酔い運転の罰則は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金と、①酒気帯び運転のそれよりも重くなっています。

酒酔い運転などの飲酒運転は、警察の検問で呼気検査をして発覚するケースや、物損事故・人身事故を起こして発覚するケースが多く見受けられます。
酒酔い運転の場合、発覚した時点で逮捕されることが多いですが、容疑を素直に認めている場合や人身事故でなければ、逮捕後48時間以内に釈放される可能性はあるでしょう。
ただ、容疑を否認していたり、罪証を隠滅するような行為が疑われたり、人身事故の場合には、逮捕後勾留となる可能性も少なくありません。
勾留となれば、長期間の身体拘束を余儀なくされることになり、日常生活にも多大な損失を残すことになりかねません。
酒酔い運転逮捕されたのであれば、早期に弁護士に相談し、身柄解放活動を行うのがよいでしょう。

飲酒運転により悲惨な事故が絶えない昨今、飲酒運転に対する処罰も厳格化の傾向にあります。
飲酒運転でご家族が逮捕されてお困りの方は、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
身柄解放活動や寛大な処分・刑罰を目指した弁護活動は、交通事件にも対応する刑事事件専門弁護士にお任せください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

« Older Entries Newer Entries »
Copyright(c) 2016 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 All Rights Reserved.